this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
しずくがこぼれおちるとき<黒>
<< もどる
1
…
8
9
10
11
12
…
13
つぎへ >>
──21:40、積み家・和風家屋 朽ちゆく記憶~記憶だまり
「うわ、わわわ……!」
ギリギリだった。
佐藤 英二
の顔ほどもありそうな拳が薙ぎ払われると、かすめた柱がひしゃげて曲がる。真っ当な人間である英二があんなものを受ければ、顔面だろうと腕の一本や二本だろうと吹き飛んでしまいそうだ。
そんな相手に、
鏨 紫
は真正面から立ち向かう。
「もう少し辛抱してくれ、英二さん。今こいつを、黙らせてしまうから」
「は、はい……!」
巨躯の鬼、相対するのは負けじと巨大な童女だ。
「わたしはしんせつでしょ? わたしのいうこと、聞いてればいいんだよ」
「ずいぶんな物言いだね。そうやって君の『親友』のことも、支配していたのかい?」
紫の豪腕一振り、童女を浮き上がるほどに殴り飛ばす。しかし相手も怪異のそれであり、踏み止まると強烈な張り手を紫へぶちかます。
「っ……やれやれ、何を食べたらそんなふうに大きくなるんだか」
縮尺を誤ったかのような歪な巨大化は、内面にひそむ暗くあさましい気質によるものか。
その証だろうか、不意に再生を始めた幻像が、在りし日の童女とその親友たちの姿を映し出した。
──懐かしいな、この家。最初のパパが買った家。あの頃はまだ羽振りが良かったんだって。ま、アノ頃だかソノ頃だか、顔も知らない人の話されても、ピンと来なかったけどね~。
小さい頃、小学校に入る前くらいまでかな? 暮らした家。広いリビングに響く、ママの怒鳴り声。廊下に残ってる傷は、包丁がざっくり刺さった痕。寝室には入るなってすごい剣幕で言われて、なんでかなーって思ってた。漏れ聞こえてくる声が何なのか気になって、こっそり覗いたら知らない裸のおじさんと目が合っちゃった時までね。
友だちも何回か呼んだっけ。というか、おしかけられたっていうか。
『へえ、しずくちゃんっていうんだ! かわいいなまえ!』
『そっかな……? へへへ、ありがとお』
『しずくちゃん、おひっこししてきたばっかりで、さみしいよね。ともだちいないよね。ともだちになったげる!』
『ほんとお? ありがとお、マリちゃん』
な~んか、気にいられちゃったみたいでねえ。マリちゃんは取り巻きをつれて、良く家に上がり込んだ。ママのニガムシ噛んだような顔をよく覚えてる。子どもが好きじゃなかったから。
毎日毎日、マリちゃんはやってきた。
『え、なに? めいわく?』
『や~……そんなこと、ないけどお』
『だよね! わたしたち、しんゆうだもんね! じゃ、しずくちゃん、しんゆうにジュースもってきて。おかしも』
『えっと~。ないよ……そんなの』
『え? なんで?』
『ママが、そういうのかってくれないから……』
『ふうん。おばさんのおさいふ、どこ?』
『え……ママのおへやに、あるけど……』
『じゃ、それでおかし買ってきて』
『え、でも……それってママから、おかね、ぬすむってことじゃ……』
『え、なに? なんて? きこえない』
私が何か気にいらないことを言うと、マリちゃんは私の頬をひっぱたいた。痛いというより、熱かった覚えがある。
『ともだちがあそびにきてるのに、おもてなししよ、って思わないの? わたしたち、しんゆうでしょ? しずくちゃんって、つめたい子ね』
私の気にいってた猫のぬいぐるみの首を引っこ抜いちゃったし、ガラスを割ったのを私のせいにされた。取り巻きの子たちといっしょに、もたもたして戸惑ってる私を笑ってた。指の骨、折られたこともあったっけ。
あの頃は、私もよく分かってなかったんだよねえ。初めての友だちだったから、そっか~、こういうもんなのか~ってね。
結局、ママのお財布から千円抜こうとしたところで、当のママに見つかって、ま~殴られたよね。あはは、バカだったよねえ。
「そんな彼女を。君は」
生来穏やかな質だ。純朴で騙されやすく、振り回されるのが自分なのだと紫も思う。苦笑いまじりに許してやりもする。
だからこそ、滴の境遇は紫の胸にも響いたし、ふつふつと沸き上がるものもあった。
「だって、しんゆうでしょ?」
「……分かったよ。もういい」
あやかしをして、大聳えの黒檀と称される怪力童子。その体躯が肥大化してゆく。二倍もの上背となり、パンプアップした上腕をしなる弓のごとく引き絞る。
ちっぽけな童女を見下ろして、紫は豪腕一撃とともに告げた。
「もう、眠ってくれ」
英二はぽかんとして、泡が浮かぶようにぽんと現れた一人と一匹を見つめた。
「テオさま! テオさま、どこに……あら?」
「滴さんがこの近くにきっと、あれれ?」
同じくぽかんとした顔を浮かべるのは、
宮祀 智瑜
。それに
ミラ
だった。
「えっと……ここは霊界だよ。二人も寝子島で、あの絵に触れて飛ばされたの?」
「いいえ。私のろっこんで、滴さんの求めるものを思い浮かべて……」
智瑜のろっこんは、対象の求め、願うものを知る能力。そしてそれが在る場所へと瞬間移動する能力だ。
滴の描いた猫の絵に触れ、滴を思い浮かべて移動した先が霊界、この積み家であったらしい。
「滴さんが何を求めていたのかは、なぜかうまく読み取れなかったんです。『過去』……『闇』……ひどい頭痛と、イヤな予感がしました」
「それで、その場所へ飛んでみたら、ここに?」
「はい。滴さんの求めるものが、きっとどこかにあるはず」
それが何なのかは分からないと智瑜は言う。
