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霊界の空を幽霊船の飛ぶ
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どっかーん、と砂浜の端っこに響いた爆発のような花火のような音に、
漫 歩
は空色の瞳を大きく瞠った。
「うわ、何なに、何事?」
ツーブロックの黒髪を潮風に揺らして爆音の聞こえた方を振り返るも、その瞳は好奇心にきらきらと輝いている。
「花火?」
「うううん、ばくはつ」
小さな女の子のような声は、肩につと止まった蛍から聞こえた。
「ひえ、見に行ってもいいかな?」
軽い口調で今にも歩き出して行ってしまいそうな歩に、ふわりゆらり、百もの蛍が光の衣のようにまとわりついた。
ふわりとした光を頼りに目を凝らしてみれば、爆発の後らしい煙の中から十歳ほどの少年が咳き込みながら現れた。爆発に巻き込まれたはずなのにほとんど無傷に見える少年は、爆発を起こした張本人らしい三歳ほどの子供の頭を撫でようとしてその手を叩き落とされている。
大丈夫ですー、と手を振る少年に手を振り返し、歩はちょっと安堵した。誰も傷ついていないのはいいことだ。
「おにいさん」
お話をきかせて、と光の渦を作る蛍たちにねだられ、服にすがりついてふわふわと光られ、金色の光まみれで思わず笑う歩の手に、小さな手が触れる。
「おはなし、きかせて」
蛍の光と同じ目の色した少女──蛍子に請われ、
「お話かあ」
靴の付喪神であるところの歩はちょっと考える。
海蛍たちの青い光の海に浮かぶ幽霊船を一眺めして、幽霊船の前に集まりつつある色んなあやかしたちを一眺めする。
(一緒に見ることが出来ていたら)
見たことのないものを目にする度に思い出すのは、『自分』の記憶の一番初めにあるのは、病室の窓から外を眺める青年の眼差し。
「俺、入院してるお兄さんへのプレゼントだったのさ」
あの頃は、あのまなざしの奥に潜むものが何なのかわからなかった。それどころか、たぶん、分からないということさえも分からないまま、まなざしの色だけをただ記憶していた。
「元気になったらお揃いの靴でどこかへ行こうぜ、ってやつ」
靴であった己をその青年に贈ったひとのことよりも、長く傍にいた青年のことばかりを憶えている。
履いて欲しかった。お揃いであるもう一足の靴とも一緒に色んなところを歩いてみたかった。
「ま、結局その人が退院することはなかったわけだけど……」
悲し気に黙する蛍子と蛍たちに、歩はことさらに飄々と笑って見せる。
「俺、靴でちょっと良かったよな。服とかだった棺に入れたりしちゃうだろ?」
こどもの温かな手で手を掴まれ、歩はまた何でもないように笑う。
「その後も仏壇の横に供えられてたんだけど、」
うーん、と歩は首を捻る。記憶が正しいのならば、おそらくは二年前。
「ある日突然、バシッと視界が開けてさ。気づいたらこの姿で部屋の床に転がってた」
そのときまで、己に自我はなかったと思う。周りのことも、たまに見えはするものの、ただそこに『ある』だけだった。だからといって何を感じるわけでもなかった。
(『物』として俺が年若かったからかな?)
たとえばもっと古いナニカ──長く歳月を経て正しく付喪神となったナニカであったなら、青年や青年の周りの人々のことにも何かしらの想いを抱けたのかもしれない。
「まぁ、俺、付喪神だからね」
ケロリと言う歩を見上げ、蛍子は不意に空を指し示した。空の遥か高くからナニカが落下して来たような仕草をする。首を傾げる歩に、蛍たちが不思議なナニカの魂のようにきらきらと輝いた。
「おはなし」
蛍子に促され、歩は瞳を細める。
「実際あやかしになるまではただのモノだし、自分でもちょっと曖昧なとこあるよな」
でも、と歩は空を仰ぐ。
「急にわかったんだよな」
病室から外を見ていた青年のあのまなざしの意味を、ひとのかたちを得た刹那に理解した。
「あの眼差しは、諦めもあったけど、それよりも憧れやワクワクが大きかったんだ」
そう悟った途端、思わず窓を見た。
あのときの青年とは違う姿を得ていたけれど、きっと同じまなざしをして見つめたのは、窓の向こうに光る星々。そうして初めて震えた鼓膜に聞いたのは、どこか物悲しくも聞こえる汽笛の音。
立ち上がれることに気付いて、元の自分である靴を履いていることを知った瞬間、思わずその場から飛び出していた。外に行ける、と思ってしまえばもう堪えることは出来なかった。
魔行列車、という名を知ったのは、しばらく後のこと。夜の寝子島を走って走って気づけば霊界に迷い込んで、そのまま住み着いてからのこと。
「……今は霊界をふらふらしてる」
最初はお兄さんを探そうとしたけれど、彼はもうとっくに深遠へ去ってしまったあとのようだった。
