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しずくがこぼれおちるとき<黒>
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──20:37、積み家・アパート 東階段周辺~記憶だまり
人とあやかしは違う。人間は男女の繋がりを通じて子を成し、生育し、次代へ己を継いでゆく。あやかしもそれに準ずる者もあれば、そうでない者もいるが、
漫 歩
自身は彼ら人間の営み、その奥深さ、困難、希望、出会いや別れに輪廻転生の肝要を理解しているつもりだ。
懐かしい記憶の中で、いつも寝たきりだったあの青年にもそうすることができたなら、どんなにか素晴らしかっただろうと思う。
そんな歩だったから、現れた敵がしきりにつぶやくセリフには辟易としたし、いささか腹に据えかねた。
「うまなきゃよかった。あんたなんか。うまなきゃよかった」
「聞き捨てならないねぇ」
中年の女性は人間に見えたが、実体ではないのかもしれない。にもかかわらず、やみくもに振るう包丁は高速かつ鋭く、あやかしの歩とて切り裂かれればただでは済むまい。
しかし幸いにして、歩には戦う力がある。
「こいよ。踏み台にしてやんぜ!」
「あんたなんか。ちくしょう、あんたなんか」
包丁をくぐり、足刀を胸元へ叩き込む。そのダメージなど介さないかのような包丁の連撃に袖口を裂かれるも、歩もまた一歩も退かず。刃を避け、打ち込み、頬に刃の熱い感触を受けるも怯まず腹と側頭部に連打を浴びせ、再び避ける。けたぐりでよろめかせ、めったやたらに振り回される包丁からいったん距離を置き、助走をつけて姿勢の下がった顎を蹴り上げた。
女はやつれくたびれているが、もとはきっと美女だったろう。顔だちにはその面影が見える。しかしいかめしく顔をしかめ続けたためかしわが寄り、頬骨が浮き出て眼窩は落ちくぼみ、痩せて筋張った手足も見れば、まるで幽鬼のごとくだ。
「これが、滴くんの母親かい? 苦労してたんだろうな。君」
先ほど、
黒白 滴
の幻影を見かけた。きっとこの家は彼女の記憶が礎となって出現したものだろうと予想する。
滴とは
ちょっとした縁
があり、顔と名前は知っている。向こうは歩を知らないかもしれないが、苦労して救ったというのに、またしても何やら巻き込まれているらしい。
幻影の彼女は、泣きもせず怒りもせず、ただ儚げに微笑むのみだった。懐かしんでいるのか。悲嘆にくれながら、自身も惑っているのだろうか。
モーションを小さく牽制の蹴りをばらまき、見つけた隙へ歩の足が飛ぶ。かかとを杭のように打ち込むと同時にふくらはぎへ刃が滑るも、構いやしない。
「滴くんも、他のみんなもさあ。このまま寝子島に帰れないなんて、そりゃあダメだわ。ああ、ダメだね、俺は認めない」
「死ねばいいのに。あんたなんか。うまなきゃよかった」
「ちょいと知った顔だかんね。あんな表情させてる、あんたのことは許せない。ぶっとばしてやんぜ」
迅雷のように突き出す包丁が、歩の胸を貫く……直前に、彼は姿を変じた。正しくは元の姿、コンバットブーツへ戻ったのだ。あやかしにはあやかしの、付喪神には付喪神の手管がある。
風を巻き込み伸びてくる刃を華麗にやり過ごし、人の姿を取る頃には無防備な女の振り向く顔がスローモーションに見えた。
「クツさえ履けば、人間どこにだって行けるもんだ。そのクツを、あんたが取り上げたんだろう。なあ、そうだろう?」
空中で回し蹴りを放つ。歩の十八番だ。狙い違わず炸裂した蹴りで、女はきりもみうって吹き飛んだ。
「……同情はするよ。おばさんも苦労があって、辛い感情を抱えて、行き詰ってこうなったんだろうさ。でもそれは……子どもを生んだせいじゃない」
女は包丁を投げ出し、しばし起き上がらなかった。
やがて弾かれるようにむくりと身を起こすと、忌々しげに歩を睨みつけ、そして青くほどけて消えた。
人間の生はかくもややこしく、苦難に満ちているものか。その限りではないと、歩は信じているのだが。
「っぷー」
「ん?」
するり、白い布が現れた。ひらひらひらり。
「こわーいおばさんに追いかけられたのですー。ゼロは、夢の中に避難していたのですー」
布だと思ったものは、
ゼロ・シーアールシー
だった。
「おにいさん、助けてくれてありがとうなのですー」
「どういたしまして。怪我が無くて何よりさ」
ともかく、誰かを助けることができたらしい。歩は少しいい気分で、にかっと笑った。
「滴さんを見たのですー」
イマイチつかみどころのない少女ではあるが、誰かのお役に立ちたいといった普遍的な感情はあるらしい。
「きなこさんに聞いたのですー。ここは『つみいえ』と言われてるらしいのですー。つみいえは、滴さんの家なのですー?」
「どうやらそうらしいねえ」
つられて語尾が間延びした歩を先導し、ゼロはとことこと室内を軽快に進む。まるで勝手知ったると言わんばかりだが、もちろんのこと初めての場所である。
「滴さんは、どうしてこんなところにいるのですー? 聞いてみたいのですー」
「そうだな。何か事情とか、思いとかあるんだろう。話、聞いてみないとなあ……ところでさ」
