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【七夕】鵲の翼を渡って ~七夕ゆかたまつり 1371~
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着慣れない浴衣の裾をどう扱っていいものか悩みながら、
深倉 理紗子
は参道商店街に至る夕焼けの道をのんびりと辿る。商店街に近づくにつれ、民家の軒先に七夕飾りが目立ち始めている。
こどもが作ったらしい折り紙の輪飾りや提灯飾りを目すれば、思わず瞳が淡く和んだ。
(去年の七夕は何をしていたっけ)
ふと考えて思い出す。確か宿直勤務だった。小児科病棟に入院しているこどもたちが飾り付けた笹に思わず足を止めて、そういえば今日は七夕だっけとぼんやり眺めていたら、先生もどうぞと看護師に短冊を渡された。
(何を書いたかしら)
七夕飾りの前に立った記憶はあるのに、どんな願い事を書いて結んだのかは忘れてしまっている。
(去年の今ごろは、……)
親友の
深林 真瞭
と、──まーちゃんと、どうしようもないすれ違いを繰り返していた。まるでもがけばもがくほど沈んでしまう砂に足を取られるように、どうしようもなく互いの存在が遠くなって行った。もうそのまま、離れ離れになって二度と顔も合わせなくなるのだと、あの頃は思っていた。
(たった数ヶ月)
すれ違いにすれ違いを重ねていたのは、今にして思えばたったの数ヶ月に過ぎなかったけれど、あの頃は何年にも及ぶ長い時間の如く感じていた。とてもとても、苦しい時間だった。
あの頃を思い出した途端にぎゅうっと痛む胸をそっと撫でる。
(大丈夫)
自分に言い聞かせながら、今日のためにレンタルした白地に淡い緑色の麻の葉が揺れる浴衣を見下ろす。
(浴衣なんて着るの、何年ぶりだろうか)
去年の七夕は宿直勤務だったけれど、今年は非番。とは言え、いつ急患や受け持ち患者の容体悪化のために呼び出しが掛かるか分かったものではない。
巾着袋の中に入れた携帯電話が鳴らないことを祈りながら、理紗子は一週間前にその携帯電話に届いたNYAINのメッセージを思い出す。
──今度の七夕、暇?
それは春の花見の時に会って以来の真瞭からの連絡だった。
──久しぶりにりさちんに会いたい
真瞭が第一ヴァイオリンとコンサートマスターを務めていた某有名交響楽団を辞め、ソリストとしての活動を始めたのは半年以上前のこと。仕事は順調なようで、既に一年以上のスケジュールが埋まっているということはいつだったかNYAINで話す折に聞いていた。
きっと目の回るような忙しさの中にあるのだろう真瞭からの『会いたい』は、胸がふわふわ温かくなるほど嬉しかった。慌ててシフトを確認すれば、ありがたいことに非番。
──寝子島は七夕ゆかた祭りだよね、二人で浴衣着てデートしない?
一日オフだと言う真瞭からの返信の文字が楽しそうに笑っているように見えて、だから理紗子は猫が元気いっぱい『OK!』と笑っているスタンプを返した。
待ち合わせ場所にした参道商店街近くの小さな公園の花壇には、背を伸ばし始めた向日葵が夕風に揺れている。
手にした巾着袋から携帯電話を取り出し、時間を確認する。約束の時間までまだしばらく時間がある。
手持ち無沙汰を誤魔化そうと個人連絡用アプリのNYAINを開けば、少しはしゃいでしまった真瞭へのスタンプが目に入ってきて、理紗子は小さく肩をすくめた。くすぐったいような気持ちにちらりと笑ったとき、
「りさちん」
公園近くの家の軒先で鳴る風鈴よりも涼やかな声が聞こえた。
声を追って振り返れば、公園の入り口、傾きかけて金色に染まる太陽を背に、真瞭が手を振っている。
艶やかな黒髪を結い上げて淑やかな花飾りでまとめ、藍色地に清廉な百合の花を咲かせた浴衣を纏った彼女を目にした途端、理紗子は知らず吐息を零す。
「りさちん?」
真瞭が近づいて来て顔を覗き込んで来ても、理紗子は呆けたように彼女を見つめたまま。
「どうしたの?」
「あっ、……ううん」
理紗子の白い頬がふわりと紅く染まるのを見た途端、真瞭の胸に悪戯心が湧いた。
「私が綺麗過ぎて見惚れちゃったとか」
くすくす笑いながら言ってみる。同じように笑うかと思った理紗子は、けれどこどものように素直に頷いた。
「うん、……綺麗だな、って思って」
交響楽団を辞めるまでは、いつ会っても疲弊しきった顔をしていた。
(……まーちゃん)
足掻いてもがいて、それでももうどうしようもなくなって楽団を辞めて、──それでも彼女は音楽を辞めなかった。ヴァイオリンを弾き続けた。彼女の音楽が引く手数多であることが、理紗子は心から誇らしい。
