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■土曜:午後十二時半、那覇市内
濃い青空のもとをゆく。
クラブ『プロムナード』の一行がずらずらと、スーツケースを引いてゆく。
したがって正確には『ずらずら』というより『ガラガラ』というべきか。もちろんこれはスーツケースの車輪がアスファルトを削る音である。
「ほんとにこんなとこにあんの?」
住宅地じゃん、と
まみ子
が言った。
住宅地とまみ子は表現したが、東京の下町や寝子島旧市街とこの地では様相が異なる。箱を重ねたような白い建築が多いのだ。それも立方体を積みあげたような。二階建てないし三階建てが基本らしい。屋上には大きな水タンクが据えつけられているのも特徴で、これは断水に備えてのものであるという。そんな建物の合間を縫うように、琉球瓦という赤土の瓦屋根をもつ平屋の住宅が顔を出している。そういった家の門左右にはご存じシーサーが飾られているのが定番で、なかには瓦屋根の上に鎮座するシーサーもあった。魔よけの石像たるシーサーだが、あまり獰猛な雰囲気はなく、目が丸くてなんとも愛嬌のある顔立ちだ。『石敢當』と謎の三文字が書かれた石碑が、ほうぼうに立っているのも不思議だった。これも魔よけなのだろうか。
まみ子の装いは白いブラウスに重ねた黒いフレアワンピース、うんとショート丈で膝の出るロングソックスと厚底のシューズを合わせていた。くわえて頭はツインテール、うっかりすれば中学生くらいに見えそうないつものルックで日傘をさしている。日傘を含め黒ばかりなので暑そうだ。空港からモノレールに乗って安里駅で降り、沖縄最大の繁華街こと国際通りに入るのかと思いきや、道をそれて歩き出したのだから暑さもひとしおであろう。
「大丈夫ネ、ワタシ、下調べしっかりしたヨ。沖縄はフツーの住宅地にいきなり飲食店があったりするのヨ」
一行を先導するのは
アリス・トテレス
だ。ブラウスこそ半袖だがそれ以外は通常運転、ロングスカートのメイド衣装、まみ子にも負けないゴスっぷりといえようが、暑さにもまったく平気の体である。
ゴスっぽさといえば新入りの
烏魚子 一紗
(からすみ・かずさ)も相当なものである。ブーツを含め完全なる黒一色、日焼けを全力で拒否する扮装というのか、腕から手先まですっぽりと黒い長手袋で覆っていた。マスクもしておりやはり黒、ロングヘアも漆黒、わずかにみえる顔が驚くほど白いので、ひとりだけ白黒映像のようになっている。
「私、アリスさんを信用します。あと、方向音痴なのでここではぐれたら永遠にホテルにたどり着けません」
きっぱりと断言しているが言っていることは不安である。一紗が付いてきているかときどき確認しようとアリスは思う。
「暑さはともかく湿気には参るわ。まあ慣れてきたけど」
と言うのはハリウッド女優みたいなサングラスをかけた
沙央莉
(さおり)だ。
「でもお腹空いたー、機内食ほんのちょっとしかなかったし」
腹減ったまだかーと沙央莉はブーイングする。
誘拐未遂事件
以来、一時は引きこもりのようになっていた彼女も、このところはずいぶん復調していた。店のトップの座は
泰葉
(やすは)に奪還される格好となったが、むきになったりせず「しばらくその座は預けておくわ」などと言う余裕もある。サイド部分がヌーディカラーになっており、素肌が透けているのかと見まがうようなセクシードレス、同伴出勤時にチョイスしているものをそのまま着てきている。これにヒールの高い靴と白い帽子をあわせていた。
「あれじゃない? ほら? 看板が出てる」
その泰葉はこの旅で、ずっと沙央莉に付き添っている。朝はわざわざ遠回りして沙央莉のマンションに迎えに行ったというし、飛行機でもずっと隣の席だった。沙央莉も別に拒否しない。べたべたはしないが何か困るたびに泰葉の意見を聞いている。いまだ公式には『仲が悪い』ということになっている泰葉と沙央莉だが、アリスは「プロレスの筋書きみたいなものネ。アングルとかジングルっていうみたいヨ」と理解していた。なお泰葉は地味系女子大生のような服装だ。ゴージャスを絵に描いたような沙央莉と比べるとずっと質素である。
