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しずくがこぼれおちるとき<黒>
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──20:50、積み家・和風家屋 無限回廊
あらゆる有事において、情報は生命線だ。知が力を凌駕する局面は事のほか多い。まして相手はあやかしや怪異の類なのだから、生き残るため人の身で発揮するのは腕力よりも知力であろう。
「つまり、この家は黒白さんの……」
「はい。ねこったーで情報が回ってたみたいです」
鴻上 彰尋
と
綾辻 綾花
の情報をすり合わせてみれば、実に多くの知見が得られた。
失踪事件に、滴の死が関わっているらしいこと。ストリートグラフィティや魔法陣に触れ、自分たちは霊界へ引きずりこまれたらしいこと。縦に積まれたこの奇妙な家々は、滴の記憶にまつわるものであるらしいこと。
恐ろしい怪異がそこにはうろめいていることも。
「そうか。ねこったーのあの流れは、みんなが情報共有をしてくれてたんだね」
見知った顔だ。その死をいたずらにネットの海へ流しているように思えて、彰尋は少しばかり懸念していたのだが、どうやら杞憂だったようだ。
「川添先生と一緒に行動していたみんなの中の誰かが情報をまとめて、危険を周知してくれていたみたいです」
「なるほど」
和風家屋。そう見える。障子に襖。畳のやわらかな踏み心地は快適。座卓に火鉢。桐箪笥の上には日本人形。滑らかな梁が天井を走り、壁には在りし日の家人であろう白黒写真がいくつか掛けられていた。
大きな家だ。縁側の向こうには庭だってあるが、それらがあの積み木よろしく積み上げられた民家やマンションの一階層の上に乗っかっているのだと思うと、二人は背筋にうすら寒いものを感じずにいられない。
どこからか、ひっきりなしに声が聞こえる。いかにも剣呑な怒声が飛び交っているが、どこから聞こえるのかは分からない。
彰尋は深呼吸をし、うなずいた。
「とにかく、行動しよう。みんなで寝子島に帰るんだ。黒白さんがもしこちらにいるなら、彼女も一緒に」
「はい! あの、でも、その前に」
「うん。その前に?」
そこで彰尋は、目の前の綾花の顔がいささか青ざめているのに気づく。
彼女は指差し、叫んだ。
「逃げましょう!」
見れば険しく顔をしかめた女が息を荒くして、立っていた。錆びた包丁を固く握り込む拳は、そのまま握りつぶしてしまいそうだ。瞳はぎらついて二人を睨んでおり、どう好意的に解釈しても味方とは思えない。
「あんたのせいだ。あんたのせいだ」
「うわっ……!」
刃を振るわれたと理解したのは、腕に熱い痛みを覚えてからだ。
弾かれたように二人、後ろへ駆けだす。
「こっちへ!」
綾花が襖を開くと、長い廊下が続いている。明らかに先ほど眺めた外観には収まらない長さだ。
すさまじい速度で女は追いすがる。綾花も彰尋も、荒事の対処に長けてはいないから、ともかく逃げるしかない。追いつかれればどうなるか、火を見るより明らかだ。
「く……」
せめてもの抵抗で、彰尋はジャケットを脱いで投げつける。女の顔に一瞬絡むも、振り回す包丁であっという間にずたずたに引き裂かれてしまった。
「ああっ」
稲妻めいた動きで肉薄すると、女は綾花へ包丁を振るう。とっさに上げた両腕に包丁を握る拳がぶつかり、綾花は背後の襖をぶち破って部屋の中へ吹き飛んだ。
彰尋も飛びこみ、決死の覚悟で背の綾花をかばい立つ。
「あんたがいるから、うまくいかない。わたしの人生めちゃくちゃよ。あんたのせいだ」
怜悧にひらめく刃が、その顔面へ垂直に突き立てられようとした、その時に。
輝く光が二人の眼前に収束したかと思うと、形を成した。
「……にゃんこ!?」
子猫が、宙に浮いていた。黒猫だ。
まさしく浮いている。やや身体を丸め、女を青い目で見据えている。
尾がふたまたに分かれて揺れていた。
「あんたなんか……うまなきゃよかった」
女は小さな黒猫に気圧されたように後退ると、ひと言恨みがましくつぶやき、青く幻像に還り消えていった。
