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【七夕】鵲の翼を渡って ~七夕ゆかたまつり 1371~
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一歩先を白い靴下をはいた猫が歩いて行く。
ぴかぴかに磨き込まれた廊下を一体誰が掃除しているのだろうと考える間もなく、猫が振り返ってにゃあと鳴いた。早く、と急かされた気がして千早は猫のあとに続く。
長い廊下に並ぶのは、鰹や鮪の札が掛けられた格子の引き戸。鮭の絵が掛けられた部屋の前で足を止め、猫はまたにゃあと鳴く。言われるままに引き戸をそっと開ければ、靴下猫は軽い足取りで部屋へと入った。
入口と部屋を隔てる猫と猫じゃらしの絵を描いた襖を開く。迎えてくれたのは、何十畳もある畳の部屋。猫いっぴきでは広すぎる畳の間の上座には金の蒔絵の絵屏風に、漆塗りの脇息、錦の分厚い座布団。外観に見合う豪華な設えに思わず目を引かれるも、たし、と畳を叩く尻尾の音にぱちりと瞬く。部屋の真ん中で前肢を揃えてちょこんと座った湯屋の客である猫の傍に膝をつく。
「何をすれば……?」
人間であっても猫であっても、豪華な宿を訪うたものが何を望むのか想像がつかなかった。
千早を仰ぎ、猫はにゃあと鳴いた。小さな顎をひょいと向けるのは、部屋の向かい。障子を隔てた向こうからは、温かな湯の気配がした。
(個室温泉……)
どうやら猫は温泉につかりたいらしい。
障子を開けた先には、縁側に坪庭、それから檜の湯舟があった。備え付けの手拭を手に従う人間の姿を横目に確かめ、猫は檜の香りたつ湯舟の縁を優雅な足取りで歩く。そうして時折、湯加減を確かめるように前肢を湯に浸してかき混ぜてみては、濡れた手をぴぴぴと振る。
(楽しいのだろうか)
にゃあ、と呼ばれ、千早は猫の傍に膝をついた。手拭を膝に広げれば、猫は当然のようにそこに前肢を置く。前肢を優しく拭き上げると、今度は身軽に膝へと飛び乗って来る。後ろ足も濡れて気持ちが悪いらしい。
抱き上げて後ろ足まで拭えば、猫はいたく満足したらしかった。ごろごろと喉を鳴らして腕の中に落ち着く猫をつれて部屋に戻ると、錦の座布団の前にはいつの間にか五色の五色の茹で素麺と鯛のほぐし身の盛られた膳が漆塗りの御膳台に供されていた。
座布団に座る猫に促され、傍らに侍った千早はその口元に箸で少しずつ摘まんだ素麺を運ぶ。
「……美味しいですか?」
うなうなと呟く猫の返事に、思わず少し頬が緩んだ。
お腹いっぱいになった猫に所望され、イグサの香のする畳の上へ横になる。伸ばした腕にふわりと掛かる小さな頭の重さは、時間が経つほどに痺れを伴い始めたけれど、
(土産話になるかな)
もしかしたら帰りを待ち構えているかもしれない猫好きな友達のことを思えば、また頬が緩んだ。
(接待、って言われても)
廊下の先を歩いていく地味な羽織りを纏った猫は、どうやら客ではなく湯屋の仲居らしかった。ここでは客も猫、世話する方も猫らしい。
(要するに猫をひたすら可愛がればいいってこと、かな……)
隣を歩く姉を見遣る。姉の腕の中で気持ちよさそうに眠っている猫がとっても羨ましいけれど、今はそれどころではない。とにかく働かなくては寝子島には戻ることができない、らしい。
にゃ、と仲居猫が鳴くなりぴょーんと跳ねて廊下の端へと逃げた。なにごとかと、同じ動作をせねばならないのかと視線を向ける間もなく、
「わ、わわっ……?!」
「きゃ……?!」
廊下の左右にある広間の襖を蹴倒す勢いで文字通り猫まっしぐらに大挙して飛び掛かって来る種々様々な猫たちに、蒼と紫は息を呑む。
一匹二匹ならまだしも数十匹に及ぶ猫たちの突撃を受け、
(一体どこからこんなたくさんの猫……!)
