- 0
- 0
- 種族
-
- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
闇ありて棲み処は澱む＜１＞
●黒いドアの先
１階に戻ると、管理人室には４階組以外の全員が集まっていて、マリエッタ・ラシュリエが倒れた人たちの手当てをしていた。物置にあった災害グッズの中にあった応急手当キットや水のおかげで、真白も道哉もすでに回復している。
紫が入手してきたソレは、手のひらほどの木の葉状の金属片であった。
マリエッタはそれを手に取って眺めてみる。
「古いものね……青銅の矛の穂先、かしら」
「こういうの詳しいのかい」
「専門は建築だけれど、素材についてや歴史は多少学ぶから……あら、何か刻まれているわ」
首を傾げるマリエッタの脇から、修が覗き込む。
「箭括麻多智（やはずのまたち）――常陸国風土記(ひたちのくにふどき)で、夜刀神（やとのかみ）を倒したとされる豪族の名だ」
紫は腕組みをしてきなこを見遣る。
「古い名が出たね。４０４号室の霊はこれを守っているように見えた。きなこさん、心当たりは？」
「やとのかみ……」
きなこはガタガタ震え出した。
「わからない……でも、そのなまえ、すごくこわい」
「その反応だけで、関係がありそうなのはわかった。それでこのあとどうする。まだ『におう』んだろう？」
「うん」
「４０４号室のやつか？ もう一度行って倒すか？」
「ううん。あれはちがう。むしろ『におう』のは下から……」
きなこの言葉に、小次郎と真白は顔を見合わせた。
「１階の黒いドア。あからさまに怪しいよな……あの奥に『におい』の秘密がありそうな気がする」
「そうそう。あの位置にドアがあるのって一階だけだし、地下室とかに繋がってたりしないかな」
あり得そうなことだ。
マリエッタは意気揚々と物置から調達したドリルを構えた。
「力尽くでこじ開けるなら任せて」
「物理は試した。ドアノブを壊したけど開かなかったよ」
修が先の失敗を伝える。
「そうなのね。それでも、そこしか心当たりがないなら行ってみましょう」
管理人室を出て黒いドアへ向かう。
すると、ドアの前に黄色い服を着た男の子の霊が立っていた。
そういえば、と学は＜POV＞を使って撮影した部分のビデオを見返す。
「４階の霊、３人だったよね。両親と三つ編みの子。でも絵には黄色い服の男の子がいた」
それを聞き、豪は管理人室で見た記事を思い返した。
――谷守 寛さん(44)とその妻・緑さん（40）、トモコちゃん(9)、ヒカルくん(6)の一家四人が――
「もしかして、ヒカルくん？」
名を呼ぶと、うっすらとした姿の彼は微笑んでドアの中にすうっと消えた。
「待ってくれ」
追いかけるように黒いドアに取り付くと、先ほど修が試したときはびくともしなかったドアが動いた。
湿った冷気が足元に漂う。コンクリートの小部屋の中は薄暗く、床面に井戸のような穴が空いている。
懐中電灯で照らしてみるが、穴の中は岩肌がごつごつしたままの空間で底は見えない。
「これは……地下への入口か……？」
＜つづく＞
●
１階に戻ると、管理人室には４階組以外の全員が集まっていて、マリエッタ・ラシュリエが倒れた人たちの手当てをしていた。物置にあった災害グッズの中にあった応急手当キットや水のおかげで、真白も道哉もすでに回復している。
紫が入手してきたソレは、手のひらほどの木の葉状の金属片であった。
マリエッタはそれを手に取って眺めてみる。
「古いものね……青銅の矛の穂先、かしら」
「こういうの詳しいのかい」
「専門は建築だけれど、素材についてや歴史は多少学ぶから……あら、何か刻まれているわ」
首を傾げるマリエッタの脇から、修が覗き込む。
「箭括麻多智（やはずのまたち）――常陸国風土記(ひたちのくにふどき)で、夜刀神（やとのかみ）を倒したとされる豪族の名だ」
紫は腕組みをしてきなこを見遣る。
「古い名が出たね。４０４号室の霊はこれを守っているように見えた。きなこさん、心当たりは？」
「やとのかみ……」
きなこはガタガタ震え出した。
「わからない……でも、そのなまえ、すごくこわい」
「その反応だけで、関係がありそうなのはわかった。それでこのあとどうする。まだ『におう』んだろう？」
「うん」
「４０４号室のやつか？ もう一度行って倒すか？」
「ううん。あれはちがう。むしろ『におう』のは下から……」
きなこの言葉に、小次郎と真白は顔を見合わせた。