「なんじゃあずいぶんと年季が入っとるのう」
九鬼姫
(くきひめ)が眉をしかめる。九鬼姫は飛行機搭乗前からずっと元気で、飛行機が離陸したとたん数分で眠りに落ちたためか降りてからもやっぱり元気だ。
箱を重ねたような建築のひとつ、その一階部分が店になっている。コーラのブランドロゴがでかでかと描かれた横に、『ぐしい食堂』なる明朝体文字が躍っている。だがブランドロゴはずいぶんかすれているし、文字もあちこち剥げていた。建物を含め全体的に黄色がかっており、自称タイムトラベラーの九鬼姫も『古い』という印象を受けたようである。ドアだってベランダの入り口よろしく手動のガラス戸だ。
一同をふりかえると、自信満々にアリスは告げた。
「年季入ってるのがいいのヨ。つまりそれだけ長く地元のみなさんに愛されてるってことネ!」
「その通りっすよー!」
あんな
は手をあげて賛意を示した。
「入るっすよ。楽しみっす!」
立て付けの悪いガラス戸をえいやとひらく。
店内は明るい。剥き出しのコンクリート床、学食みたいな長テーブル、椅子は全部丸椅子だ。業務用の冷房がガンガンに効いており、天井にも大型のファンがゆっくり回転している。テーブルも椅子も全部古いし、椅子にいたっては安定しておらずカクカクしがちだが、よく掃除されていて清潔感があった。短冊で壁に貼られたメニューの数々は全部手書きである。
アリスがプロムナードの常連客に教えてもらった店だ。沖縄出身で、帰省のたびに必ずここに顔を出すという。
「いらっしゃい」
人のよさそうなお婆さんが奥から出てきた。エプロン姿だ。
「まあまあ団体様でようこそ」
さもあろうアリスをはじめ、ここまでに登場した面々プラス
夕顔
、
恋々
(レンレン)、新人の
成小 瑛美
(なるこ・えいみ)、社長アーナンド・ハイイドに
ゴンザレス
など黒服衆三人、その他関係者にそれぞれの連れまで一緒なのだから。『ザ・グレート・タージ・マハル』の三名は研究を兼ねてカレー屋を求め国際通りに向かったが、それでもけっこうな集団である。ちょうど店は客がいなかったが、プロムナード一行の来店でたちまちフルハウスとなった。
「東京から来たのですかー?」
お婆さんの発音では、東京は『東チョー』に聞こえる。
「いいえ寝子島ネ。寝子島の渡嘉敷さんから、このお店教えてもらったヨ!」
アリスの返事を聞くと、たちまちお婆さんは相好をくずした。
「あー忠夫さん! 忠夫さんぬ紹介やれサービスしますよー」
ご注文はと尋ねるお婆さんに、
「沖縄そば! 沖縄そばたくさんね!」
「ソーキそばね、沖縄初めてだったらチャンプルーもおすすめよ」
「じゃあゴーヤチャンプルーと……」
泰葉が言うと、
「トーフ(豆腐)チャンプルーってのもあるのね、これも」
夕顔がつづき、
「あとなんか色々、適度にお願いしますよ」
アーナンドがしめくくった。
「はーい」
おじーさんおじーさんと呼ばわりながらお婆さんは奥に消えていく、
「団体さん来たよ、忙しいさー」
手伝ってと言うことなのだろう。まもなくこれまた人のよさげなお爺さんがあらわれて「ようこそようこそ」と言いながら三角巾を頭に巻いた。お爺さんというからお婆さんの夫かと思っていたが、もっとずっと歳上そうだ。九十歳はいっているのではないか。もしかしたらお婆さんの父親かもしれない。
そば、という名称こそついているが沖縄そばは、そば粉はではなく中華麺に近い製法で小麦粉から作った麺だ。一般的な中華麺よりはずっと太めでひらべったく、出汁はかつおベースなので和風テイストである。店によって具材に差はあるそうだが、『ぐしい食堂』ではネギとかまぼこ数枚、ソーキと呼ばれる厚切りのスペアリブが入っている。なおこのソーキは、知り合いからの紹介ということでたっぷりサービスしてくれたそうである。
