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明日(あした)はきっと風の中
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燃える太陽、夏休み。直射日光はまるで焔の矢、シートを灼(や)くしタンクも灼く。フロントホイールは陽光にギラギラ輝き、マフラーなんて銀の発光体だ。熱からのがれるべく
吉住 志桜里
はねじ切るようにアクセルをひねった。バイクは鉄の馬のように、低いうなり声あげて騎手にこたえる。風は志桜里の味方だ。いや志桜里こそが風なのだ。獰猛でなめらかで、優雅ですらある流線型の走り。バックミラーに見えた建物が、みるみる後方にカッ飛んでいく。
車体を傾けてカーブを曲がりきり、一気に減速してバイクを停めた。まとっていた運動エネルギーの塊が、陽炎(かげろう)のように天へ蒸散された。
「遊びに来ましたよ、っと」
志桜里はヘルメットを脱ぐ。とじこめられていた黒髪が、呼吸するかのように夏風になびく。元は透明だったのだろうが、ずいぶんと油汚れの目立つガラス戸を開けた。
志桜里の目の前にはバイクがあった。それも一台きりじゃない。中型大型はもちろんのこと、モトクロスに使うようなオフロード型から、主婦の足スクーターまで、ひととおり停まっているではないか。値札がついているものもあれば『売約済』とほこらしげに書かれているものもある。解体途中なのか組み上げ途中なのか、骨組みだけのマシンもあった。それもそのはずこの場所は、モーターサイクルショップ『AMARYLLIS(アマリリス)』、寝子島ではちょっと知られたバイカーの港だ。たちこめるエンジンオイルと工具、金属の匂いが志桜里にはたまらなく心地よい。
新車中古車修理にメンテナンス、ひととおり手広く対応しているが実態は、家族経営の二階建て小規模事業者にすぎない。店名はなんのことはない、経営一家の苗字をちょっといじっただけのものである。
「何しに来たんだ不良娘」
二階からの階段をなかほどまで降りてきた顔は印象的、なにせ髪色がライムグリーンなのだ。毛先にソバージュまでかけている。彼女は
雨梨栖 芹香
(あまりす せりか)、志桜里の中学生時代よりの悪友である。名実ともに宿敵ないしライバルと認め合っている間柄でもあった。現在は木天蓼工業高校、通称マタ工に在籍。大いにマイペースで、学校には週四回くらいしか顔を出さず、しかも毎回重役出勤中だと聞く。不良娘というなら芹香のほうがよっぽど……なのである。卒業単位とか大丈夫だろうか。
「これはご挨拶、芹香が無聊をかこっていると風の噂に聞きおよび、こうして遊びに来てあげましたのに」
「ブリョー? ブリョーってなんだ?」
「つまり、ヒマしてると聞いたので」
最初(ハナ)っからそう言えやい、と言いながら芹香はしかめっつらになる。
「ヒマじゃねーし、免停になっただけだし」
「芹にゃんからバイク免許奪うとは、マッポもまさに末法のふるまい。鳥の翼をもぐに等しい蛮行ですね」
「そうだよバンコーだよバンコー! お焼香だよ馬鹿ヤロー。ヒマすぎる。エンコーでもしてすごせってのかい」
否定したばかりだというのに、さっそくヒマなのを認めていることに芹香は気づいていないらしい。
「おやお怒りのおかげか、それなりに韻を踏んでますね」
「アホか! とにかくそこで待ってろ」
まもなく出てきた芹香は、袖まくりしたぶかぶかの黒いトレーナーに、これまた余裕あるジャージの下をあわせただけの格好だった。サンダル履き、トレーナーの背には『BAD ASS』なる文字と、両眼がハートマークになったドクロの巨大イラストがプリントされている。
「お店は?」
黙って芹香は入り口を指さした。『本日休業』なる札がさがっていた。
「ご両親は?」
「地元商工会の慰安旅行だよ。クソあちーのに温泉だってさ。わけわかんね」
ぶつくさ言いながらも芹香は外に出てガレージを開ける。
「バイク入れろや。ロハ(無料)で見てやっから」
「いいの?」
「ったりめーだろが、このバイクは店の広告塔でもあんだよ」
さすがに手慣れたもので、バイクを前にするとテキパキと芹香は動くのである。ブレーキの調子、オイルのさし具合をチェックしている。やがてVツインエンジンを駆動させると、ドラムンベースを聴くかのように、ドコドコ下腹に響く鼓動に耳を澄ませた。エンジンを止めるとボロ布を手に、ミラーをぬぐい車体も空拭きする。そうしてニヤリと笑みを浮かべたのだった。
「ふん、大事に乗ってるみてーだな」
「どうも」
「けどあんた毎回ずいぶんスピード出してっだろ? タイヤの減りが早すぎる」
「……どうも」
バイクはクルーザー、『AMARYLLIS』の広告目的で、店から志桜里に貸し出されたものだ。志桜里と妹(ということにしておこう)のヒップホップユニット『Greedy Cats』のMVにも何度か登場しており、MewTubeの再生回数も上々ということもあってなかなかの宣伝効果をあげていた。なにせ『バイク提供:AMARYLLIS』なる文字もバッチリ入れているのだ。店の売り上げにも貢献しているらしい。
「約束は守るよパンT、きちんと売れたんでこいつはあんたのもんさ」
いえいえそれは、とパンTこと志桜里は手をふるのである。
「MVでは高級車のならぶ中へさり気なく一カット登場するばかり。贈られるには及びません」
ちょっとした中古車一台分くらいする高額バイクなのである。ポンと気前よく「やる」と言われても、さすがに志桜里も気が引ける。