いわゆる『やっつけた』わけではないのだろう、というのが二人に共通の解釈だ。執念深く見えたし、女を追い払って見せた黒猫の毛がいまだ逆立ち、時おりぺたんと座り込んでは周囲を忙しなく見回し、尾で床を叩いているのを見るに、恐らく間違ってはいないだろう。
しかしながら、しばしの時を稼げたに違いない。
彰尋は緊張する猫の前にしゃがみこみ、目線を合わせて言った。
「君は……あやかしかな? ありがとう。おかげで助かったよ」
「ありがとうございました! あの。撫でてもいいですか?」
綾花もうずうずしながらそっと手を伸ばすと、黒猫のほうから頭をすり寄せてきた。小さく頼りなげに、みいと鳴く。
「だ、抱き締めても……!?」
「いわゆる猫又、ってやつかな。でもこの子は、しゃべれないみたいだね」
「あやかしにもいろいろいるんだって、きなこちゃんも言ってました。ただ、私たちの言葉は理解してくれてるみたいです」
ひょいと抱き上げた黒猫は、綾花へこくこくとうなずいた。少しばかり緊張を解いて、彰尋の伸ばした手のひらをあっさり受け入れ、撫でられてくれる。
ふと思いついて、綾花は問う。
「君は、滴ちゃんのお友だち?」
はっとしたように顔を上げ、ひとつこくりとうなずくと、黒猫は綾花の腕をひょいと抜け出し、襖の向こうを鼻先で差す。
ついてきて、と言っているようだ。
「行こうか。あれが戻ってこないうちに、探そう。その、何かを」
「黒猫ちゃんが案内してくれるのかな? お名前が知りたいですね……」
腕のぬくもりを名残惜しく思いつつ、襖を開ける。がらんとした部屋の向こうの襖も開くが、どれも似たような構造で、調度品の類も似通っている。特にめぼしいものは見つからない。
綾花は通過した部屋へ一つずつ、分かりやすい場所を選び煮干しをいくつか置いてゆくことにした。奇怪な存在はあれど、ここにはパンくずをついばむ小鳥も見当たらないから、もと来た道をたどる事態となったなら役立ちそうだ。
黒猫は迷いなく襖や障子を示し、進んでゆく。いかにも勝手知ったる場所、といった振る舞いだ。
「……ここを、守ってるんだろうか?」
「あの子ですか?」
揺れる黒猫の尾を見つめ、彰尋がぽつりと漏らした。
「うん。こんな複雑な家の構造をすっかり覚えてしまうくらい、長いことここにいるようだから。あの子が黒白さんの友だちなら、もしかしたら……」
「滴ちゃんの記憶を守ってる……?」
あっ! と声を上げたのは綾花だ。黒猫へ、障子の向こう、廊下の隅にわだかまっていた闇から生まれた獣が襲いかかるも、くあっと牙を剥けば怯んだように闇は退いた。
黒猫が滴の既知であり、ここが滴の記憶によって成るのなら、あやかしの力をもってそれを守ろうとするのも当然だろうか?
しかし、記憶の象徴として現れる怪異たち……ことに中年女性の狂乱ぶりは、およそ守らねばならない思い出とは思えない。
「大きくなってきましたね」
唐突にも聞こえる綾花の言葉だが、彰尋はうなずいた。
和風家屋に足を踏み入れてから、常に耳へ届いてはいたのだ。
止むことなく怒声は響いている。出処へ近づいたためか、より大きく、いくらか言葉の詳細も聞き取れるようになってきた。
「……そうぞく……いさん……?」
「家主が亡くなって、遺産の相続で親族がモメている。という感じかな」
急くように小走りだった黒猫が、ぴたり足を止めた。二枚の鳥の子柄の襖の向こうに、喧々諤々、憎悪に満ちた癇声の応酬を繰り広げる者たちがいるらしい。
その証に、黒猫の毛並みはハリネズミもかくやと鋭く逆立っていた。
たがいに目くばせ。後に彰尋はふたたびの深呼吸を経てから、漆塗の引手に指をかけ、引いた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
バトル
NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年10月23日
参加申し込みの期限
2022年10月30日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年10月30日 11時00分
参加キャラクター一覧
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