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しずくがこぼれおちるとき<黒>
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──21:38、積み家・タワーマンション 滴の部屋~記憶だまり
豪奢なタワーマンションの室内は、一転して嵐が吹き荒れたかのような有様となった。
恵御納 夏朝
、
白 真白
がもたらした破壊の痕跡だが、それを刻みつけてなお二人の心は沈鬱に支配され、晴れなかった。
荒く息をつき、ようやく平時のそれへ戻ってきた頃、二人はモニタに蜘蛛の巣状のひび割れが走り、キーの砕けたノートパソコンの残骸を憎々しげに睨む。
あのおぞましい動画群の中に滴当人のものが含まれていなかったのは、不幸中の幸いか。破壊に至るまでどちらも相当に逆上していたし、見落としていたり別の場所にしまいこまれている可能性も無きにしもあらずだが、少なくとも二人が目にすることはなかった。
それが良かったのか、悪かったのか。ぐらついて軸を失った思考では、まともな判断も下せそうにない。
「う……?」
一瞬、声が出なかった。青い闇。内包する輝きを時おりぎらつかせながら、ヘドロめいて粘液的なそれが近づいてくることに夏朝は気づく。
はっとして振りかえると、真白の姿がない。いつのまにやら、はぐれてしまったのだろうか。
のそりと身を起こし、ハンマーを握り込む。
「……っ!?」
ひとつ肩を震わせ、夏朝は動きを止めた。
闇が形を成す。夏朝の見覚えのある形だった。
「こいつら……」
ぬるつきながら立ち上がった数体の人の姿は、中学生時代の夏朝を幾度も陰湿に追い詰めた、狡猾な同級生たちのそれだったのだ。
封印したい記憶に手を差し入れられ、かき混ぜられるような不快。思わず後退る。
が、はたと思いとどまった。
己は、恵御納家の夏朝は今も、あんな矮小なガキどもに嬲られるのみのちっぽけな存在だろうか?
否だろう。
「あ。助けてくれるの?」
気づくと足もとに、二又尻尾の黒猫が寄り添うように佇んでいる。夏朝へこくりとうなずいてみせると、黒猫は怪異を睨む。
頼もしい相棒に笑いかけ、
「……遠慮なく、ぶん殴って粉砕する」
もはや懐かしいシルエットが踊りかかってくるのに、真正面からぶつかり合う。肩口であごをかち上げてやった。青い牙が砕けて飛ぶのが見えた。
間髪入れず別の一人の懐へもぐりこみ、張り出した頬骨へハンマーをくれてやる。
「ずっとこうしてやりたかったよ!」
背後から掴みかかる大柄な少年の姿をした闇に引き倒され、頬に拳を食う。熱さが痛みへ変わる前に腹を蹴り飛ばし、シールを飛ばす。ガラスを突き破って飛び出したところへシールは張り付き、軽くされた重量が闇を夜空へ運んでいった。
黒猫がかっと牙を見せて威嚇し、闇が怯んだところへけたぐりで転がし、ハンマーを振り下ろす。
怪異はいずれも青く燐光を散らしながら霧散してゆく。
夏朝は吼えた。過去を葬るように猛ったし、記憶を弄り利用する闇に憎悪も増したが、何よりこの場の全てが滴の暗澹とした人生を暗示しているようで、腹にたまるどす黒い感情を吐き出さねば、熱に浮かされおかしくなってしまいそうだった。
しばらくすると闇は全て青く散り、頬や腹、腕などに受けた殴打の鈍い痛みだけが残った。
「っ、白さんを探さないと……」
何でもないと黒猫へ笑いかけ、夏朝は脇腹を押さえ重たい足を引きずり歩き出す。
砕けたガラスの向こうに広がる夜空はあまりにも美しく、なんて間抜けな光景だろう、と夏朝は鼻を鳴らした。
うまなきゃよかった、と母から告げられた子の気持ちを、真白はうまく想像することができない。
どれほどの衝撃だろう。絶望しただろう。彼女のことだから、期待に応えることのできない自分を恥じたかもしれない。それでも何でもないよと自分を周囲を偽り繕い続けるうち、己の乾いた生をかえりみて、死を描いた絵画に惹かれるようになったのかもしれない。
辛かったろう、と思う。
「うまなきゃよかった、あんたなんか。あんたのせいで」
「違うよ!」
中年の女の姿をした怪異から逃げながらも、真白は叫ばずにいられない。
「滴ちゃんのせいだったことなんて、きっと一度もない! 周りが寄ってたかって滴ちゃんを追い詰めたから……!」
「あんたなんか」
錆びた刃に肩を裂かれ、真白はもんどりうって転がった。すかさずのしかかり包丁を振りかざす女にキックを浴びせ、抵抗する。
「なんなの、その顔? もんくがあるならいいなさいよ。そんなに私を悪者にしたいの?」
「違う、違う! 滴ちゃんにそんなつもり、無かった! 滴ちゃんはきっと……あなたを!」