そう思いながらもとっさに何匹かを受け止めることには成功する。
「お姉ちゃん、もう何なのこれわけわからないー!」
「ねこ温泉だからね……」
必死に猫たちを受け止めるゲーマーであるがゆえに体力づくりも欠かさない妹の傍ら、姉は圧倒的な数で押し寄せてくる猫の猛攻に押し負け、床に押し倒されてあっというまに猫まみれになっている。
「ああっ、お姉ちゃーん!」
悲鳴を上げた妹も、間もなく猫の波に呑まれた。
にゃあにゃあにゃあ、身体の上で落ち着く場所を探す猫たちにしばらく呆然としたものの、ふたりは何とか気を取り直す。猫たちをどうにかこうにか押しのけ掻き分けて体勢を立て直し、
「取り合えず手分けして面倒を見ましょう」
「うん、お姉ちゃん」
姉妹ならではな息の合いっぷりでふたりは頷き合った。
ふたりの上を通り過ぎ、別の部屋に別の人間を探しに行った猫たちはそちらに任せることにして、ふたりが気に入ったのかふたりの周りで誘うように鳴いたり抱っこしろとせがんできたりする数匹の猫たちを、姉妹は手分けして抱っこする。そうしてまず案内するのは、廊下の案内板で場所を確認した温泉。
閉ざされた襖の向こうから猫たちの鳴き声の聞こえる広間が幾つも並ぶ廊下を抜け、緋毛氈の敷かれた廊下と階段を渡る。休憩所が点在する整えられた庭を横切り、『露天温泉またたび』の札が掛けられた三角屋根の木造棟に入る。
入ってすぐの畳敷きの休憩処にはブラッシング用のブラシや猫じゃらしが幾つも転がり、遊び疲れたらしい猫たちが点々と落ちていた。気持ちよさそうに眠る猫たちを起こさぬよう足を潜めて休憩所も過ぎ、風呂場との間にある脱衣所らしい小部屋で抱えて来た猫たちをそっと床に下ろす。
着脱の必要のない猫たちが優雅な足取りで風呂場へ向かうのを見送ってから、紫は浴衣に襷を掛ける。お姉ちゃんやって、と困った顔をする蒼を手伝って襷を掛けてやってから、ふたりは休憩所から拾ってきたブラシをただひとつの武器に風呂場へと踏み込んだ。
洗い場で待ち受ける数匹を紫が優しく手洗いする隣では、蒼が別の数匹のブラッシングに励む。洗い上げたり梳き上げたりでつやつやのふわふわになった猫たちは浅く設えられた湯舟にお腹を浸してうっとりするけれど、姉妹にそれをのんびり眺めることは許されない。
にゃ、と命じられれば掌に毛がつくのも構わず頭や背を撫で、にゃ、と声を掛けられれば脱衣所に戻って濡れた毛を丁寧に乾かしてはまたブラッシング。それが終われば休憩所で猫じゃらしを持って全力で遊ぶことを求められ、疲れ果てた猫が眠ってこれで一息つけるかと思えば別の猫に撫でろ愛でろと要求される。棚の上に置かれた猫用おやつを寄越せと脅される。
にゃあ!、と元気よく聞こえた猫の声に足元を見れば、ぴょんと後ろ足で立ち上がった灰色虎猫がいて、蒼は目を瞬かせた。猫を見過ぎて疲れているのかもしれない。
きょとんとする蒼のまなざしを受け、
『これは……特技ニャ!』
ろっこんで猫の姿となり、お猫さま接待を受ける気満々だった幸次は焦ってきちんと猫らしく四つ足をつく。浴衣姿のひとが手にしたブラシを目にした途端、抗えぬブラッシングサービスの心地よさを思って興奮してしまったのがいけなかった。お願いするニャと二足歩行をしてしまった。
『人間の真似するの好きなのニャ……ニャハハハ』
誤魔化して笑ってみるけれど、もしかしたら人間にはニャアニャアとしか聞こえないのかもしれない。蒼は別の猫に構うのに手いっぱいになっている。
『う、うニャ……』
ばれていないばれていないと安堵の息をつく幸次の隣、幸次の飼い猫である花遊が口元を両前肢で抑えてぷぷぷと笑う。
『こら花遊笑うニャって!』
『これが笑わずにいられるかっての』
怒る幸次にまた笑い、花遊はニャアと声を上げて周りの猫に話しかけた。
『ちょっと聞いてくれーこいつズルしてるぞ、本当は人……もごごご』
『何でもニャい、ないニャー!』
花遊の口を人間の手のようにはいかぬ前肢で必死に抑え、幸次はその場を逃げ出した。
(……うん、やっぱり疲れてるなあ……)
なんだか猫たちが漫才をしていたようにも見えた気がして、蒼はそっと首を横に振る。
疲れ果てるまで猫の接客をこなしながら、蒼はふと考えた。
(猫カフェの従業員ってこんな感じで一日過ごしてるんだろうか?)
埒もないことを考える間も、猫たちはにゃうにゃうみゅうみゃうあれをやれこれをやれと迫って来る。
(接客というか接猫というか)
励んでも励んでも、さばいてもさばいても、猫たちは次々に足元にまとわりつく、ともすれば膝に爪を立てて身体をよじ登って来る。
「つ、っ疲れた……」
「疲れた、わね……」
疲れ果てた頃、仲居猫がやって来て離れの建物内にある小さな温泉へと連れて行かれた。どうやら一休みしていいらしい。
浴衣の代わりに湯着をまとい、姉妹揃って温泉に入ったはいいものの、すぐにどこからか猫たちがやってきた。湯舟の縁に並んで座ってジィッと観察され、蒼は頬を赤くする。
(猫が相手でも……!)
恥ずかしいは恥ずかしい。
とは言えヘトヘトの身体に温泉はとてもよく効く。気持ちよさにうつらうつらしながら、蒼はちょっぴり真剣に思う。
これで目が覚めたら家の自室で浴衣を着てお姉ちゃんとふたり並んで寝ていたりしないかな──
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
1000人
参加キャラクター数
38人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年12月20日
参加申し込みの期限
2021年12月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年12月27日 11時00分
参加キャラクター一覧
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