改造版・ねこっこ☆モンスター｜リアクション

改造版・ねこっこ☆モンスター

「アハハ、ハハ、」
　添木牡丹は渇いた笑い声を上げる。
　なんで？　なんで？　と狂気じみた疑問を混ぜながら。
「私が秘かに育ててた改造ねこモン『ワシオッパイ』（モデル：鷲尾礼美）が居ない世界なんて……滅んでしまえばいいのに」
　どうやらお気に入りのねこモンがこの異空間に存在していないことが不満らしい。
　フッと彼女の表情から狂気が消え去り、代わって優雅な笑みが浮かび上がる。
「ああ、大丈夫ですよ。ホワイトデビル……私、貴方の事は信用してますから」
　傍らに佇むホワイトデビル（モデル：ウォルター・Ｂ）はなにも答えようとはしない。
　いや、答えてはならないことを理解しているのだ。
「優しくて聡明な貴方はなんだかんだ言って問題児の私を裏切れない…そうでしょ？」
　うっとりと添木はホワイトデビルの頬に手をかけた。
　ここにきてようやくホワイトデビルは口を開く。
「その通りだよー、君は大変な問題児だからねー」
　主人に対しても可愛げのない毒を吐く。お喋りな彼からすれば十分な譲歩だったが。
　添木は満足げに微笑んで、「わあぁ！」と聞き覚えのある声の方に視線を投げた。

　バイト先で譲ってもらい、ひっそりプレイしていた美崎岬。
　改造版なので開けっ広げにはできないが、どうにも気になって交流会に参加していた。
（なにコレ！　パラダイス！　わあい!!）
　美崎は目を輝かせて、愉快な不思議空間を見渡し――唐突に動きを止めた。
　

（はっ、オニックマせんせー!?）
　視線の先には、彼女が愛を注いだオニックマ（モデル：吉田熊吉）が。
「まさか会えるなんて……」
　次の瞬間、美崎は駆け出した。
「会えるなんて……！」
「危ないぞ……！」
　そのまま、どっしりと構えたオニックマの腹に飛び込むつもりだったのだろうが、美崎の足取りは危うい。
　オニックマの方が、美崎を支えるために駆け寄った。
「せんせー！」
　倒れこむようにしてオニックマを抱きしめると、美崎はもちもちとした腹の感触を確かめて歓喜に震える。
　オニックマはほっと息をついてから、少し照れくさそうに彼女の頭に手をおいた。
「美崎、大事に育ててくれてありがとな」
　

　感動のご対面を見届けてから、添木は美崎にもったいぶるように声をかける。
「あら、美崎さん。うふふ、楽しんでるようでなにより」
　声をかけられてようやく添木の存在に気がついた美崎は、笑顔を咲かせた。
「牡丹ちゃん！」
　美崎は添木に純粋な好意の眼差しを向けてから、ちらりとその横のホワイトデビルに視線を移した。
　美崎の物欲しそうな視線を受けてホワイトデビルは眉をひそめる。
「ね、牡丹ちゃん、ホワイトデビルせんせーも素敵ね！
一回だけぎゅっとしていい？　かしら？　ねっ？」
　美崎は甘ったるく微笑んでねだる。
　その愛を添木は笑顔で受け止めて、快諾した。
　ホワイトデビルは一瞬ムッとしたが、美崎はそんなことお構いなし。オニックマに支えられながら、ホワイトデビルに歩み寄った。
　添木は微笑ましいものだと二人を眺めていると、妙案を思いつく。
「……そんなにホワイトデビルが気になるなら一緒に行動しましょうか？」
　添木の提案に、美崎は喜んで乗りかかった。
「あ、その前に」
　美崎はホワイトデビルから腕をほどいて、添木に手を伸ばした。
「牡丹ちゃんもギュッとしていい？」
「……ええ、もちろん」
　添木から美崎を抱きしめると「へへッ」美崎は幸せそうに声を漏らす。
「喜んでもらえて嬉しいわ」
　彼女の耳元で添木が囁いた。
「ねぇ、美崎さん。私達でチームを組まない？
　ウフフ……負けなしでラブテロ出来るわよ♪」