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路地にころんだ、雨水なめた
シナリオ:路地にころんだ、雨水なめた
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【この世に一つとて】
まずは指示書を確認しよう。君の手元にあるそれ、そうそれだ。君はそれを信仰すべきだ。うん? いやいや聞き間違いなんかじゃない、指示書を信仰せよと言ったのさ。指示書が君の全てを導いてくれる。君が一日にすべきこと、全てがそこに記されている。まずはピッキングだ、君が集めるべき荷物はどれで、いくつあり、どこにあるのかな? そう指示書を見てみよう、そこに全て書いてある。見てのとおり倉庫は広く集まる荷物は多い、これらをお客様の手元へ正確に、迅速にお届けするには絶対の指針が必要なわけだ。想像してみてほしい、君が砂漠のど真ん中に放り出され、一滴の水にも餓えているとしよう。オアシスに向かえば豊富な水量で旅人を癒す清廉な泉が湧いている、そのように聞いているがしかし、どちらへ行けばいい? 下手な方向へ向かえば砂まみれの末に行き倒れだ、正しく道を探らねばならない。そんな時は空を見上げよう、そこには満天の星空が輝いている、そこへ浮かび旅人へ進むべき方角を教えてくれるのは? 星座だ。北極星だ。そう、それが指示書だね。つまり指示書と予言書は同義と言っていい。生き死にの場面において信頼を預けるべき道標、闇を照らす一筋の光明、いつでもそこにある一番星。まさに奇跡! 指示書を崇めよ。君は救われるんだ、なにも心配はいらないよ。
目の前で倒れ伏す男がそんな能書きを延々と語るあの上司であれば、なお良かったけれど。
ティオレ・ユリウェイス
もそこまでの贅沢は望まない。集中が高まるにつれて名も知らない対戦者とあの無精ひげの高慢ヅラを重ね合わせる試みも上手くいく。繰り出す拳にも興が乗った。
「最高よね。ねえアンタ、聞いてる?」
物流は血液だ。滞れば血管はパンクし人体は損傷する。君たちの行うピッキングも、検品も運搬も、加工も組み立ても、それらをオリコンへ詰め込むのも、一つとして違えてはならない作業だ。物流に配送、つまり社会が滞っては一大事だろう? そうならないために指示書様がおわすわけだ。全てだ。全て書いてあるとおりにすればいい。それだけだ、実に簡単! 誰でもできる。だというのに……なぜ失敗するんだ? ミスが出るんだ? 桁数を間違えた? 信仰心が足りないからだ。指示書様を崇めてろ、それだけで上手くゆく。言ってみたまえ、ならばその指示書を記したのは誰だ? 私の指示を一語一句正確にやれ、間違えるな、疑うな! その日暮らしの底辺のクズどもに生きる価値を与えてやる、俺の言うことに口答えなど一切許さんからな!
「うるっせぇってのよ……!!」
今夜はハンデ戦、ティオレを数人が取り囲む。
最高ではないか。ティオレが欲しいのはわずかばかりの給与でも、一夜の名誉でもない。まして勝利や敗北そのものでもない。
見下す優越感。見上げる屈辱感。殴り殴られる悦楽。ファイトクラブにこそ、全てがある。
すれ違う
少女
が訝しげにちらと見て、足早に去っていく。表情には怯えもにじんでいたかもしれない。
だったらなんだ?
愛猫 萌々子
は唾吐き振り返りもしない。
赤黒く染みのついたセーラー服。眼鏡は歪み、レンズは片方割れたまま。全身包帯、絆創膏まみれ。髪だって手入れもされないまま伸び放題、跳ね放題。道行く人は誰しも萌々子を目にしてぎょっとしては、肩を縮めて通り過ぎてゆく。関わらないように、目をつけられないようにと。
萌々子の内に荒れ狂う衝動を理解する者は一人としてない。それを発散する方法を教えてくれる者さえなかったので、萌々子は自身で見つけ出す必要があった。
「あっ……い、いた! いたぞ、コイツだ!」
「テメェ愛猫、この前はやってくれたじゃねえか」
「慎吾のヤツ、今もベッドで寝てんだぞ! 両手も顎グシャグシャで、メシもろくに食えねえんだぞ!」
「それが……」
ぐるり鷹揚に振り返り、見据える冷え切った眼差しが屈強でならした男どもを怯えさせる。
「それがどうしたって? 私に何の責任があるんですか? あなたたちが理由もなく、私を殴りつけたからでしょう? トロトロ歩いてんじゃねえイモ女……でしたっけ?」
「そりゃ……こっちが始めたのは確かだけどよ!」
「あんなになるまで、あそこまで、やるこたなかっただろうがよ!」
ふう、と深く陰鬱な息を吐く。それが彼らをもう一つ怯ませた。
「もう面倒なんですよね、こういう道端で喧嘩するの。ほら、すぐ警察とか呼ばれちゃうでしょう?」
どこからともなく、という表現が正しい。男たちはろっこんを知らなかったから、萌々子の手品を訝しく、恐れをもって見つめるしかなかった。
バットを手の中に出現させる。能力はそれを釘バットにすることもできたが、作り出すのが他のモノ、例えば絵筆か何かであったら、萌々子の衝動も他方へ働いていたかもしれない。
「だから、早いとこ終わらせましょう。警察が来る前に、さくっとね。ああ、面倒です」
「て、てめ」
啖呵を切ることもかなわなかった。横薙ぎに振るわれた釘バットが彼の頬へ多数の刺傷と殴打痕を刻みつつ、瞬時に意識を刈り取っていたから。
「ま……待て! 待てよ、俺たち今日は、あんたと喧嘩しにきたわけじゃねえ!」
