こんこん・ぽんぽこ化かし合い勝負｜リアクション

こんこん・ぽんぽこ化かし合い勝負

●化かし合い勝負、開始！

　狐と狸が人間を化かすのを見た砧ポン吉は、別の場所でもやっていないかと霊界を歩き回る。
　その時、茶色い毛玉らしきモノに遭遇した。
　近づくと毛玉がモゾモゾ動き出した。毛玉だと思っていたモノは狸だった。
「あんたオイラと同じ狸か。どうしたんだ？」
　落ち込んでいる様子だったので、事情を聞くことに。
　狸はベソをかきながら、狐との化かし合い勝負に決着が付かないことが悔しいと話す。
「化かし合いが決着付かないだと？」
　コクンと頷く狸。
「んな馬鹿な。コンチクショウ（狐畜生）に負けるわけには行かねーっちゅうの！」
　ポン吉も他人や他の生き物（犬除く）といった色々な物に化けることができる狸なので、それを聞き憤る。
「狸としちゃあ当然、狸を勝たせる方に行くのが当たり前なんだよ！　というわけで、オイラも参戦だ！！」
　狸の敵はオイラが討つ！　と意気込んだポン吉は狸に加勢することに。
　仲間ができた狸はそれに触発されたのか、今度こそ勝つ！　とやる気を取り戻した。
「その意気だ！　狐には負けないぞ！」
　狸に案内され、ポン吉は化かし合い勝負に参加している他の狸のところへ。

「ふむ、化かし合い合戦が始まったのか」
　狐耳と狐の尻尾を持つ片夏阿呂江は、どちらかといえば狸に対しても穏健派だが狐を応援することに。
　狐達がどのようなモノに化け、どのように迷い込んだ者を驚かすのか物陰で見守る。
「おぉ、早速出てきよったわ。どのようなもので脅かすのか楽しみじゃ」
　霊界に迷い込んだ人間を驚かせようと狐は、落ち葉を頭に乗せて妖怪に化けた。
　人間の目の前にいきなり現れたり、囲んだりと驚かせようとしたが肝が据わっているのか驚かず。
　変なのに関わったという態度で、人間は何事もなかったように銀朱駅を立ち去った。
　狐が化けた妖怪だが、耳や尻尾が出ていたり、糸目を隠せないといった中途半端な外見であった。
（あのような化け方では、驚かせるわけがなかろう！）
　阿呂江も変化の術を使えるので、中途半端な変化が許せなかった。
　一喝せねば気が済まん！　と変化の術を解いたばかりの狐達に詰め寄る。
「なんじゃその中途半端な化け方は！　周辺におる狐達、お主らも全員来んかぁ！」
　その声に呼び寄せられ、狐達は阿呂江を囲むように集まって来た。
「先程の変化、とくと見たぞ！　その程度で人間が驚くわけがなかろう！」
　そう言われてもと言いたげな狐達だったが、狐の耳と尻尾を持つ阿呂江の外見を見て、なぜ説教されたのか納得した。
「今のままで狸に勝てると思うておる奴は帰れ！」　
　追い打ちをかけるような一言に、狐達は落ち込んだり泣き出したり。
「………す、すまん。少し言い過ぎたようじゃ。皆、泣くな」
　泣かせてしまった責任を感じたので、変化が上手くいくように教えねばという使命感が。
「ええい、泣き止まんか！　儂が責任を持って変化の術を教えるぞ。その後、もう一度驚かせれば良い」
　銀朱駅一帯にいる狐を呼び寄せるなり、阿呂江は場所を変え変化の術の特訓じゃ！　と宣言した。

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