ハッピーバースデー！　７月☆｜リアクション

ハッピーバースデー！　７月☆

●Jul.27　少し大人っぽく

　桜月は北条冬華の誕生日に星ヶ丘寮の自室に招いて盛大にお祝いしようとしたが、冬華のアパートに招かれたので、そこですることに。
　この日のため、手配した誕生日のケーキとプレゼントを揃えた。
　用意したケーキは、お酒を効かせたちょっと大人っぽい物を選んだ。
「半分、成人だしね」
　甘いショートケーキとギリギリまで悩んだが、18歳は特別だと思ったので。
　プレゼントは月がデザインした冬華用の服数点。下着から装飾品まで、冬華のためだけにデザインして仕立てた物だ。
　ちょっとしたサイズの変化で合わなくなるところがあるが、それは、すぐに直せば良い。
　彼女が冬華の傍にいれば、全然問題ない。
　恋人のために用意したプレゼントを手渡せる時間を、月は待ち遠しかった。

　誕生日当日。
「服はお洒落にしていこうかな」
　お洒落な服に着替えた冬華は、基本殺風景な部屋を少しでも見栄え良くしようと飾り立てる。
　飾り立てが終わったと同時にアパートのチャイムが鳴った。
　鳴らしたのは、プレゼントとケーキを持ってきた月だった。
「待っていましたよ、月さん。さ、どうぞ」
　飾り立てられた部屋に招き入れ、ふたりっきりの誕生日のお祝いを。

「冬華、誕生日おめでとう！」
　クラッカーを鳴らし、月がお祝いする。
「私も今年で18歳ですね。去年から今年まで色々ありましたねぇ……」
　年齢を重ねるごとに体、特に胸が大きくなっているという複雑な心境も。
「一緒にケーキ食べましょう？　ジュースは用意してあります」
　ジュースとグラスを用意し、ケーキを切り分けて2人で味わう。
　ケーキを食べた冬華は、お酒が効いているとは思わなかったので少し驚いた。
「大人っぽい味ですね。一歩、大人に近づいたと実感します」
「特別な日だから少し大人っぽくしてみたんだ。お酒は20歳からだからね」
「誕生日が来たということで、高校生活も、あと少しですか……。そう考えると少し寂しいですね……」
「そうだね。これ、開けてみて」
　丁寧にラッピングしたプレゼントを月が差し出す。
　早く開けてみてという表情だったので、冬華は何でしょうと確認する。
「服と下着ですね。ありがとうございます」
「冬華のために私がデザインしたんだ。そうだ、折角送ったんだし、プレゼントをここで着替えてよ」
　ここで着替えるのは少し恥ずかしかったが、月のお願い事だ。
　着て欲しそうな雰囲気だったので、冬華はさっそく、プレゼントに着替えることに。

　着替え終えると、さっそくお披露目。サイズだが、服も下着もジャストフィットだった。
　丁度いいサイズだったようなので、月は一安心。
　プレゼントの服と下着、装飾品を身に着けた冬華は、いつもより大人っぽい雰囲気になっている。
「似合い……ますか？」
「すごく似合うよ。綺麗だよ、冬華」
　着替え終わった冬華の指に、月は服に合わせてデザインした指輪を左手の薬指にはめた。
「サイズ、ぴったりですね」
　はめてもらった指輪を見て、冬華は嬉しそうな顔をする。
「これは私の気持ち。これからもずっと一緒にいてね……改めてだけど誕生日おめでとう、冬華」
　それに対し、冬華は何も言わず月を後ろから抱き締めた。
　これからも月とは一緒にいるが、今は、一緒にいる時間の大切さを噛みしめたい。
「これからもずっと一緒ですよ、月さん」
　冬華のぬくもりを感じながら、新しい生活の不安と、それと同じくらいに期待している月。

　折角のお祝いだし、楽しいことを考えよう。
　その後はケーキを食べたり、プレゼントの服や下着を披露したりとふたりっきりの時間を大いに楽しんだ。