忘れられた大木の大蛇伝説！｜リアクション

忘れられた大木の大蛇伝説！

「こっちでござる――！」
　零は大蛇の視界をかすめるように、走り抜ける。大蛇はそれを追って振り返ろうとする。
　しかし、その視界に細雪が映る。
「どちらを追うか迷っている？」
　鋭二が呟く。
「今のうち、ですねっ！」
　刀は竹刀を抜き、大蛇に挑みかかる。しかし、大蛇はするりと身をかわす。その動きは素早い。
「くっ……！」
　刀は反撃を想定し、身構える。しかし、大蛇は彼に一瞥をくれるだけで、また視線を戻す。
「何もしない……？」
「そういえば、小学校に現れた時も、特に危害は加えなかったと聞くね」
　飛鳥が言う。
「本当は、悪いものではないのか？」
　鋭二が呟く。
「かといって、放置しておくわけにもいかない！」
　刀は竹刀を構え直し、再び大蛇に向き直る。
　大蛇は細雪の方を追うことに決めたようで、そちらへ首を向け、攻撃態勢。
　細雪はそれを察知し、周囲に視線を走らせる。蛇の背後で零が槍を構えている。
　一拍、タイミングを図る。
　大蛇がこちらへ躍りかかってくる。読み通り。その脇をすり抜けるように、走る。大蛇が振り返る。
「今でござるな」
　零の槍が鋭く突き出される。蛇の頭をとらえる――と思った刹那、蛇はまたも身をかわす。
「まずい、逃げられる――」
　その時、洞窟の方から声がする。みんなが一斉にそちらを振り向く。
「やっぱり、大蛇なのだ！」
　真央の大きな声。その手には白い帯。
　大蛇が真央に襲いかかる。
「な、なんなのだっ！？」