「なんだよ遠慮するようなタマか」
「遠慮するようなタマなんですよ。今日はこの子を返却しようと思って」
「待てよマジでか?」
「待ちませんし、たぶんマジです」
返す、いや返さなくていい、としばらく押し問答がつづいた。ところがこれが千日手のごとく、いったりきたりで結論がでない。意地でも渡そうとするのではないか、と志桜里は思った。長いつきあい、芹香の性格ならだいたいわかっているから。どうしてもというのであれば、借用期間をもうすこし延ばすことで折り合いをつけることも考えていた。ところが、
「そうまで言うなら仕方がないな」
やがて芹香が折れたのである。
「しまってくる」
案外手短に引き下がって、クルーザーを押してガレージ奥に消えた。
さようなら、ありがとう、クルーザー。
似合わないと思うからやらないが、敬礼して送り出したい気持ちの志桜里である。
惜しくないといえば嘘になるが、これで良かったという気持ちのほうがまさった。
「では失礼」
帰ろうとすると奥から芹香の「待て待て!」の声が追ってくる。
「まだ何かご用がおありで?」
「ご用たっぷりだそこで待ってろ」
言うなりゴロゴロと、雷鳴のような音が聞こえてきた。
もちろん雷鳴ではないし実際はそこまで大きな音ではない。
それでも志桜里にはローリングサンダー、轟く雷鳴に聞こえた。重量級のホイールがごろごろと、床を含みしだきやってくるのである。
たとえるならば虎か獅子か、王者の風格をもった大型バイクが出現したのである。
「ドイツ製大型クルーザー……! クラシック仕様ですか」
猛獣使いならぬ先導役はもちろん芹香、得意げに足を止めて胸を張った。
「そうとも、下ろしたての新車、千八百ccさ」
太いタイヤ太いマフラー巨大なハンドル、水平対向二気筒の大型エンジンはまさに神の領域、燃料タンクも二十四リットルのモンスターであり、プレミアムモーターサイクルの名をほしいままにする重厚なフォルムだ。大型フェアリングがまた、ゾクゾクするくらい格好いい。メタリックブルーの色彩も男前ではないか。価格なんて想像もつかなかった。高級自動車でも買えるくらいのランクににちがいない。これぞバイク道楽の極みというやつだ。
「はぁぁ……」
ため息とともに志桜里は駆け寄り、思わず車体をなでまわした。なんという美しさ、頬ずりしたくなるほどの愛しさ、たちまち魅了されている。
サイドケースを見れば、ド派手な『AMARYLLIS』のアートステッカーがでかでかと貼られている。それでも調和を乱さぬデザインだったので、広い背中にビシッと入れたタトゥーみたいに見えた。
「どうだい?」
「……見ているだけでイッちゃいそうです」
「乗ってみたいかい?」
「全裸で乗れといってもしたがいますわん」
「全裸はよせよ、けどここであんたに提案だ」
「靴を舐めろとおっしゃる?」
志桜里は長い舌をぺろんと出して見せた。
「全然冗談に聞こえないからやめな! ていうか私はサンダル履きだっつーの!」
提案したいのは新たなチャレンジだよと芹香は言った。
「パンTあんた、大型免許にステップアップしたんだってね?」
「おかげさまをもちまして」
「だったら試してみないかい? このバイクで、前みたいに店を宣伝する。もちのロンこの『AMARYLLIS』のロゴを、ガンガン映していく方向で」
「えっ……!」
「あんたそこそこ売れてきたらしいから、買おうと思えば買えるかもしれないが、稼ぐ分支出も多いんだってねぇ? ならそうそうは手が出ないはずさ」
「痛いところをついてくるね」
志桜里は腕組みした。売れてきたのは本当、広告や楽曲の収入をかきあつめればギリギリ購入くらいならできようが、今は機材費だの移動費だのサンプリング元の使用料だの、出ていくものもたんとあるのもまた事実だ。無理をすればたちまち首が回らなくなるだろう。
「稼げるうちに貯めないと食いはぐれるのがこの稼業、長期的展開を考えればその提案にはあらがいがたいものが……」
「だろう? たんと広告効果が出れば、今度こそプレゼントするさ」
「いやいやいや、さすがにこれをいただくほどは成功しないかと」
「ならいいじゃないか? 借りるだけで終わるなら後腐れなしだ。ホレホレ、股でエンジンのうなりを感じてみるだけでもやってみないかい?」
「ではまず、試運転だけでもということで」
「決まった! ほら運転しな!」
鍵を手渡されるや餌抜きされていた狼のように、志桜里はバイクに飛びかかったのである。
芹香の動きも早かった。タンデムシートにまたがって、志桜里の腰に手を回したのだった。
「じゃ、とりあえず島の一周でも行くとするかね? 本土まで行ってもいいし」
「ちょっと待って……芹にゃんも!?」
「私いま免停中。でもバイク好きならあんたに負けてない」
「そうだった」
「では出発!」
「ラジャー!」
エンジンをかけようとしたところで気がついて、ふたりはバイクを降りてヘルメットを手に戻ってきた。
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担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年03月21日
参加申し込みの期限
2022年03月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年03月28日 11時00分
参加キャラクター一覧
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