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【プール開き】六月快晴初およぎ日和
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●ふたたびフツウの寝子高プール(3)
寝子島の6月の日差しは、晴れているとはいえやわらかい。
タイの5月の日差しに比べたら、まったくもって。
朝鳥 さゆる
の脳裏には、日本を飛び出したい衝動に駆られて赴いたアユタヤ遺跡が思い出される。遺跡を炙る灼熱の日差し。朦朧と蜃気楼のような揺らめき。タイから帰国したのがいつだか覚えていない。はっきりしているのはMaliceは驚くほどの執念でタイでの潜伏先を見つけて──少なくとも三日以上、プーケットのホテルの部屋で昼も夜もなく文字通りに貪られ、意識が朦朧としたまま帰国したこと。
そのあと、5月の残りの日々はどんなだっただろう。
Maliceが住み着いているあのワンルームマンションの壁紙や天井が、喘ぎ声を伴って細切れにフラッシュバックする。薄暗い部屋に浮かび上がる白い肢体。絡み合い、記憶の映像の中ではどちらのものか分からない。
――気が付いたらもう6月だった。
そして今。
さゆるは寝子高のプールサイド、そこに並べられたデッキチェアに身を横たえ、気だるげにまどろんでいた。
ここへはMaliceに連れられてきた。
『何日も部屋に閉じこもるのも飽きたわね』
そういってMaliceは二人で外に出る口実をSNSで探したようだった。
当該のMaliceは隣のチェアに身を横たえている。なぜここにいるのか。この悪意の女の気まぐれに、自分も気まぐれに付き合う気になったのか、それとも、言うことを聞かなければ姫木 じゅんに危害を加えるという脅しに自分は屈したのか……。
溜息。いまさらどうでもいいことだ。
胸元に大きくスリットの入ったアクアマリン色のワンピース水着は、モデルのようなさゆるの肢体をより魅力的に包み込んでいる。男なら放っておかない、と言えそうだが、退廃的な美貌は逆に近づきがたい雰囲気を醸しだしていて、声を掛ける勇気がある男はいなかった。
ゆえにさゆるはまどろみ続ける。
「……?」
ふいに、自分になにかが纏わりつく気配で目が覚めた。
薄目を開けると、Maliceの腕が背後から回されている。
「Malice……」
やめて、と言おうとして違和感に気付く。
──いや、どこか感触が違う。
Maliceではありえないような小さな震え。必死な息遣いが背中にかかる。
狂的な悪意ではく、弱く儚い印象の主──
葉利沢 倫理子
。
彼女だ。
さゆるの認識では、倫理子はMaliceの生みの親であると考えられた。元人格と言ってもいい。倫理子の、自分ひとりでは抱えきれない苦しみが、冷酷かつ狡猾で攻撃的な人格『Malice』を生み出したであろうことは想像に難くない。しかし倫理子は弱すぎた。今となっては、Maliceのほうが主人格にのし上がっており、倫理子は肉体を提供するだけのいわば宿主に成り下がっているようだ、さゆるは捉えていた。
Maliceとの付き合いは深い。
しかし倫理子のことはよく知らない。
(Maliceが意図的に人格を入れ替えたのか、倫理子がMaliceの隙をついて身体を取り戻したのか……)
何の切欠で人格が入れ替わったのかわからないが、さゆるは倫理子がそうしたいならしていればいいと、抱きつかれるがままにしておいた。
彼女は震えていた。
背中に感じる柔らかい感触は、弱々しい雛鳥を思わせた。
◇
倫理子はさゆるに後ろから抱き着き、震えていた。
そうしなければまたMaliceに飲まれると思ったから。
彼女は邪悪だ。この肉体を使って、さゆるにどんなことをしているか……そのことを思うと嫌悪感で胸が張り裂けそうになる。それなのに自分はMaliceを抑えることができない。
世界中を憎まずにはいられなかった。
この世界から消えてしまいたかった。
壊して、砕いて、なにもかもを破壊してしまいたかった。
この手にもしも力があれば……。
そう願ったか弱い少女でしかない自分を、許していいのかわからないまま、今日に至っている。
Maliceはそこに付け入っているのだ。
倫理子のその弱さ自体が許せない、とすら考えて、倫理子を消してしまおうとすら目論んでいる。
そうなったとき私『倫理子』という存在はどうなってしまうのだろう。
この世に生を受けた意味すら感じることなく、誰にも知られることなく、うたかたの泡と消えるのだろうか。
さゆるが身じろぎをした。
そんなことですら恐怖に近い不安を感じる自分が厭にになる。
さゆるにそれが伝わったのか、彼女は囁くような声で話しかけてきた。
「……あなた、倫理子なの?」
「……朝鳥さん、ええ、そうよ」
「Maliceがまた気まぐれにあなたに身体を返したのね」
「わからないわ……でも、そうかもしれない」
しばしの間、沈黙が落ちる。
その沈黙は苦ではなかった。
なにかやさしい、母の手の中にいるような心地になる沈黙だった。
蘇ってくる。
記憶が。
「……そういえば、思い出したことがあるんです」
倫理子はポツリと口にする。
「なに?」
「私と朝鳥さん、以前に出会っていたの。
いつだったかのハロウィンで……
」
「そうだったかしら」
「エノコロ岬だったわ。デートスポットとして有名で、あたりはカップルだらけで……でも私は独りだった。
あなたはこう声をかけてくれたの。
『……あなた、今、心が痛いでしょう?』って。
図星だった。そして私にも分かったの。あなたも心が痛い人だって……私たち、同じだって」
さゆるは細くため息を吐く。
「……Maliceがあたしに執着するのはきっとその時の記憶ね」
「……ごめんなさい」
詫びる倫理子に、さゆるは無言だった。
あの日出逢わなければ、さゆるはMaliceに貪られずに済んだのだろうか、と倫理子は自問する。
あるいは自分はまだ倫理子のままでいられたのだろうか、と。
――答えは、いずれもNOである気がした。
とても残念だけれど。
そうならざるをえないことが、自分たちには起こりすぎた。
「朝鳥さん、来て」
倫理子はおもむろにさゆるの腕を掴み、デッキチェアを飛び出した。
プールサイドを駆け、水際でキスをし、そのまま抱き合うようにして水の中に落ちる。
(落ちて、一緒に)
唇を押し付け密着させる。
ひとかけらの空気も漏らさぬように。
そしてそのまま回転しながら水中を揺蕩う。
見上げる水面。
光がゆらゆらと蜃気楼みたいに揺れている。
誰の声も聞こえない。
身のうちにいるはずのMaliceの声もない。
感じる。
生きている。
いまはただ、世界にさゆると倫理子だけがいる――。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
笈地 行
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
学校生活
コメディ
お色気
定員
1000人
参加キャラクター数
31人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年11月06日
参加申し込みの期限
2021年11月13日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年11月13日 11時00分
参加キャラクター一覧
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