this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
しずくがこぼれおちるとき<黒>
<< もどる
1
…
9
10
11
12
13
つぎへ >>
『恵御納、恵御納。霊界なんだな。脱出できないのか?』
「八神君……は、どこにいるの』
『黒白のアトリエだ。こっちから何とかできないか試す』
人にとっておよそ生きて到達する場所ではない、霊界に足を踏み入れた今、寝子島から届く友人の声のなんと頼もしいことか。
恵御納 夏朝
はみなを振り返り告げた。
「今、黒白さんのアトリエで八神君たちが、僕たちを助ける方法を探してくれてるみたい……綾辻さんのメモ、やっぱり向こうに行ってたって」
「繋がっているんですね」
綾辻 綾花
を襲ったのはアクシデントだったが、どうやらそれが功を奏したらしい。
八神 修
は言った。寝子島と霊界は今、何らかのきっかけを通じて、回廊を繋げた状態にあるようだ。
繋げているのはおそらく、寝子島のアトリエに描かれた……滴の遺体が横たわる、魔法陣。
「魔法陣……? あれ、そういえばさっき」
何かを思い出したのは、
佐藤 英二
だ。
「みんな、ちょっとこっちに来てもらえるかな?」
窓の外に広がる偽りの夜景を横目に、英二が先導した先には、扉があった。タワーマンションの一室、構造的には寝室かどこかの扉に思えるが、霊界、積み家においてはそんな常識や物理法則が通用するとは限らない。
「あら。これは」
「魔法陣、ね」
巫部 紫苑
が指を差す。
三宅 葉月
もうなずいた。
「さっき、この扉の前で、あの黒猫が鳴いてたんだ。もしかして何かあるのかなって、気になってて……そのときは開かなかったんだけど」
英二が見つけたのは確かに、魔法陣。それらしき紋様が、扉の中ほど、取っ手の上の錠に並ぶように刻みつけられている。
滴が描いたものだろう。みなにもそれが分かった。新しい父の淫行から身をかわすため、心理的な防御策として、すがるように刻んだものか。
いずれにしろ、出口というならここ以外にないだろう。
「開けてみよう。みんな、下がっていてくれ」
鏨 紫
が前に出て、ゆっくりと手をかけ、扉を開く。
予想に反して抵抗もなく、すんなりと開いた。
「う……っ?」
張りつめていたものが解き放たれたように、扉の向こうからは闇が噴き出した。
「こ、ここを通るのが出口……?」
「マジかよ……っつーか、通れるのかこれ?」
顔を見あわせ、英二と
滝原 レオン
は眉をひそめる。
まさに、青い闇の巣窟だ。そこかしこにぼんやりと青く灯る口内や牙が開き、触手が獲物を探しうごめく。
障害はそれだけではなかった。
ゼロ・シーアールシー
が無表情に、しかしどこか嫌悪感をにじませて、
「わー。また来たのですー」
あの怪異だ。中年女性の姿をした怪異。滴の母を模した闇の手駒。長い廊下の向こうから、包丁を手にやってくるのが見えた。
加えて彼らは、足元が微動していることに気づく。積み家がかすかに揺れていた。窓の外を見れば、積まれた家々のあちこちから、まるで巨大な軟体生物の足を思わせる、長大な触手が外壁を破壊しながら飛び出しているのが見える。
「こりゃまずいな。あまり時間が無さそうだ」
漫 歩
も舌打ちまじりにぼやく。
積み家の崩壊が始まっていた。
「っ! 急がなきゃ……!」
意を決し、扉の向こう。渦巻くような闇へと自ら手を差しこんだのは、夏朝だった。
袖には猫シールを張り付けた。少しでも身を軽くし、通り抜けられればと考えたのだ。
直後に、声が届く。
「恵御納! テオ! 黒白!!」
「八神君!! そこにいるの!?」
「ああ! みんないる! 戻って来い!!」
がくん、と夏朝の手が闇へ引き込まれる。
扉の向こうは、闇の深淵か。はたまた、見知った顔の並ぶ寝子島へ繋がっているのだろうか。光差す出口を見い出すことができるだろうか。
「……ま、待って!」
その時。
月原 想花
は張りつめた声で、叫んだ。
「ぼくはまだ、帰れない……!」
夏朝の身体はすっかり見えなくなり、多重に反響する声が代わりに届く。
「抜けた……! みんな、早く飛び込んで! こっちから、引っ張るから……!」
