改造版・ねこっこ☆モンスター｜リアクション

改造版・ねこっこ☆モンスター

　買ったばかりの公式ソフトで交流会に参加していた普堂しおりも、なぜか改造版の世界に迷い込んでいた。
「ゲームに入ってる？　凄い！　噂に聞くキャットアイランドみたい」
　興味津々といった様子で普堂は周囲を確認する。
（私も改造ねこモン欲しいなぁ……！　出来たら、担任の白沢先生みたいなあの子が欲しいなぁ）
　楽しそうにねこモンと戯れている人々を見て、普堂は少し羨ましく思った。
　すると突然白煙が立ち込める。
　すぐに白煙は消えていったが――

　そこにはユキシロ（モデル：白沢絢子）が現れた。
「え!?」
　普堂はぽかんと口を開ける。
「もしかして、服も自由に変えられるのかな？」
　普堂はユキシロに着せた衣服をイメージする。
　すると『ポン！』という効果音と共に、大事な部分はきちんと隠して、ユキシロの衣装が変わった。
　ひざ下まで伸びたクラシカルなメイド服。しかも猫耳と尻尾つきだ。
「可愛い素敵♪」
　普堂は手をパチパチと叩く。
「お鍋やお盆が武器なのッ」
　そう言うと、これまた『ポン！』といってユキシロの手にお盆が現れた。
　同じ要領で、普堂は自分の洋服を猫のきぐるみに変えてみる。
「……本当になんでもできちゃうのね！」
　普堂は楽しそうに色々と試していくのだった。

「改造はいけないと思うけど……」
　口では否定しながらも琴村嬢は湧き上がる感情を堪えきれそうになかった。

「まずはー、衣装チェーンジッ！」
　普堂と同様にしてアキカタナ（モデル：寝子サンマ）を召喚した琴村はさっそくアキカタナ弄りに興じていた。
　曰く、現実世界だと、サンマさん弄れないじゃない。だそうだ。
　ポンっとアキカタナの衣装が変わ――ったのか？
「マグロの着ぐるみに設定完了」
　ほとんど見た目が変わっていないが、どうやらマグロにグレードアップしたらしい。
　尾びれの端っこに『魚有』とブサイクな文字で書かれていた。『マグロ』と読もうと思えば読めるかもしれない……という程度のブサイクさだ。
「今日からあなたはサカナユウよ！」
「は？　なに言ってんだよ。俺は立派なサンマだぜ！」
　どうやら彼は不服らしく、ピチピチと跳ねている。
「そんなの知らないわよ」
　琴村はそんな苦情を全力で否定して、アキカタナもといサカナユウをロープでぐるぐる巻きにしてしまった。
「これで逃げられないわよね」
　ロープの端を嬉しそうに握り締め、琴村はサカナユウを引きずっていった。

「黒崎センセ、リアルすぎんぜ！」

　ゲームの中に入ってからというもの、不破灸は感心してばかりだった。
「そうかな。ありがとう」
　キザシンシ（モデル：黒崎俊介）はゆったりと微笑んでみせた。
（とてもゲームのキャラとは思えねぇ）
　不破はまじまじとキザシンシを観察する。
（こんなに地味なのになんでモテるんだ……？　今日はその秘密を暴いてやるぜ！）
　ガン見。
「どうしたんだい？」
　注視。
「今日もいい天気だね」　
　気がついた！
（まてよ……。地味で、あのモテっぷりだ。
　派手になったら、最強モテ男になるんじゃね？）
　不破は気がついてしまった。
　そして、傍から見れば嫌な予感しかしない笑みを浮かべる。
（こいつは、期待できんぜ）
　不破は、キザシンシの見た目を変幻自在に変えていく。
「よし。まずは、髪型だ。男なら、バシッとリーゼントよ！」
（黒崎センセのモテがどこまで進化すんのか？　最後まで見届けさせてもらうぜ。
　そして、明日から俺も実践すんぜ）
「いざ、サクセスロードへGO！」
　こうしてアーティスト・不破による教頭先生大改造がはじまった。