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明日(あした)はきっと風の中
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午後になり陽射しはさらに強くなってきた。
智依子も日焼止めは塗っているが、そろそろ塗り足したほうがいいかもしれない。
ナターシャは、もう少し散歩すると言って立ち去った。(また明日、という言葉を彼女は残したが、前述のとおり実現はしないのだった)
人出がふえてきたようだ。にぎわいは厚みを増し、それとともに喧噪も大きくなってくる。
喧噪をぬって聞こえてきたのはダンスビート、スローなものが流行っていた時期もあったがこれはまったくちがう。最近リバイバル気味というキレのあるハイエナジーサウンドだ。当時を知る者には懐かしく、知らない者には新鮮な音楽である。BPMがうんと早めでたまらない。
音の出所に智依子は目を向けた。
探すまでもなくすぐわかった。夏の暑さにも負けず、数人の若者がスピーカーを中心に置き、輪になってブレイクダンスを披露しているのである。砂を蹴立て汗を飛ばして踊っている。顔ぶれは男女半々くらいか。練習はしてこの場にいるのだろうが、そこそこできる者もあるが、大半はまだ駆け出しといったところだ。ときどきまちがう少女がいたし、動きは悪くないのにずっと四分の一テンポくらいずれている少年もいる。
我を忘れたように立ちつくし、彼らのダンスを眺めていた智依子の手を楓がひいた。
「ママ?」
「え……? どうしたの?」
「おどりたいの?」
まさかと言おうとしたが隠しおおせるものでもないだろう。すでに智依子のなかで血はさわぎはじめており、爪先は無意識のうちにリズムをとり、指先はクラップをはじめていたのだから。よく知っている曲がはじまったのだ。骨格も神経ニューロンにも、細胞レベルでしみこんでいる楽曲、胸の呼吸まで、音楽にあわせて動きはじめていた。もう、止めようがない。
「うん」
素直に智依子はうなずいた。
すると楓は言ったのだった。
「おどってきていいよ。おどってきて」
「ありがとう」
じゃあちょっとだけ、と言うなり智依子の踵は空に舞っていた。
ひょっ、と甲高い声をあげてドレッドヘアの少年がのけぞった。
え何!? これは少女の声だ。力強く巻き上がった砂塵に目をむく。
忍者が乱入してきたのかと思った、そう少女は後に語ったという。
それほどにダイナミックな飛び入りだった。しかし彼女は黒装束の忍者ではなくビキニの女性、それもモデルのような見事のプロポーションの持ち主だった。
智依子の美技はたちまち周囲を圧倒し、叩きのめし、魅了した。
回る回る。炎が出るほど激しく。跳躍する。猛禽類のように。
カミソリのごとくエッジの立った腕の振り、目を奪うテクニック。ギリギリのバランスで反転し、ブレイクの瞬間ぴたりと止まる。音楽が再開すれば今度は、逆回転して元に戻るという妙技すら見せた。ダンスは表現だ。表現芸術だ。智依子の表現技術は五体があるだけ。その限られた資源を存分に使い、自分の感じたものを表現する。かつて自分ができていたように。『ブレイキンサマー』のヒロインのように!
いつの間にか黒山のひとだかりができている。しかし智依子は気がつかない。いまはただ、音楽に身を委ねているだけだから。
「あれChiCoじゃね?」
観客のひとりがつぶやいた。
「え? 誰?」
仲間らしき隣の男が聞く。
知らねーのかよと呆れ声をだし、早口で最初の男が説明した。
将来を嘱望されながら、数年前に突然姿を消した天才少女ダンサーがいた。それがChiCoだ。
ChiCoは八歳でストリートダンスの才能に目覚め、子どもとは思えぬキレのある動きと、高難度の技をかるがるこなす卓越した身体能力で、めきめきと頭角をあらわしていった。ダンスをはじめてたった三年、十一歳の時点で全国大会小学生部門の優勝をさらったのを皮切りにはやくも全盛期に突入、個人部門、団体部門、いずれにおいても名だたる賞を総なめにし、たちまちダンス界を席巻したのである。
彼女を彗星にたとえた審査員の称賛は、いまなお語り草になっている。ダンスをはじめたきっかけが、たまたま読んだ少女漫画だったというストーリーも話題になった。
だが中学に上がったのち、ChiCoは忽然と姿を消した。
怪我で引退したという噂があった。渡米したという噂も根強い。だが同じくらい信憑性のある噂として、中学生の身でダンス教師の子を身ごもり、出産を選んで引退を余儀なくされたというものも流れた。
いずれにせよ無責任な噂だ。事実はあきらかになっていない。
流れの早い業界ゆえ、新たな才能、新たな天才の話題に押し流され、いつしかChiCoの名は忘れ去られた。
「けどそのChiCoってのは昔の人だろ、あの子そんなにトシに見えんぜ」
「バカ、ChiCoが消えたの何年前か知ってるのか?」
たったの四年前だよ、まだ四年、と男はくりかえした。
「もしあれがChiCoなら……まったく衰えていねーぞ。まったく……」
ChiCoのあともたくさんの『天才ダンサー』が世に出た。それこそ綺羅星のように。しかし大半がただの石、ダイヤモンドのようなChiCoにならぶ本物は、ついぞあらわれなかったのである。
ツーバスの連打とともに楽曲が終わった。同時に、腕を伸ばして太陽をつかむような姿勢で智依子はフィニッシュを決めたのである。
もう智依子のほかに踊っている者はない。
全員が観客だった。そして全員が、称賛者だった。
どっと歓声が沸き起こったが、当の智依子は恥ずかしそうに身をかがめ、人の輪から駆け出してしまった。
「ママかっこよかった!」
飛びついてきた楓を抱き上げ、小さくサムズアップしてみせる。楓にとって母親――智依子は格好いいヒーローだ。
けれどヒーローは照れてもいる。やや赤面しつつ、風のように海の家に姿を隠したのである。
後日、このときの動画がSNSにアップされ話題になったという。
――『明日(あした)はきっと風の中』 了
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あとがき
担当マスター:
桂木京介
ファンレターはマスターページから!
ご参加ありがとうございました。桂木京介です。
今回はこれまでになく苦しいリアクション執筆となりました。
理由は体調です。幸い現在は回復しつつありますが、執筆作業には大幅な遅れが生じております。公開が遅れていたら申し訳ありません。
さて内容ですが、それぞれに「風(かぜ)」を感じさせる物語で、とても楽しんで書くことができました。ご自身の登場箇所以外も読んでいただければ幸いです。
面白い話であったとしたら、それはいただいたアクションのおかげです。つまらなかったとしたら、それはGMである私の至らなさです。
毎回毎回書いておりますが、私の活力源は皆様からの反応です。
ご意見ご感想などお待ち申し上げております。
それではまた会いましょう。
桂木京介でした。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年03月21日
参加申し込みの期限
2022年03月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年03月28日 11時00分
参加キャラクター一覧
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