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明日(あした)はきっと風の中
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うひゃあと甲高い声が出そうになったが懸命にこらえた。
ふりかえって見上げれば、見覚えのない人物がこちらを見ている。
中年男性だった。貧相な、という表現がぴったりあてはまりそうな。背は小柄で髪はボサボサ、針金みたいな丸眼鏡をかけている。真夏だというのにグレーのスーツ姿だが、そのスーツはよれよれでしかもサイズがあきらかに大きすぎる。だぼだぼのズボンにいたってはずいぶん裾を折っている様子だ。清潔感という言葉とは無縁だ。眼鏡のレンズは脂汚れがひどく、頭にはずいぶん白いものが目立つ。肌は土気色で前歯が妙に出ていた。戯画化した『中年サラリーマン』の像みたいに見えてしまう。
「おっと私、こう見えて怪しいものではありません。こういう人間でして……」
男は名刺を差し出した。受け取った名刺には、
『
こねずみ探偵社 代表
根積 宏一郎
(ねづみ・こういちろう)
』
とある。パソコンで適当に作っただけらしきペラペラの名刺だが、オリジナルらしきネズミのキャラクターイラストが妙にかわいかった。
「といっても探偵なんて、世間一般の人にとっては怪しいことこのうえない商売ですよねえ。ははは、まあ、不正には手を染めず明朗会計、素行調査や尋ね人探しなど、いたってまっとうな仕事しか請け負っておりません。いえね私、この道に入って長いんですよ、こう見えて。でも引退を考えてました。でもこのトシでしょう、もう他に新しいことなんかできやしないんですよ。しかたなく復帰を選んだもので。ああ、この看板を出したのはつい最近なんですよ……」
「ちょ、ちょっとちょっと!」
解理は両手をあげて根積をおしとどめた。なんというおしゃべりなおじさんか。ほっておいたら際限なくしゃべりつづけそうな気がする。
「僕はいま大事な用件の途中なんだから……」
「用件? 尾行でしょう? ターゲットはあの若い男性」
根積なる男は眼で十輪田を示した。
「バレバレすぎますよ。私、偶然あなたたちをお見かけしたんですけどね、危なっかしくて見ていられませんでした。お節介ながら声をかけてしまったのはそういうわけでして。あんな調子じゃすぐ露見してしまいますから。『尾行してます!』と周囲に吹聴しながら歩いているようなものですよ。ターゲットに気づかれなくても警察を呼ばれかねない」
「でも僕、尾行の経験なんてなくて……」
「私もプロのはしくれ。ちょうど暇ですし、ひとつ手本をお見せしましょう。ついてきてください。なぁにお代はいただきません、これが私の趣味なのです」
根積はずんずんと歩み出す。解理もつづくほかなかった。
驚いたことに根積は、かなり十輪田に接近したのである。距離にして数メートルといったところだ。
ちょうどこのあたりで十輪田は電話を終えた。また歩き出す。すると根積も歩き出した。さらに距離を詰めている。
「こんなに近づいたら……!」
ささやくように解理は言うも、しっと言うかわりに根積はボソボソと話した。
「露骨なささやき声は逆に耳に届きやすいんです。単なる小声が一番」
人混みで距離をとると、対象を見失う可能性があると根積は言う。
「だからうんと近づくんです。あとは視点を落として、相手の足だけを見るようにしてください。こうすれば、急に相手がふりかえっても目があうことがない。落ち着いて対処できます」
「なるほど」
やがて十輪田は街中の銭湯に入っていった。スーパー銭湯というやつだ。
「向かいのハンバーガーショップで待っていてください。十分で戻ります」
言い残して根積は銭湯に入っていった。女性の解理としてはついていくわけにはいかない。根積を見送って道路の反対側を見ると、果たしてチェーンのハンバーガーショップが立っている。
さすが本職、判断が早い――。
とはいえ根積なる男は口調からなにから猛烈に怪しい。ここで逃げて帰るのが一番安全だろう。だが手ぶらで帰るわけにはいくまい。根積が何をしてくるのかも気になった。解理は腹を据えた。ハンバーガーショップに入るとアイスティーを頼む。窓際をさけて奥の席に座った。
「車に忘れ物した、と言って出てきました」
十分が経過する前に、根積は解理のテーブルにあらわれた。
「おや、私の分も注文してくれたんですか。かたじけない」
「まあ……一応」
用心しいしいカップを渡す。根積は紙カップを受け取るより先に、テーブルにスマホを置いた。
「これアイツの……!?」
「ですよ。ああいうところのロッカーの鍵なんて、私らからすれば貯金箱以下です」
根積はスマホの起動ボタンを押す。ロックがかかっている。しかし、
「やった。パターンロックだ」
根積がつぶやいた。暗証番号ではなく、九つの点を一定パターンで一筆書きすることでロックを外す形式だったのである。
「外せます?」