「ぼくはまだ……帰れない。滴さんも、いっしょじゃなきゃ」
滴の記憶に触れ、近しく思う気持ちは増した。思慕であれ、それ以外の感情であれ、彼女を霊界に残したまま戻る気には到底なれなかった。
「でも、想花ちゃん、このままじゃまずいよ! 想花ちゃんまで帰れなくなっちゃう!」
「それでも……いい。滴さんがここにいるのなら、ぼくは」
必死の顔で叫ぶ
白 真白
へ、想花は頭を振る。
思いつめていたのだろう。無力感に苛まれ、自らの無惨な過去までほじくり出され、心は疲弊した。諦観に苛まれたのだろう。
うつむき、唇をかむ想花の悲壮に、二の句を告げられる者もなかった。
扉を埋める闇がふくれ上がる。届く声は徐々に小さくなってゆく。
「やばいぞ、繋がりが途切れる……!」
無論、みなを巻き込むのが想花の本意ではない。滴も、仲間たちも、大切だ。すんなりとどちらかを選べるわけもない。
迷いが想花を惑わせる。
「でも……でも、ぼくは、滴さんを連れて……ここから!」
『──ダメだよぉ。想花ちゃん』
声は、心へ直接伝わるかのように聞こえた。水の中のように遠く波打ち、耳元でささやくように近く静かだった。
青く淡く、ぼんやりと灯っている。幻像だろうか。けれど滴の姿は、手を後ろに組み、空をたゆたうごとく浮かびながら、確かに彼らを細めた青い瞳で見つめていた。
「滴……さん」
呆けたように想花はつぶやく。
『こんなところにいちゃダメ。諦めちゃダメだよ。だって想花ちゃんには、みんなには、大事なお願いがあってさ』
す、と上げた滴の手も腕も、どこもかしこも透けている。夜景をその身体に透かした滴の顔は、穏やかに見えた。
「あっ。欠片が……!」
想花やレオンらが集めた、破き散らされたスケッチブックの紙片だった。
紙片は滴の手に馴染むように青く集い、凝縮し、やがて一冊となった。
滴はその表紙をひとつ指先でなぞってから、想花へとスケッチブックを託す。軽いが、ずしりとした確かな存在感を両手に感じ、想花はそれを抱きかかえる。
泣きそうな想花や、懐かしい面々の顔。扉から漏れ聞こえてくる、聞き覚えのある声。それらへ、滴は今までに見たことのない……どこか、たまらない面持ちを浮かべるままに。
『ごめんねえ。みんな。本当に、ごめん』
そうしてみなを見回し、想花の潤む瞳を覗き込み、告げた。
『私から……寝子島を、守ってね』
「そ、それってどういう……」
思わず尋ね返そうとした、瞬間。扉の闇が収縮した。夏朝の、修の呼び声がにわかに大きくなる。
――戻ってこい!!!!!
ずず、と足元を取られ、吸いこまれてゆく。寄せては返す波のように、星の爆縮のように、周囲のあらゆる景色を粒子へと解きながら、彼らを扉へ取り込んでゆく。
「……滴ちゃん! あなたの願いは、なんだったんですか!?」
身動き取れず、崩れゆく柱にしがみつきながら、
宮祀 智瑜
は叫ばずにいられなかった。
「私はろっこんで、あなたの願いを知ろうとしたんです! そうしたら、霊界に飛ばされて……滴ちゃん、あなたは自分から、霊界へ来ることを願ったんですか!?」
儚く。消え入りそうに。滴はただ、智瑜を見つめていた。
「あなたの願いは……もしかして! あの子と、もう一度……!」
やがて、声は失せ。
彼らの姿も失せ、うごめく闇だけが残されてなお、滴は青くたゆたいながら、虚空を見つめて。
つぶやいた。
『さよなら』
ぽつり。しずくがこぼれおちるように。
<< もどる
1
…
9
10
11
12
13
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
しずくがこぼれおちるとき<黒>
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
バトル
NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年10月23日
参加申し込みの期限
2022年10月30日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年10月30日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!