しかし、英二にはここまでの道程を通じて、いささかに分かりかけてきたことがあった。
「多分、だけど。それは、あの子に関係してるんじゃないかな」
英二が指さす先へ、智瑜もミラも振り向く。
「あら、あの方は……あやかしさんでしょうか?」
ミラが智瑜の腕に抱かれながら、こくりと首を傾ける。
二又の尾を持つ、小さな子猫。ぼんやりと佇んで、何かを見つめていた。
「ここに来て、何度も危ない目にあったんだけど、紫さん……一緒に行動してた鬼のひとと、それに、あの黒猫に助けられたんだ」
紫のような体躯も持たず、キックやパンチで道を切り開くこともできないから、英二は探索を主にした。滴の残したらしい絵に触れ、彼女の記憶に残る品に触れ、過去をいくつも垣間見た。
その中には、あの黒猫が登場する幻像もまたあったのだ。
近づくと、黒猫が見つめているのは、ちぎれてぼろぼろになった首輪だった。もとは黒猫のものであったのかもしれない。
黒猫は英二らを見上げて、悲しそうに小さく、みい、と鳴いた。
そうして幻像が起ち上がった。
その日はたまたま、ママの機嫌が良かったんだ。猫を飼いたい、飼ってもいいってことになって、私は大はしゃぎだった。あんなに喜んだことは他にない。
だってあの子が庭に迷いこんできた瞬間から、私は絆を感じたから。ずっと一緒にいたかったし、離れたくなかった。
いつまたママのご機嫌が悪くなって、そんな猫捨ててきなさい! って言われるか分からないから、私は庭の木陰に置いたカゴにシーツを詰めて、そこをあの子の家にした。ソファで爪とぎしたりママのお気に入りのカーペットにおしっこしたりしないように、なるべくあの子を家に入れないようにした。私はその頃のほとんどを、縁側や庭で過ごした。大きなカゴだったから、私も一緒に入って、丸くなって寝ることもあった。冷たい雨が降った日なんかは、ずうっとあの子を抱きしめてた。
あの子はいつまでも、大人しく、すっぽりと私の腕に収まってたよ。
ふと気づくと、紫が後ろに立っていて、頭越しに幻像を眺めていた。あの怪異は見事撃退してくれたらしい。
黒猫に寄り添う滴は幼く、ウェーブがかった髪は全てが艶のある、黒い色をしていた。
マリちゃんには、あの子を見せないようにしていた。人形と生き物の区別がつくとは到底思えなかったから。子猫の首を引っこ抜かれたらたまらない。
でも、限界があった。時間の問題だった。
『ええ~? しずくちゃん、猫飼ってたんだ?』
『あ、うん……あはは』
『なんで教えてくれなかったの?』
『え? えと……べつに』
『ねえ、なんで? なんで? しんゆうなのに、どうして?』
あの子はマリちゃんに抱かれるのをひどく嫌がった。かしこい子だったからね。
嫌がって、嫌がって、それでもしつこく捕まえようとするマリちゃんの手の甲に、思わず爪を立てた。
『いってー! こいつ、このバカねこ!!』
殴り飛ばそうとして振り回した腕をひょいとあの子が避けたのが、なおさら気にいらなかったらしい。
『まて! バカねこ、おしおきしてやる!!』
取り巻きといっしょに、マリちゃんはあの子を追いかけ回した。
追いかけて、追いかけて。家まで抜け出して。さらに追いかけて。執念深く追いかけ続けて。
あの子は道路に飛び出して、車に轢かれて死んじゃった。
息を呑んだ。英二も紫も、智瑜もミラも、言葉が出なかった。
くったりとした子猫を抱き上げ、うつむいた滴を囲み、彼女の『親友』たちはけらけらと無邪気に笑う。
「……!? 何だ?」
揺らめく幻像を見つめ、気が付いたのは紫だった。
「様子がおかしい」
『しんだ、しんだ!』
『ねこちゃん、しんだ!』
『しずくちゃんのねこちゃん、しーんだ!』
『………………』
『しんゆうなのに、だまってたから』
『しんゆうなのに、ないしょにしてたから』
『しずくちゃんのにゃんこが、しんじゃった!』
『あはは、あはは、あはは』
『………………な』
『うん? なあに、しずくちゃん? きこえない』
『しんだ、しんだ!』
『にゃんこがしんだ!』
『………………うるっっっさいなあ!!!!』
幼い滴の足元から爆発的に、まるで間欠泉のように沸き上がる。
闇だ。青く光を内包する闇だ。青い闇が滴を包み込み、膨れ上がってゆく。
伸びる触腕が次々に少女たちを絡め取り、引きずりこむ。
呑まれる直前、すんでのところで触腕はほどけ、解放された少女たち……あのマリちゃんまでもが涙と鼻水に顔をぐずぐずに崩しながら甲高い悲鳴を上げ、ほうほうのていで逃げてゆく。
化け物だの妖怪だのと遠ざかる罵声を浴びながら、亡骸を抱いた滴の後ろ姿。空気をはらみ、ざわつきながら流れる髪のきっかり半分は、磨き上げたスチールのごとき純白に変わっていた。
<< もどる
1
…
8
9
10
11
12
…
13
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
しずくがこぼれおちるとき<黒>
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
バトル
NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年10月23日
参加申し込みの期限
2022年10月30日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年10月30日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!