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寝子島高校
霊界の空を幽霊船の飛ぶ
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「ぬいぐるみですよー」
イザさんがふんわりと応じ、
「縫いぐるみだ」
リュウさんが固い声音で答える。
イザさんは持ち主の少女が寝子島高校入学時から持っていたぬいぐるみ、リュウさんはそれよりも後、持ち主の少女が誰かを思って作ったぬいぐるみ。お互いを片割れとするぬいぐるみたちは、それぞれが別の『誰か』の想いや意思を受け取って付喪神となったらしい。
「普段は持ち主の女の子のコートのポケットで大人しくしてますー」
こうやって、と凝りもせずにリュウさんを抱っこしようとしたイザさんはまた無造作に三歳児の拳で殴られた。ぶたれた頬を抑えつつ、イザさんはたいして気にした様子も見せずにくすくすと思い出し笑いをする。
「持ち主の女の子はね、僕たちいるとさびしくないからって毎日高校に連れてってくれるんですー」
高校?、と蛍がちかちかと瞬き、イザさんははいー、と頷く。
「お勉強楽しいですよー部活も面白いしー」
もちろん、と心底楽しそうに黒い瞳を細める。
「下校後のバイト先にも連れてってくれますよー」
自分たちのことについてぺらぺらと喋り続けるイザさんを横目に、リュウさんは黙する。離れた海岸に浮かぶ幽霊船を眺めて思い出すのは、持ち主の少女のこと。
持ち主が体育で着替えている時や、バイト先で働いていてこちらを気にしておらず自由を得られる時は、コートのポケットから抜け出して幼児の姿を取る。そうして少女がいつもポケットに入れている端末を拝借し、インターネットを介して情報のやり取りをしたりもしている。
その折に、知った。持ち主は高校入学時からの情報アーカイブじみたナニカを作成しているらしい。
それは『誰か』の意思が混ざったリュウさんから見れば、
(まるで卒業アルバムのような感じだ)
持ち主と持ち主が作成しているナニカについて思案するリュウさんの耳に、そうそう、と笑うイザさんの声が届いた。
「ロッカーから抜け出してお散歩するの楽しいですよねー」
「……このボンクラが」
リュウさんは舌打ちせんばかりにまなざしを鋭くする。イザさんはいつだってマイペースで、こちらの都合などお構いなしだ。
「兄弟ごっこもできますし、ねーリュウ君」
邪気のない笑みを向けられても、リュウさんは渋い顔をするばかり。
「お前独りで外出するのが危険だからだ、兄弟ごっこなどでは無い」
「やーだリュウ君手キビシイ、僕ちゃんとお出かけできるってば」
「キサマこの間ATMでちょっとややこしいことになったろ!」
むん、と立ち上がって胸を張るイザさんの膝裏に水平チョップをくれて、リュウさんはまるきり保護者の顔で怒鳴る。それなのにイザさんは膝をつきながらもきょとんと首を傾げるのだ。
「えーてーえむ? リュウ君何それ美味しいの?」
「……オートメイテッドテラーマシン!」
「おとめ?」
「現金自動支払機だっ!」
主がバイトに精を出している間、いつものようにコートのポケットから抜け出して、本当は端末を拝借して触りたかったのに、外に行こう散歩に行こうと騒ぐイザさんに根負けしてふたりでお出かけしてしまったのが運の尽き。
十歳の兄が三歳の弟と散歩をしている態で道を歩いていて、通りがかったコンビニの自動ドアが偶然開いたそのとき、イザさんは聞いてしまったのだ。
「ああ、ポペレパペポペン、ってヤツだよねー」
それはATMが現金の受け取りを促す電子音──のはずだが、イザさんがその音を再現して口に出した途端、空を舞っていた蛍たちが次々と墜落した。リュウさんの胸に止まっていた蛍もぽとりと石段に落ちて引っ繰り返る。
「あの音楽楽しいよねー、元気になれるよねー、ポペレパペポペン」
「公衆衛生の為に歌うなボンクラっ」
落っこちた蛍を小さな掌にすくいあげ、リュウさんはもう片方の手を固めてイザさんの腹によいパンチを見舞う。三歳児の身体から放たれたとは思えぬ重い拳を食らい、イザさんはその場にうずくまった。
「……リュウ君ゴメンもうしないから」
「あの日も覗きに行って、電子音につられて何か歌っただろ!」
お陰でATMの前に立っていたお兄さんはその場で卒倒するわ、錯乱した店員さんが警察を呼ぶわの騒動と相成った。それでも結局謎の異音発生事件が然程の大騒ぎにならなかったのは、流石寝子島と言うべきだろうか。
地面に落ちた蛍たちがふらふらと空へと再び舞い上がり、リュウさんの掌で休んでいた蛍も光を明滅させながらふらふらと潮風に飛んだ。
乱舞する蛍たちを仰ぎ、リュウさんは鋭い瞳をほんの僅かに和ませる。
「……でもまあ、俺等の成り立ちは二人分の意識と一人の女性を守りたいという気持ちから成り立っているのは、──それは間違いない」
ぬいぐるみの付喪神たちから受け取った物語を金色の光に纏わせ、蛍は幽霊船へと飛んでいく。
いってらっしゃいー、とイザさんは蛍を見送って手を振っていたかと思えば、
「あ、でもリュウ君」
不意に大真面目な声で振り向いた。
「キミもやっちゃいけない事あるの解ってるよね?」
イザさんの歌声が災厄であるのと同じに、対であるリュウさんにも災厄と化しかねない行為がある。
それは家事。
リュウさんが良かれと思って掃除や洗濯や料理に手を出せば、何の因果か全てもれなく爆発する。持ち主の少女や住人が寝静まった真夜中に限って爆発する掃除機に洗濯機に鍋──大田原家の最近の謎現象の原因は、リュウさんの家事だ。
「黙れ」
お喋りなイザさんを射殺しそうな視線で黙らせ、リュウさんは唇を引き結ぶ。付喪神としての意識に混ざり込んだ者の意思の影響なのか、家事に手を出せばもれなく爆発事故を発生させてしまうのは、仕方がないと言うべきか恐ろしいというべきか。
(お陰で寝落ちた人の為に毛布すら掛けられない)
不貞腐れた顔をするリュウさんの頭を、イザさんはよしよしと撫でる。
「うふふー、好きな子のお世話焼きできないの悲しいよねー」
「……おい、舅のイビリか?」
「うんうん、わかるわか──」
「……そうかわかった」
心底楽しそうなイザさんの手を払いのけ、リュウさんは懐から小瓶を二本取り出した。両手に構える。
「ってリュウ君、両手のそれは何かな? それ混ぜちゃいけない洗剤だよね?」
「俺のこの特性はな、ワザと爆発させる方向へも使えるんだが?」
「暴力反対博愛遵守六本小乗それ持ってこないでぇえええええ!」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
冒険
SF・ファンタジー
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年10月22日
参加申し込みの期限
2021年10月29日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年10月29日 11時00分
参加キャラクター一覧
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