寝子島の風にのって、ふわふわわ～｜リアクション

寝子島の風にのって、ふわふわわ～

　ここは、猫がいっぱいの屋敷。日が良く当たる部屋で、若者たちがゆるゆるとお昼寝を楽しんでいた。猫たちもまったり寛いでいる。

「アナタ、いい匂い、しますネ」
　数匹の猫に引っ付かれていたアリス・トテレスは、おなかに乗ってきた縞のある猫を抱え、にっこり笑った。大人しく抱えられるがままの猫をそのまま顔に乗せもふもふを楽しんでも「にゃ～」と鳴いてされるがまま。
（すごく人慣れ、デス）
　幸せそうに瞳を細めるアリス。猫はそのまま彼女の顔の上でくうくう寝息を立て始めた。数分後アリスはそっとその猫を傍らに置くことになるが、とりあえずそっとしておこう。

　少し離れた場所では、羽奈瀬リンがのんびりと本を読んでいた。その傍らにも猫が……。リンはそっと猫の背中を撫でながら微笑んだ。
「一緒に読むかい？」
　猫は気持ちよさそうに一声鳴き、リンの頬にすり寄る。そのくすぐったさに思わずくすくす笑いながら、彼は瞳を細めた。
「なでなでされる方がいいんだね」
　そう言いながらさらにもふもふするとすうすう寝息をたてはじめる。リンもまた本を閉ざして枕元に置くと、静かに瞳を閉ざした。
（暖かい……。眠くなってきたよ）
　忍び寄ってきた微睡みに身を任せ、リンもまた眠り始める。

「ふふ～、気持ちがいいねっ」
「まるで猫になったような気分です」
　仲良しコンビのメリィ・ランページとリリエル・エーテライトはくっついてお昼寝。猫達も一緒にくっついてたりするのは、メリィが虎の子で尻尾があるからか、リリエルの羽根が気持ちよいからか……。ともかく、もふもふが気持ちよい。
「しあわせです♪」「メリィもだよ～」
　メリィが甘えるようにすりすりすれば、リリエルは優しく頭を撫でる。こうしてみると甘えん坊な妹と包容力のある姉のようにも見える。しばらくすると、仲良しコンビもまた幸せそうな顔で寝入り始めた。はたして、二人はどんな夢を見るのだろうか？

「あれ？　あなたはいつの間に入ってきたの？」
　夢宮瑠奈は、いつのまにか傍らにいた白猫にそっと語り掛ける。白猫は小さく鳴くとそのまますりすり。どうやら瑠奈から離れる気はないらしい。
「ふふっ、一緒に御昼寝しましょ？」
　優しく頭を撫でると、白猫は気持ちよさそうにもう１つ鳴く。瑠奈は白猫の上にもブランケットをかけるとそっと瞳を閉じた。白猫も幸せそうに彼女へと身を寄せる。
　それが羨ましいのだろうか、数匹の猫が甘えるような声を上げて瑠奈にすりすり。だが、既に寝入った彼女は、ふにゃ、とした笑顔を浮かべただけだった。

　お腹の上に乗ってきた猫を撫でていた嘉島和穂は、もう一匹すり寄ってきた猫のくすぐったさに思わず笑い声をあげた。
「ふふっ、くすぐったいわよ」
　おいで、と優しく言えば、猫は愛らしい仕草で彼女にすり寄る。顎を撫でるとゴロゴロ喉を鳴らし、気持ちよさそうに目を細める。指に伝わる柔らかさに、和穂は自然と笑顔になっていた。
　お腹の上に乗っていた猫は、我関せず、という様子で眠っていた。が、やがて小さなあくびを１つすると彼女の首あたりへと降り、毛づくろい。そのままへそ天体勢で再び寝入り始めた。
（ふふ、かわいいな）
　ちらりと見ながら幸せを覚える和穂だった。

（実に緩やかな時間が流れておる）
　片夏阿呂江は狐の尻尾をゆっくり揺らしながら、気持ちよさそうに猫を撫でる。自分の腰辺りに子猫が乗っていたり、数本もある尻尾の間に猫が巻き込まれていてもお構いなし。広い心で猫達と戯れる。
「皆心地よいようじゃ。ふふ、勿論儂もじゃ」
　阿呂江は柔らかい声で猫に語り掛けながらもふもふを続ける。心地よくて穏やかで、眠るのに丁度良い時間。けれども、彼女は静かに見守る事を選んだ。
　指を撫でるふわふわの毛。「自分の尻尾の方が心地よいかも？」とも思うが、猫たちの愛らしい仕草と相まってその柔らかさは眠気を誘う。
「皆可愛いのぉ」
　眠る若者たちに、阿呂江は慈悲深い眼差しを向けながら静かにそう言った。

　温かな陽だまりの中。くつろぎの空気満ちる中でアリスは静かに瞳を開けたが……身を起こせなかった。足の間で猫が寝ているからだ。
「ん……」
　和穂は猫二匹に顔を挟まれるように眠っているし、瑠奈も白い猫に頬を嘗められ擽ったそうにしながら眠っている。
　リリエルとメリィの仲良しコンビも、リンもまだ夢の中だ。
「まだしばらくは温かい。眠ってよいぞ」
「うん、そうするデス」
　阿呂江にそう促され、アリスはもうひと眠りする事にした。

　――柔らかなで温かな時間が、そこには満ち溢れていた。

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寝子島の風にのって、ふわふわわ～

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