「うまなきゃよかっ……」
がしゃん、と重く派手な粉砕音が響き、女は横合いへ倒れ込む。
「今のうち。こっちへ」
「あ、ありがと……あれっ? 葉月ちゃんだ!」
怪異の頭部へ高級そうな陶器を惜しげもなく叩きつけたのは、
三宅 葉月
だった。
葉月は寝子島で滴の死にまつわる謎を追ううち、霊界へ飛ばされてしまったのだという。
「闇の女?」
「ええ、そう。揺らめくと青い光が覗くの。こちらでも何度か、同じようなものを見かけたわね」
青い闇。この積み家の随所にうごめく奇怪なあれらは寝子島にも出現し、真白も同様にあの闇へ引きずりこまれたがためにこの場へ立っているのだ。
闇は自在に姿を変える。時に人の記憶を読み取り、忌避する形を取ることもあるようだ。
「ヤなかんじ……」
葉月とともに、しばしマンションを探索する。
「あ。これ」
「何か見つけた?」
真白が棚から取り上げたものを、葉月も肩口から覗き込む。
家族写真だった。親子二人に娘が一人。
「滴ちゃん……」
「複雑そうな笑顔ね」
葉月の表現は的確に思えた。
美しく着飾った中年の女性。隣に立つ初老の男にべったりと寄り添い腕を絡め、幸福な表情にとろけている。しかし男の興味はどうやら女には無いようで、その手は仏頂面一歩手前といったいかにもな作り笑いを浮かべる滴の肩に、握り込むようにして置かれている。
滴の抱く感情は一目瞭然だ。
ふと、写真がぽうと輝きを帯びる。幻像が起ち上がり、滴の記憶を伝えた。
──ママの前では、何でもないフリしてたけど。
正直ちょっとだけ、きつかったかな。
おじさんは、昼間は大人しくしてる。仕事ができて優秀で、人望もあって、人柄も穏やかな好人物。っていうのがまわりの評価らしい。へええ。
でも私はそうじゃないって気づいてる。
深夜、ママが寝静まった頃になると、コンコン。ノックノック。
『……起きてるかい。滴ちゃん』
そりゃあまあ。うっかり寝てられないもんね。
あの頃は睡眠不足で辛かったなあ。
『なあ。いいだろう? パパといいことしよう。今夜こそ。ね? 痛くしないよ。大丈夫、パパはとっても上手いんだ』
こういう時はよく、ドアに鍵をかけたまま、窓から抜け出した。外壁にちょうどいい足場があって助かった。ビル風がすごかったけど、どうにか一度も落ちずに済んだし。隣の部屋の窓から入って、こっそり玄関へ。靴箱を開けると気づかれちゃうから、そのまま外に出た。
何度、裸足で夜の街に飛び出しただろう。
昼間と違って静まり返った道を歩くと、何だか死の街に迷い込んだみたいに錯覚したのを覚えてる。
ネオンか看板で青く光るあの闇の中に、吸い込まれてしまいそう。いつもそう思ってた。
寝子島にいきたい、猫がたくさんいてすっごくいいところなんだって、って言ったらおじさん、すごい顔してたな。悔しそうっていうか、忌々しげっていうか。ママが怪訝そうに首をかしげるから、慌てて取り繕ってたけどね。
『ひとり暮らし! ええ、ええ。いいじゃない! ようやく親離れしてくれるってわけね。それはいいことだわ、ねえあなた?』
ママはもちろん反対しなかった。二人っきりで新婚さん気分を満喫できるって、むしろ喜んだくらい。
隙だらけなママをおじさんのところに置いていくのはちょっと不安だったけど、私がいなければおじさんも、ママを大切にしてくれるかもしれない。幸せにしてくれるかも。そう信じたかった。
私にはどうやったって、できなかったから。
「……! 夏朝ちゃん」
幻像がふわりとかき消えた向こうで、夏朝が目に涙をためて佇んでいた。彼女も眺めていたらしい。
寝子島へ逃げてきてからも、滴は多くを語らなかったし、強い感情を露わにすることもなかった。
胸の内に押し込めていたのだ。弱い母の心を守ろうと、幸せをつかめるなら黙して耐えようと、限界まで彼女は戦ったのだ。
「やりきれないわね」
ぽつりと漏らした葉月もまた、いくらか毛色は違えど、家族との確執を抱えている。滴の境遇や心情にも理解が及ぶ。
素足で冷たいコンクリートを踏みしめ、彼女は月夜に何を思っただろう。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
バトル
NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年10月23日
参加申し込みの期限
2022年10月30日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年10月30日 11時00分
参加キャラクター一覧
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