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霊界の空を幽霊船の飛ぶ
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語り終えたキィのもと、蛍の群れが漣めいて流れ寄せる。波とともに揺らぐ緩やかな風にふわりと光の帯が踊り、くるりとキィを巻いてその黄金の瞳を照らし出したかと思えば、雪が解けるようにさあっと散る。
散らばった蛍たちは光の尾を引き、海へと飛び込む。幽霊船の竜骨を支える海蛍の波となる。
「おはなし、ありがとう」
老人と手を繋いでいた幼女が黒髪を揺らしてぺこりと頭を下げた。そうしてから、老人の手を離して砂浜を裸足でぺたぺたと歩く。
「こんばんは」
幼い声で挨拶をするのは、雪色の着物を纏った長い黒髪の少女。
「こんばんは」
一匹の蛍に連れられ、普段は来ることの少ない海岸までやってきた
三夜 小雪
は菫の青紫色した瞳を優しく細める。
「お名前を聞いても?」
膝を屈めて視線の位置を合わせてくれる少女の姿した幽霊に、蛍を操る幼子は蛍の光と同じ金の瞳を笑みに満たした。
「蛍子(ほたるこ)」
「こんばんは、蛍子さん」
たおやかに微笑んで、小雪は砂の上に立ち上がる。細い首をもたげ、海蛍の波に浮かび、蛍たちがその周囲に舞う幽霊船を仰ぐ。
蛍が浮かぶと、子供の頃を思い出す。
(もうかなり前になるのよね)
三夜家の長女として生きていたのは、もう数十年も前になる。まだそこまで開発が進んでいなかったその頃は、梅雨も半ばに差し掛かると山に行かずとも蛍をあちらこちらで見ることができた。
「おねえちゃん」
蛍を肩に止まらせて見仰いでくる蛍子に呼ばれ、小雪はふうわりと頬を緩める。直接そう呼ばれたのは何十年ぶりだろう。
「はい、蛍子さん」
「おはなし、きかせて?」
着物の裾を掴んで請われ、小雪は快く頷いて返した。何を話そうかと考えて、語りたいことなどただひとつしかないことに思い至る。
「家族のことを話してもいいですか」
「きかせて」
蛍子は小雪の手を引いた。ふたりで蛍の舞い飛ぶ砂浜を歩き、海蛍の蒼と蛍の金の光を纏って今は浮かぶばかりの幽霊船の前に立つ。おはなしして、と蛍子に言われ、小雪は淡く瞳を細めた。
「私には、家族がいます」
寝子島旧市街の三夜家です、と口にすれば、作務衣姿の老人がほう、と声を上げた。
「ご存知ですか」
「旧市街の大家族だな」
楽し気に笑む老人にその通りですと笑み返し、小雪は続ける。
「初めは両親と私、たったの三人家族だったんですよ」
優しく朗らかな母と、頑固で短気で、けれど家族をとても大切に思ってくれている父と。大好きな両親と暮らすそのうちに弟たちが生まれた。家族が増えて家の中が賑やかになっていくことがとても嬉しくて楽しかった。
「私が幽霊になったのは数十年前でした……」
病を得て、命を失くすまではあっと言う間だった。
たった十代だった身体から離れ、魂となった身で見たのは、己の身体に取り縋って泣く母と弟たち。怒ったような顔で瞳を真っ赤にする父。
嘆く家族の姿を見た瞬間、この世に留まることを決めた。幽霊となっても家族を見守ろうと決めた。だって離れたくなかった、家族の元を去りたくなかった。
己の葬儀をこの目で見た。母の傍にずっと立っていた。本当は支えたかった、背中を撫でてあげたかった。けれど幽霊の身でそれは叶わず、ただただ先立ってしまった親不孝を詫び続けた。
「今は三夜家を見守る存在を目指し、過ごしています」
とはいえ、幽霊となって数十年を経ても出来ることはそう多くない。
元気ではあるけれどもういい年齢な母を助けたくて人知れず家事を片付けてみたり、甥や姪にあたる子らがまだ赤子だった頃におねしょして泣くのをあやしてみたり。役に立てているのかどうかも分からないけれど、それでも、家族の傍にいるのは幸せだった。毎日誰かしらが居て何かしら騒動の起こる三夜家を見守っているのは楽しかった。
「これからもずっと、私は家族を見守って行くつもりです」
そっと静かに微笑む小雪の周りを蛍の光が舞い踊り、ふわりと解ける。散らばっては集まり、花びらのように海へと飛び込んで蒼白い光へと変わる。
「幽霊船なのですー」
いっぴきの蛍の光をお供に、月の銀色した長く波打つ髪をふわふわ揺らして小さな少女が砂浜を歩いてくる。蛍にも似て足音も気配もなく、いつの間にか幽霊船の前へと立った
ゼロ・シーアールシー
は、ここまで連れて来てくれた蛍を指先に止まらせ、滑らかな白い頬を僅かに和ませた。
「お話を聞きたいのです?」
小さな指の先で蛍が返事の代わりにふわりふわり、光を明滅させる。
分かりましたのです、と銀髪を揺らして頷き、ゼロは蒼白い光の波に浮かぶばかりの幽霊船を見仰いだ。
「ゼロの生まれたときのお話をするのです」
ひとであるはずの少女は、まるでひとならざるものの如き表情で笑んだ。
「ゼロはなにもないところからふと気がついたら存在していたのです」
それはひとのかたちした少女の口から語られる不思議な物語。
「その時ゼロは絶対の無限を超越するまで無限に大きくて、一瞬ごとに一瞬前の大きさが無限の小ささに見えるまで無限に大きくなりつつまどろんでいたのです」
ひとならざるものの領域の話をする少女は、けれどどこからどう見ても幼くあどけない少女そのもの。
「何もないところでまどろみ続けていると、ゼロからゼロにとっては無限に小さい夢の欠片が零れ落ちたのです」
欠片はそれにとって更に無限に小さな無限の数の欠片になり、それぞれが更に無限に小さな無限の数の欠片になった。更に更にそれを絶対の無限を超越するまで繰り返し、世界を無限に内包する大きさの無限に小さな欠片となり――眩暈を起こすくらいでは足りぬくらい、数で表すのも難しいくらいの欠片から更に無限の数の世界が生まれてきたのだと、少女のかたちしたナニカは淡々と語る。
幼い少女の夢物語と言ってしまえばそれまで。
「ゼロ以外に新しく生まれた全ての世界を合わせても、ゼロにとっては無限に小さな点なのです」
だから、とゼロは静謐に笑む。
「永劫ほどのちょっとした時間、手の上にゼロ以外の全てをおいて眺めていたのですが、その中に寝子島のある世界があったのです」
繰り返される無限に惑わされ、ゼロの指先からふらふらと落ちそうになっていた蛍が、聞き覚えのある単語に反応するようにひときわ強い光を放った。
「ゼロは猫さんで一杯の島に惹かれて、小さくなって寝子島にやってきたのです」
そこまで話して、ゼロは指先を空高く掲げた。
永遠よりも遠い宇宙の広がりを、その果ての果てで全てを内包して微睡み続け広がり続ける少女の銀の髪の一端に触れようとしてか蛍がふわりと舞い上がるも、空の星にも届かず流星のような尾を引いて海へと落ちる。蛍の幽霊じみた海蛍となる。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
冒険
SF・ファンタジー
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年10月22日
参加申し込みの期限
2021年10月29日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年10月29日 11時00分
参加キャラクター一覧
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