「あっさり目のスープでおいしいネ!」
一口すすってアリスはたちまち気に入った。ソーキは濃い口だがやわらかく、このスープにとても合う。それに麺だ。
「この独特の麺……ラーメンや日本ソバとも違って、とても好きヨ!」
「これは何かのう?」
九鬼姫が手にしたのは、萌とユウたちのページでも紹介したコーレーグースーの瓶である。辛いよとお婆さんが注意してくれたのに、九鬼姫は「そうか」と大胆に入れ、大胆なリアクションを示す結果となった。
沖縄といえばゴーヤチャンプルーが有名だが、『チャンプルー』は沖縄方言で『ごちゃまぜ』という意味であり、要するに炒め物の通称である。だからメイン具材がゴーヤなら『ゴーヤチャンプルー』だが、豆腐メインなら『トーフチャンプルー』となる。そうめんをを使う『ソーミン(そうめん)チャンプルー』というのもあるし、玉菜(キャベツ)中心の『タマナーチャンプルー』もおいしい。
「ゴーヤチャンプルーってビールに合うのよね~」
沙央莉は早々に地元沖縄ブランドのビールを開けてご機嫌である。「水! 水!」と口内が火事状態になっている九鬼姫にも「ほれ」とグラスに注いで渡した。
おや、という顔を恋々が見せた。あの沙央莉が九鬼姫を気遣った――とでも言いたげな表情だった。沙央莉は九鬼姫を嫌っており、九鬼姫だって同様のはずだったのだ。しかし恋々の顔に浮かんだものは一瞬の火花のごとく、あらわれたと同時に消えている。
アリスは恋々の変化に気がついたが、何も言わないでおくことにした。
九鬼姫の病気こと、知ってる人はごく少数ネ。
知っているのは九鬼姫と同居の恋々、アリスをのぞけば、アーナンドなど数えるほどしかいないはずである。少なくとも沙央莉は知らないだろう。それでも沙央莉が九鬼姫に親切にしたり、『仕事の同僚とプライベートの付き合いなんて勘弁』と常日頃言っているまみ子が、ごく当たり前のような顔をして旅行に参加し今も九鬼姫の隣にいて苦笑したりしているのはもしかしたら、色はなくとももやもやと漂う別れの予感を敏感にかぎとったからかもしれない。
「……皆にもいつか明かす。だがそれまで黙っていてくれ」
あの後
、九鬼姫はアリスに頭を下げたのである。真剣な表情で。
今でも、信じられないヨ。
ビールを一気にあおって「命拾いしたぞ~」などと笑っている九鬼姫が、脳腫瘍で余命いくばくもないなんて。
きっと来年の夏は、もうこの世界にいないなんて。
嘘でも冗談でもなかった。自分がかつがれているだけならどれほどよかっただろう。
そういえば今朝からずっと九鬼姫は浮かれているように思う。はしゃぎすぎなくらいに。九鬼姫自身、これがきっと別れの旅になると知っているからだろう。
いけない、とアリスは唇を噛んだ。
考えすぎ、よくないネ。
「コーレーグースーが目に染みるヨー」
と笑って、大ぶりに切ったゴーヤにアリスは手を伸ばした。
よく火の通ったゴーヤは旨味たっぷりだった。けれどもかなり苦くもあった。
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10人
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10人
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シナリオガイド公開日
2022年07月04日
参加申し込みの期限
2022年07月11日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年07月11日 11時00分
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