「パターン式のロックはね、代表的なのをあたっていけばわりあいと簡単に外せるんですよ。彼の名前は?」
「とわだ……、『十和田湖』の『とわだ』に似てるけど、『わ』が『輪っか』の『輪』です」
「はいはい」
なんと二回試しただけで根積はロックを外してしまった。正解は、漢字の『十』の右上が四角形になっただけの単純なパターンだった。他人のスマートフォンなのに、颯爽と操作しつつ根積は言った。
「ところであなたは、彼、十輪田君のカノジョさんか何かですか? 浮気調査を?」
「全然ちがいますっ!」
ごく簡単に事情を解理は明かした。うなずきながら根積は十輪田のスマホの調査を続けている。
「そうでしたか……だとしたらあなた」
「伊賀です」
「失礼しました。伊賀さん、あなた、とても鋭い勘をお持ちですよ。とんでもない写真がたくさんありました」
解理がのぞきこもうとすると、根積は画面を手で隠した。
「心の準備は? 具合が悪くなったらすぐ中断してくださいね」
「大丈夫……です」
根積が手をどけた。
少女の写真が大量に保存されていた。ほとんどすべて裸身だ。性交の最中に撮ったらしきものも多数ある。中学生、あるいはもっと幼いとおぼしき少女のものも少なからずあった。少女たちの顔立ちからして、東南アジアで撮影したものと思われた。
「も、もういいです……」
解理は目をそらした。吐き気を覚えている。胃が反転しそうだった。
「ボランティア活動で十輪田君は東南アジアに通っていたらしいですね。どこがボランティアなのだか」
根積の口調に、冷たい怒りがこもっているのが解理にもわかった。
「しかもね、この男、これらの入った写真フォルダに『アジア』ってタイトルをつけているんです。写真フォルダはもうひとつあった。タイトルは……あ、ごめんなさい。聞きたくなければここでやめます」
根積は気づかうような声を出したが解理は気丈にこたえた。
「大丈夫です。聞かせて下さい」
「『国内』です。中身は……ご想像の通り。つらくなって私も途中でやめました」
「まさか貴子さんの写真も!?」
「伊賀さんが心配されている先輩ですね? 気休めかもしれませんが情報です。ざっとフォルダ内の日付を確認しましたが、半年近く更新された様子はありませんでした。ゴールデンウィークのときの話から推測して、その先輩は被写体にはなっていないと思われます」
つづいて根積はNYAINをひらく。そこにあった最新のやりとりを見て顔をしかめた。解理も見た。
『なぁ、あんなちゃん、おっぱい写真送ってよ~。自撮り一枚、一枚でいいからさぁ。高いボトル入れてあげるから、なあ頼むよ~』
あんななる相手は一生懸命拒否しているが、執拗なまでに十輪田は、彼女に裸の自撮り写真をねだっていた。ボトルがどうこう言っているのがよくわからない。だがうかつに写真を送ろうものなら、十輪田はきっとこれを『国内』のフォルダに入れることだろう。脅迫やリベンジポルノに使うかもしれない。解理は相手の女性のことは知らないが、『絶対応じちゃダメだよ!』とコメントを送りたいという衝動にかられた。
根積はカバンからSDカードを取り出してスマホにさしこんだ。プロゆえつねにこういったものを持ち歩いているらしい。根積は写真やNYAINのバックアップを手際よく取って、カードを解理に手渡した。
「どうぞ。これをどうつかうかは伊賀さんの自由です」
「あ、ありがとうございます」
「じゃあ私はそろそろ戻ります。気づかれる前にスマホ、返しておかないとまずいですからね。あと、もうちょっとアイツをつけてみますよ」
「なにからなにまで本当に……」
「いいですって。暇だったのは本当ですし、とてもイージーにすみましたしね。今後気になることがあったら、名刺の番号にお電話ください。おっと、追加調査だったら今度は料金をいただくかもしれませんよ。あ、でもウチは本当に明朗会計だし業界相場よりきっと安いですよ。以上宣伝でした」
とまた一通り長口上してから、氷のとけかかったアイスティーを一気に呑んでしまうと、「ごちそうさまでした~」と告げて根積は銭湯に戻っていったのである。
根積は解理の連絡先を聞かなかった。本当に、暇だったから趣味で協力しただけなのだろう。
変な人だったなぁ……でも。
助かったよ、と解理は思った。
SDカードはどうしたものか。
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担当ゲームマスター
桂木京介
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ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年03月21日
参加申し込みの期限
2022年03月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年03月28日 11時00分
参加キャラクター一覧
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