改造版・ねこっこ☆モンスター｜リアクション

改造版・ねこっこ☆モンスター

　俺は甘かった。
　最初は、幼女との話題のひとつと考えていたんだ。
　でもそうじゃない。
　それを彼女が教えてくれた。まゆ先生激似のマユメードが、ね。
　それから俺のねこモン愛は劇的に変わった。
　ようやく、スタート地点に立てた気がするよ……
　俺のマユメード。俺だけのマユメ――以上。冴木竜司の脳内。
　今までのことを思い返しながら、冴木はゲーム機の中の自分のモンスターに見入っていた。
「ほよよ！　竜司くん、おはよー！」
　桃原空音が声をかけたため、彼は現実に戻される。
「ああ、桃原か」
　小柄で可愛い三次元少女を見て、冴木の頬が緩んだ。
「そういえば桃原はなにを育ててたんだっけ？」
「あたし……？　あたしは」
　桃原の愛らしい顔が欲望で歪んでいく。
　息が荒くなり、目はギラギラと怪しげな光を宿した。
　冴木が地雷を踏んだことに気がついた時には、後戻りはできない状態だった。
「黒髪短髪筋肉ショタ！
　全ての萌えポイントをムギュッとした浅井せんせーは最強！
　浅井せんせーのために陸上部マネになったくらいだもん！
　あたしが浅井せんせー以外を選ぶなんてありえないよッ！」
　冴木は生温かい目で桃原を見守る。
「ふぁぁああ！　あたしのコータイショーたん……コータくんかわいいよぉ……」
　そうしてゲーム機にスリスリしていると、後木真央と青物といきがやってきた。
「おお、二人共早いのだ！　気合が入ってるのだ」
「本当だー」
　後木と青物も冴木と桃原と同じ携帯ゲーム機を持ってきていた。
　桃原が広めたり広めなかったりの結果、陸上部は改造ねこモンプレイヤーが多い。
　なので第一回改造ねこモン交流会に、みんなで参加することに。
「あとは……直風か」
　冴木がそう呟いたところで、直風満帆もやってきた。
「うちが最後か。待たせてしもたな。堪忍してや」
　自分を除いた全員が揃っているのを見て、直風はのんびりと笑った。
「空音ちゃん、これおもろいなぁ。先生とかののちゃんが出てきて、楽しいわ」
　この中では一番のねこモン初心者で、ついこの間、ゲームを始めたところである。
「だよね！　だよね！　満帆ちゃんにそう言ってもらえるとうれしい！」
　直風に声をかけられて現実に舞い戻った桃原。
　桃原は舞い戻った勢いで直風に飛びつこうとするので、冴木は桃原の頭を押さえながら、直風に話を振った。
「直風は今なにを育ててるんだ？」
「え!?　あ、うちですか？」
　桃原の勢いにたじろぎながら、直風は答えた。
「うちはこの前テーオー貰ったけど、次どないしたらええんやろ？
　ゲームってあんまりやったことないんで……」
「ああ、そのあとはね――」
　それでもめげずに桃原が丁寧に説明していった。
「だいぶ人が集まってきたねー」
　青物は周りを見渡してから、みんなに言う。
「あのね、他の人たちと交流が始まる前に、みんなのねこモン見せて欲しいの！」
「ああ、いいぞ」
　それぞれのねこモンを見せると、後木が嬉しそうに声を上げた。
「やっぱり空音ちゃんはコータイショーなのだ！」
「えへへ、バレてた？」
「竜司ちゃんセンパイがマユメードで満帆ちゃんがテーオーなのも予想通りだったのだ」
「私は？」
「え、といきちゃんもコータイショーなのだ？」
「うん」
「おお、それは予想が外れたのだー」
　後木が楽しそうに言った。
「真央ちゃんは、なにを選んだの？」
　直風が問いかけると、後木は待ってましたとばかりに身を乗り出した。
「真央ちゃんはタカッカーなのだ。
　テーオーとかデコリーナも捨てがたかったけど、バトルでおネコさまが負けたら痛そうでヤなのだ。
　それに……」
　後木の声が小さくなる。
「真央ちゃん、有紀ちゃんセンセーみたいなおムネになりたいと、その……」
「ん？　なんだ？」
　聞き取れないので後木に陸上部員たちは近寄る。
「ほわぁ!?」
　そのとき、空間が歪んだ。

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