「?」
「あんた、探してるんだろう? そいつを存分に振るえる相手を。サツにこそこそしねえでも済む場所を」
命乞いか通行人に呼ばれた警察が駆けつけるまでの時間稼ぎかと思われた。が、
「知ってるか? ファイトクラブをよ」
魔法にとらわれたかのように、その言葉は萌々子を強く、鮮烈に惹きつけた。
始まってみれば観衆は、意外な成り行きにおののきながらも、沸きに沸いた。
「誰も私を分かってくれない。分かってほしくもないですけど」
ファイトクラブでは形式上試合と称してはいるが、相対した両者へ科すルールの類ときたら実におざなりなものだ。不意打ち、騙し合い、急所への攻撃、その他諸々卑怯な手管。大っぴらに認めると公言こそしないが、大抵の手段は、盛り上がるか否かの基準をもって正当化される。主催者の裁量もまたそこに大きな比重が置かれているようだ。
武器の使用もまた同じだ。
「因縁吹っ掛けてくるチンピラも。訳知り顔で近づいて、胸やら足やらじろじろ覗いてくるゲス教師に指導員、親切の皮をかぶった警官も。自分を大切にしろだの何だの、綺麗ごとばかり押し付ける
風紀委員
も……言い訳ばかり口にする
お兄さまも
……父も!」
闘いは一方的となった。萌々子の手にはいかにも凶悪なフォルムの釘バット、対するティオレは全くの無手。だからとやりようがないわけではないが、道具の差は大きい。
「誰も分かってくれない。誰も私を」
萌々子はうわごとめいてつぶやきながら乱打した。ことにティオレの足を集中的に狙う。そうしてよろめき良い位置へ下がった頭へ致命打を入れるのが、萌々子の十八番だった。ティオレの思いのほかタフなのを見れば狙いを背中へ切りかえ、息を詰まらせたところでやはり足を狙った。
バットはいつでも手になじむ。これで父を殴りつけ、家を飛び出したのが始まりだったとふと思いだす。
「誰も、私を……」
「いやいや。あはは……分かるよ。あんた」
萌々子の手がぴたりと止まり、ティオレは揺らめいて上体を起こす。美貌の彼女は肌も穴だらけ、青あざだらけでどこもかしこも血濡れていたが、笑っていた。腫れあがるまぶたの奥で、瞳は剣呑な光を帯びていた。
「ねえ。あんたの家……金持ちかい。ご両親は権力者だったりするのかい」
「……?」
思わず小首を傾けた萌々子へ、ティオレの反撃が始まる。傷で弱ったところなど塵ほど感じさせない瞬発で、横面を打ち抜き、足を払い蹴倒した。横腹へ蹴りを入れてから馬乗り、とっさのガードをこじ開けるように拳の雨を降らす。
「私は分かるよ。あんたの言ってることは何一つ知りやしないけど、そんなのが全部、どうでもいいことだって分かってる」
「どうでもいい? どうでもいいですって?」
萌々子は腰を跳ね上げ、転がっていたバットを握るとそれを振るう。あばらを打たれティオレは吹き飛び間合いは離れ、血を吐きせき込んで、しかし双方立ち上がる。
「あなたに何が分かるんですか? 私が……私は」
「分かるってば。あんた、全部捨ててきたんでしょ?」
バットを振り下ろす、しかしティオレの手のひらがそれを受け止めた。釘の一本が貫通するも構うそぶりもない。
ただ、ティオレは虚ろに、それでいて熱に浮かされたように、萌々子へ言った。
「分かるんだ。今、最高でしょ? 楽しいじゃない? 私たちは似た者同士なのよ」
「……たのしい?」
「そ、殴るって最高! 殴られるって最高! 殴り合うって、もう……最っ高! あんたもそうでしょう?」
一打入れ、一打を浴び、気づけば型か演武のように、互いにそうと決めたかのように、一撃を交互に相手へぶつけてゆく。
「金、権力、うわっつらばかりの人間関係も、安心も安定も、そんなもの犬ッコロにでも食わせてやりなよ。私たちが欲しいのは、そんなものじゃない。でしょ?」
「私の……欲しいもの?」
「そうよ、そのためにあんた、全部捨てたんじゃない。目の前にある、コレのために。ね?」
狂ってる? 壊れてる? ティオレは自問し、自答する。
あたりまえだ、狂ってるし壊れてる。裏格闘場、そんなところに来るヤツが一人だって、正気なわけがない。
「火花みたいな痛み。打ち抜く感触。鼻と口いっぱいに広がる鉄臭さ。ひざまずかせる快楽。見上げた天井の遠さ。腹に溜まる熱のタールみたいにドロドロな……」
「……あは」
私も。目の前のこいつも。
世の中一つだって、狂ってないものなんてあるものか。
「あはは。そっか……なるほどそっか、そうなんですね、あははは。あはははは」
この夜は暗く熱く更け、そして明けることはなかった。
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3人まで
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日常
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10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年01月21日
参加申し込みの期限
2022年01月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年01月28日 11時00分
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