忙しくも充実した毎日を送っているのだろう彼女は、内側から輝くように美しかった。
素直な感想を口にしたのに、真瞭は黒い瞳をぱちりと瞬き、そうしてくすくすとまた笑いだした。
「りさちん」
真瞭はきょとんとする理紗子の手を取る。
「りさちんは可愛いよ」
浴衣もとても似合ってる、と伝えたのに、理紗子は自分の浴衣姿にも可愛らしさにも気づけていない顔で曖昧に微笑むばかり。
「行こっか、りさちん」
「うん、まーちゃん」
浴衣姿のふたりは並んで黄昏の参道商店街へと歩き始める。笹の葉の揺れる音に耳を澄ませてみたり、七夕飾りの種類を言い合ってみたり。なんでもないような話も、久しぶりに顔を合わせたふたりからすれば楽しいことこの上なかった。
「春の花見以来だから、三ヶ月も前なのね」
「大人になるとなかなか会えないよね」
浴衣姿ではしゃぐ女子高生や大学生たちを微笑ましく眺めながら、三十路も目前のふたりは眩し気に目を細める。青春真っただ中な年頃の子たちの姿はどうしようもなく眩しくて懐かしい気もするけれど、
「……でも、今も悪くない、かな」
傍らを歩く真瞭の凛と伸びた背や浴衣の襟から見える大人の女性の艶やかさを湛えたうなじを見遣り、理紗子は小さく微笑んだ。疲れることもあるけれど、大人になるのもそう悪くはない。
「うん、悪くないわね──あっ、りさちんりさちん!」
大きく頷いた真瞭が、不意に華やいだ声を上げて理紗子の浴衣の袂を引いた。
「あのお店、すっごくいい!」
キャア、と女子高生じみた声で示すのは、路地の奥、素朴な灯籠や金魚の泳ぐ水盤に飾られたレトロ喫茶。
行ってみようと笑う真瞭に理紗子は笑い返す。ふたりで肩を寄せ合うように狭い路地を進み、ささやかに開店中を示す焦げ茶色の扉を開く。
ちりん、と鳴る鈴の音に、袴にエプロン姿の女給の恰好をした店員がいらっしゃいませと丁寧に頭を下げる。立地のためか人気の少ない店内の奥、ゆったりと寛げるソファに席を定めて向かいあって座れば、女給が冷たいほうじ茶とおしぼりの乗った竹製トレイを届けてくれた。
「何にしようか」
「何がいいかな」
笹の葉と七夕飾りが木製シーリングファンに揺れる音ばかりが響く静かな店内で声高に話すのも気が引けて、顔を寄せ合うようにして囁き合う。それさえも楽しくて、ふたりはひそやかに瞳を細めた。
シベリアとお茶のセット、自家製カステラ、卵たっぷりプリン、クリームソーダ。お品書きに並ぶメニューからふたりが選んだのは、水羊羹と緑茶のセット。
濃緑色した笹の葉に乗せられた水羊羹は、透き通るような小豆色。切りたての断面も滑らかに美しく、竹楊枝で切り分けて口に運べば舌の熱で幻のように解け、あとに残るは小豆の香と優しい甘さばかり。
口に残る甘さで緑茶の甘さの中の僅かな渋さを楽しみつつ、ふたりは高校生に戻ったかのように、数か月間の空白を埋めるかのようにおしゃべりをする。
互いの近況に始まり、脱線に次ぐ脱線で話が広がる。気づけば笹の葉の上は空っぽ、緑茶の椀もほうじ茶の椀も空っぽ。
「やだ、長居しちゃった?」
「大丈夫、まーちゃん」
七夕祭りが終わっちゃう、と焦る真瞭に、店内の柱時計を確かめた理紗子が首を横に振る。随分たくさんたくさん話して、長い時間を過ごしてしまった気もしたけれど、実際には然程時間は過ぎていなかった。
ごちそうさまと店を出て、参道商店街の並ぶ屋台を見て回る。夕暮れにキラキラと光る屋台の灯りや夕風に踊る笹の葉や七夕飾り、それに目を輝かせる真瞭に目を奪われるうちに、寝子島神社の鳥居の前に立つ。鳥居の両脇に立てかけられた笹をふたりで仰いでいると、巫女さんに短冊を渡された。
『りさちんと私、いつまでもずっとこのままで』
『大好きなまーちゃんのこと、これからも大好きでいられますように』
迷わずに書いた願い事をせーので見せあいっこしてみれば、互いに同じことを考えていて、それがとても嬉しくて楽しくて、ふたりは顔を見合わせて笑いあう。
(そう、これでいいんだ)
理紗子の笑顔を見つめながら、真瞭は心から思う。
(私たちは)
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
1000人
参加キャラクター数
38人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年12月20日
参加申し込みの期限
2021年12月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年12月27日 11時00分
参加キャラクター一覧
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