(それはちょっと残念だったかな)
せめて、しばらくだけでも並んで一緒に歩きかった。彼の目に映る世界を隣で見つめてみたかった──
幽霊船を仰ぐ青年の隣、足音もなく立つのは
鏨 紫
。
二メートル半もある魁偉の、けれど穏やかな琥珀の瞳に見下ろされ、歩は首を大きくもたげてカラリと笑う。
「今晩は、おねーさん」
「今晩は、歩さん」
以前寝子島で出会ったことのあるふたりは再びの寝子島での邂逅に笑みを交わす。
歩の服にまとわりついていた蛍たちがふわりと離れ、手を繋いでいた蛍子もまたふわりとその場を離れた。気まぐれな蛍と同じ動きで海岸をふわりゆらりと歩き回る少女の背を見遣ってから、紫は琥珀の瞳に古びて傷ついた船を映す。
「お話が燃料か、それならうんと聞かせなくてはね」
そうして動けるようになった暁には、鏨一家から心ばかりの祝いをさせてもらうとしよう。
小さく笑んで、霊界生まれの鬼は少し思案する。燃料切れの幽霊船は、一体どんな話を好むのだろう。
「そうだね……」
とは言え、今すぐに語れそうな話と言えば、己の生まれくらいなものだろうか。
聞いてくれるかい、とおっとり微笑む鬼に応じるかの如く、幽霊船の周りを飛んでいた蛍たちがふわふわと近づいてきた。紫がついと伸ばした指先に、数匹の蛍が止まり光を揺らめかせる。
「僕の生まれは銀朱駅近く。今とは違うけれど、お屋敷育ちさ」
駅から出た途端、無数の鳥居がどこまでも連なって見えるその領域の一角、剛力を誇る鬼の一族のひとりとして、紫は生まれた。
その剛力で以て家を建てることを一族の生業としていたためか、子は己が力で己の家を建てて住まうが掟。
「一族の習わしに従って、自分の御屋敷は自前で建てたよ」
建てるならば思いっきりやってやろうと張り切って腕を揮い、結果竣工したは全面漆塗り、風呂付七階建ての広大な屋敷。
施工を終えてから気が付いた。ひとりで住まうにはあまりに広すぎる。
「今は棲み処のないあやかし達にも住んで貰ってるよ」
彼らは概ね仕事を持たぬ。そのままではまた路頭に迷うと考えた結果、彼らの働き口も幾許か整えた。紫の主業でもある大工仕事に始まり樵に鍛冶にその他細々、各々の得意に合わせたものを任せることにしている。
「皆それぞれに、看板はなくとも腕はある」
御屋敷の主でもあり鏨一家の棟梁でもある紫は鷹揚に笑う。
「荒んで深遠へ流れてしまうには惜しい者ばかり」
彼らを繋ぎ止めるため、彼らが鏨の名で仕事を得られるようにするのが今の紫の役割であり、『家族』の役割だ。
そうだ、と紫は瞳を和ませた。
「家族の話をしようか」
そうして何よりも楽し気に鬼の棟梁が語り始めるは、血が繋がらないまでも姉妹のように想う子らのこと。
「僕の掌の半分も背丈がなくて、けれど疲れ果てるまでは鬼と同じ背丈になれる小鬼の子に、算術ができて物の管理に秀でた鬼の子──」
縁があって御屋敷に招いた子らの最近の興味はこの寝子島。特に服飾が気になるらしく、機会があってもなくてもよく誘ってくれるようになった。
ひとの姿に化けて向かうのは、たとえばシーサイドタウンの小さいながらも個性的な店舗であったり、大観覧車の近くにある大型店舗であったり。どの店にもさまざまの服や装飾の品があり、目を楽しませてくれた。
何より嬉しかったのは、姉妹とも思う子らが心底楽し気に目を輝かせていたこと。
にこにこと鬼の子らとの話していて、紫はふと己の衣装に目を転ずる。
「今着ているこの服も、この島で見繕って貰ったものだ」
自分たちの服を選べばいいのに、あの子らは付き添っているだけのはずの己の手を引かんばかりにしてたくさんの衣装を差し出してくる。これを着てくださいあれも羽織ってくださいと、自分らのものを選んでいるときよりもいっそ楽し気に笑うのだ。
あの子らが己を呼んでくれるときの顔を思い浮かべると、ついつい和らいでしまう頬を掌で抑え、穏やかな鬼は周囲をふわふわと飛び回って話を聞いてくれる蛍たちに笑みかける。
「八尺三寸の背は六尺七寸ほどになるけれど、まだ凄く高い方だとか」
そのどちらの背丈にも合う服を見繕ってくれる子らの目の確かさを、紫は誇りに思う。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
冒険
SF・ファンタジー
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年10月22日
参加申し込みの期限
2021年10月29日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年10月29日 11時00分
参加キャラクター一覧
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