「１階の黒いドア。あからさまに怪しいよな……あの奥に『におい』の秘密がありそうな気がする」
「そうそう。あの位置にドアがあるのって一階だけだし、地下室とかに繋がってたりしないかな」
あり得そうなことだ。
マリエッタは意気揚々と物置から調達したドリルを構えた。
「力尽くでこじ開けるなら任せて」
「物理は試した。ドアノブを壊したけど開かなかったよ」
修が先の失敗を伝える。
「そうなのね。それでも、そこしか心当たりがないなら行ってみましょう」
管理人室を出て黒いドアへ向かう。
すると、ドアの前に黄色い服を着た男の子の霊が立っていた。
そういえば、と学は＜POV＞を使って撮影した部分のビデオを見返す。
「４階の霊、３人だったよね。両親と三つ編みの子。でも絵には黄色い服の男の子がいた」
それを聞き、豪は管理人室で見た記事を思い返した。
――谷守 寛さん(44)とその妻・緑さん（40）、トモコちゃん(9)、ヒカルくん(6)の一家四人が――
「もしかして、ヒカルくん？」
名を呼ぶと、うっすらとした姿の彼は微笑んでドアの中にすうっと消えた。
「待ってくれ」
追いかけるように黒いドアに取り付くと、先ほど修が試したときはびくともしなかったドアが動いた。
湿った冷気が足元に漂う。コンクリートの小部屋の中は薄暗く、床面に井戸のような穴が空いている。
懐中電灯で照らしてみるが、穴の中は岩肌がごつごつしたままの空間で底は見えない。
「これは……地下への入口か……？」
あとがき
担当マスター：
笈地 行
ファンレターはマスターページから！
ご参加ありがとうございます。笈地です。
闇ありて棲み処は澱む、第１話をお届けしました。
【今回の正気度判定】……正気度は次回へは持ち越しません。
★１０４号室
白 真白さん （ ３―３＝０ )
三毛谷 道哉さん （ ６―４＝２ )
★３０２号室
三毛谷 道哉さん （ ２―２＝０ )
★４階廊下、４０４号室
青木 学さん （ ６―２＝４ )
鏨 紫さん （ １２―３＝９ )
化神 小次郎さん （ ６―１＝５ )
八神 修さん （ ４―３＝１ )
お名前のない方は正気度が怪しくなる危険に遭遇しませんでした。
【今回の入手物】……次回へ持ち越せます。
★共有（物置から探し出したものなど）
スコップ、はしご、工具箱、ベニヤ板、コスプレ道具、高枝切りバサミ
縄梯子、災害グッズセット（救急箱入り）、保存水
箭括麻多智（やはずのまたち）と刻まれた青銅の矛の穂先
★個別
青木 学さん……竹ぼうき
龍目 豪さん……懐中電灯
八神 修さん……管理人室清掃用の箒
マリエッタ・ラシュリエさん……手動ドリル、ハンマー
鏨 紫さん……鉄梃
次回第２話。
夜刀神とは？ きなことの関係は？ ヒカルくんに導かれ、地下へ。
解けていない謎も明らかになるかも。
よろしければ引き続きご参加くださいませ。
闇ありて棲み処は澱む、第１話をお届けしました。
【今回の正気度判定】……正気度は次回へは持ち越しません。
★１０４号室
白 真白さん （ ３―３＝０ )
三毛谷 道哉さん （ ６―４＝２ )
★３０２号室
三毛谷 道哉さん （ ２―２＝０ )
★４階廊下、４０４号室
青木 学さん （ ６―２＝４ )
鏨 紫さん （ １２―３＝９ )
化神 小次郎さん （ ６―１＝５ )
八神 修さん （ ４―３＝１ )
お名前のない方は正気度が怪しくなる危険に遭遇しませんでした。
【今回の入手物】……次回へ持ち越せます。
★共有（物置から探し出したものなど）
スコップ、はしご、工具箱、ベニヤ板、コスプレ道具、高枝切りバサミ
縄梯子、災害グッズセット（救急箱入り）、保存水
箭括麻多智（やはずのまたち）と刻まれた青銅の矛の穂先
★個別
青木 学さん……竹ぼうき
龍目 豪さん……懐中電灯
八神 修さん……管理人室清掃用の箒
マリエッタ・ラシュリエさん……手動ドリル、ハンマー
鏨 紫さん……鉄梃
次回第２話。
夜刀神とは？ きなことの関係は？ ヒカルくんに導かれ、地下へ。
解けていない謎も明らかになるかも。
よろしければ引き続きご参加くださいませ。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2021年12月30日
- 参加申し込みの期限
-
- 2022年01月06日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2022年01月06日 11時00分
