【１０周年】吾輩は見た～週刊かぎしっぽのねこねこ記者｜リアクション

【１０周年】吾輩は見た～週刊かぎしっぽのねこねこ記者

●週刊かぎしっぽvol.XX130『大型ネコ科なおねえさまたちの秘密の……』

　にゃー……、にゃー……。
　山中を走る途中でおねえさまたちを見失った吾輩。
　さすが大型ネコみたいなおねえさまたち。
　激しい稽古のあとだというのに、トラみたいに駆けて行っちゃったにゃ。
　ようやく寝子温泉に辿り着いたものの、吾輩、息も絶え絶えにゃ。
　おねえさまたちは、立ち寄り湯をしている温泉の何処かにいるはず。
　そう思って玄関先を覗いて回った吾輩は、ようやくおねえさまたちの履物を見つけたにゃ。
　人間はお代を払って、赤とか青とかの暖簾をくぐらないと入れない温泉にゃが、吾輩たち猫は建物を回り込んで植え込みを抜ければ簡単に潜入出来てしまうにゃ。チョロいにゃ！
「ああー、極楽極楽」
「稽古の疲れがとれるわ」
　おねえさまたちの声にゃ！　藪から顔を出してみるにゃ。
「シロ、ちゃんと身体洗ったの」
「洗ったよ」
　聳え立つ二対の脹脛。
　志桜里ちゃんも獅百合ちゃんもすっぽんぽんにゃ！
　堂々と、隠すところなく、すっぽんぽんにゃー！
「クロこそ洗い残しがあるんじゃない」
「な！」
　獅百合ちゃんは背後から腕を回して志桜里ちゃんのおっぱいをもみもみ。
「嫌味なほど育ってきたわね。Ｄってところかしら」
「シロだっておなじようなものでしょう」
　志桜里ちゃんは獅百合ちゃんの腕から逃れると、引き締まった筋肉質なお腹をこしょこしょ。
「あは、あはははっ。やめ……！」
「仕返しですよ」

　湯船の中では斐美ちゃんと昴ちゃんがのんびりしながら、師範代なふたりのじゃれ合いをみているにゃ。
「クロやんとシロやんは相変わらず仲ええなあ」
「少なからず目のやり場には困るがな」
「うちらも揉んどく？」
「やめておこう……そんなことをされたらそなたを湯舟に沈めて溺死させかねないからな」
「スバルん、ときどき怖いこという……あ、猫」
　見つかったにゃ。
「おいで」
「猫も温泉に入るんだな。流石、寝子島」
　吾輩、おずおずと斐美ちゃんたちの傍まで行って、溢れてきたお湯でぱしゃぱしゃしたにゃ。
　は～、温くてくつろぐにゃー。

　お風呂上り。
　おねえさまたちは、道着は汗臭くなったから、と私服に着替えたにゃ。
　にゃあ～美しいにゃ。
　吾輩、悟ったかもしれないにゃ。

　強さとは、美しさなのかもしれないにゃ。

「ねえシロ、見て、瓶牛乳があるわ。温泉と言えばやっぱり瓶牛乳よね。飲みましょう」
「クロったらもっと乳を育てるつもり？」
「戯言を。普通に風呂上がりの牛乳が美味しいからです」
「そういうことにしておいてもいいけど」
　志桜里ちゃんと獅百合ちゃんは、鏡合わせみたいに腰に手を当て、瓶牛乳をごくごく。
「うちは温泉卵ー」
「美味いよな、出来立ての温泉卵」
　斐美ちゃんと昴ちゃんは、温泉につけておいたとろとろの卵をちゅるんと食べていたにゃ。
　吾輩、いっぱい走ってあったまって、とろんと眠たくなってきたにゃ。
　今日の取材はここまでにゃー。
　温泉宿のソファをお借りしてひと眠りさせてもらうにゃ。
　ふにゃ～あ。

「強いおねえさまたち、恰好いいにゃー」
「強き者は日々の鍛錬を欠かさないものにゃ」
「身体を休めるのも鍛錬にゃー」
「それにしても、いつかおねえさまたちと戦う相手は不憫だにゃあ。きっとおねえさまたち、とっても強いにゃ。こんなに鍛錬しているんだから間違いないにゃー」