ゼロがくるりと振り向くと、歩は難しい顔で佇んでいる。
「ここ、さっきも通らなかった?」
「そうなのですー? そうかもしれないのですー」
「迷ってんな、こりゃ」
積み家の構造は複雑……というより不可解、不条理だ。このあたりは築ウン十年といったもはや朽ちかけたアパートのようだが、1階の個室を出ると2階に繋がっていたりするし、外廊下は異様に長くて明らかに外観に収まらないサイズだし、一方向に進んでいたはずがこうして同じところに戻ってしまったりする。
おかげで二人の方向感覚はすっかり狂い、同じところをぐるぐると巡るのみとなっていた。
「あっ」
ふと、ゼロが真下を横切る何かを見つけた。
黒い毛並み。青い瞳。黒猫の子どもだった。
「よお。こんなところでどうしたんだい」
よく見れば尾が二又に分かれている。小さいがあやかしらしい。
猫又の子は、ゼロのワンピースの裾をくわえてくいと引くと、ゆっくりと歩きだした。
「猫さん。案内してくれるのですー?」
どのみち手詰まりだ。二人は先を行く黒猫についてゆくことにした。それに黒猫は青い闇を避けているようで、少なくとも同類ではないらしい。歩の見立てではこちらへの害意も感じられなかった。
猫又は二本の尾をふりふり、実にスムーズに積み家を進んでゆく。堂々巡りだったアパートの階段まわりをあっという間に脱し、長大な廊下の中ほどで、黒猫は足を止めた。
「こりゃ、なんだ?」
「絵が描いてあるのですー。でも、やぶれてるのですー」
猫又が示したそれをゼロが拾い上げる。
どうやら、破れたスケッチブックの一片といったところだろうか。子どもが描いたのだろうか、拙い筆致の黒猫の絵だった。
破られて上半身のみではあるが、クレヨンで描き込まれた毛並みや瞳の色は、目の前の猫又の子に似ているような気がした。
「ん……?」
「おおー?」
眺めているうち、ゼロの手元がぽうと青白く灯る。
幻像が起ち上がり、いくつかの人の形を成していく。やがてそれらはかすれたビデオテープのように、映像を再生し始めた。
住人の、おそらくは建物にしみ込んだ記憶。その発露なのだろうか。
──そうそう。子どもの頃はあの人たちが何の話をしてるのか、さっぱり分からなかったなあ。
何だかイヤな顔してるな、って思ったくらいでさ。
『ねえ、聞いた? 黒白さんのところの』
『なになに、新情報?』
『あそこの旦那、ギャンブルでほうぼうに借金作って、首が回らなくなっちゃって。最後には失踪しちゃったんだって』
『ああ、そう。やっぱりね。へええ。相当なギャンブル狂いだったのねえ』
『なにしろ、娘さんが生まれる日にも競馬に行ってたっていうんだから。娘の顔見たのは生まれた翌日だったらしいわよ』
『そりゃあ筋金入りね。ま、ずぶずぶに浸かっちゃうと抜けられないっていうからねえ』
父親の顔なんて知らないし、どんな人だったかも、あんまり興味は無いかなあ。
でも私やママに残すなら、できれば借金以外にしてほしかったよねえ。
主婦たちの下世話な井戸端会議を遠巻きに、小学校低学年くらいだろうか。白黒のエキセントリックな髪色をした女の子が、ぼんやりと眺めている。
淡々とした独白は、彼女のものだろうか。
記憶の中のママは、いつも怒ってた。私にも、誰にでも。
『越してきて三か月くらいかしら?』
『そうね。あちこち転々としてるらしいわよ』
『借金取りから逃げて、って感じ?』
『さあ、それもあるかもしれないけど。でも、あの奥さんでしょ? 一つ所に長居はできないわよ』
『確かにねえ。どこに行っても、あの調子じゃあねえ』
『行く先々でご近所と衝突して、トラブル起こして……あっ』
『噂をすれば……って、ちょっとこっち来るわよ』
『やだ、目を合わさないようにしないと』
聞き覚えのある声のほとんどは、金切り声。怒鳴り声。忌々しそうな声とか、そんなのばっかり。
噂話が広まれば、その出処を執拗に探って突き止めて、怒鳴り込んだ。何度も何度も。引っ越すたび、飽きずに同じことをして。さらに噂が広まって、結局住んでられなくなって。
子どもの頃から、ずうっと繰り返し。ま、それも結構、慣れちゃったけどねえ。
主婦たちの雑談へ割り込み、奇声を発しわめきたてている女の歪んだ面立ちに、ゼロも歩も覚えがあった。思わず顔を見合わせる。
先ほど大立ち回りを演じた、包丁を振り回す、あの女だった。
「やっぱり、母親か……」
つぶやいた歩の苦虫をかみつぶしたような顔の横で、ゼロは無表情だったが。
「滴さん。なんだか、かなしそうなのですー」
幻像が夜霞のように消えてゆくまでしばし、神妙なまなざしで見つめていた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
バトル
NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年10月23日
参加申し込みの期限
2022年10月30日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年10月30日 11時00分
参加キャラクター一覧
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