this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
【修学旅行】アッツイ、タイに行きたいッ!
<< もどる
1
…
8
9
10
11
12
…
17
つぎへ >>
●BREAK
アユタヤの午後2時。荒廃した遺跡群は灼熱の太陽の光を浴びて、濃い影を落としていた。
ゆらゆらと視界が揺れているのは蜃気楼か、それとも暑さで自分の頭が茹っているからか。
朝鳥 さゆる
は、朦朧としている意識を繋ぎ止めようとは思っていなかった。
数日前、さゆるは日本を飛び出したい衝動に駆られ、パスポートと最低限の荷物だけをハンドバックに詰めて飛行機に飛び乗った。
(――何故そうしたのか? 自分でも解らない)
自分に執拗なまでに執着してくる悪夢のような女の存在に倦み疲れていたのは紛れもない事実であったが、それだけが絶対の理由というわけでもなかった。ただただ、ここではない何処かへ行きたい。そんな衝動に体を乗っ取られたかのように、現在同居している彼女にも何も言わず──気が付いたら、タイのバンコクにいた。
それから何日間は、誰とも会わずにバンコクのホテルに閉じこもっていた。
今朝、バンコクの街並みが朝日に照らされるのを見て――さゆるは気まぐれに部屋を出た。
そのまま人のまばらな都会を宛てもなく歩き、アユタヤ行きのバスに何となく乗り込んだ。
さゆるの年齢不相応の憂鬱で退廃的なと言ってもいい容姿は目を引いた。中にはあまりに虚ろな足取りを心配して声を掛けてくれたおばさんもいたが、さゆるはそれらをすべて無視した。
ワット・マハタート寺院の崩れかけた仏塔や、灰色のガジュマルの木に埋もれた白褪せた仏像の頭部を見ても、何も感じない。さゆるの瞳に映っているのはただの廃墟だ。まるで自分の心象風景のように、荒れ果て、このまま朽ちるのを待つだけの物質たち。仏も神も彼女の世界には存在はしない。
(いいえ……神はいた。あたしにも、かつては)
胸元のロザリオに手を伸ばす。
さゆるにとっての神とは
もはや死んだも同然の男、片篠 藍人であった。
14歳のさゆるが彼と過ごしていたあの時期、愛するというより信仰していたのだ、彼を。傷つき、傷つけ、狂気と正気の狭間を堕ちながら――そんなときこそ信仰が必要ではないか。対象が何であったとしても。
「……っ」
朦朧とした景色の中に、藍人の姿を見たような気がした。
幻覚に違いないとわかっていた。それなのに、さゆるは衝動的に走りだした。
「藍人っ、……藍人!!」
視界が滲んだ。暑さに火照った頬を、冷たい涙が伝わってゆく感触がした。
「きゃっ」
小さな驚きの声と柔らかな身体を持った誰かにぶつかった。
相手を押し倒すような形で、緑の芝生の上に倒れ込む。
相手の女性は観光客らしき長いウェーブ髪の日本人で、モデルのようにスタイルが良かった。
さゆるは彼女に取りすがり譫言のように最愛の人の名を呟き嗚した。
「藍人、どこにいるの……ねえ、どこにいるのよ……お願いだからあたしの前に出てきてよ……!」
(参ったな……)
城山 水樹
は譫言のように「藍人」という名前を苦し気に呟きながら嗚咽する女性の背を慰めるように撫でながら、自分より年上の美女――実際はさゆるの方が年下だが水樹はそう認識した――を見つめる。
連れはいないようだ。
自分もそうなので詮索する気はないが、かなり弱っているのは気がかりである。
モデルの仕事が一段落して1週間ほど休みができたので突発的に決行したタイ一人旅。昨日は王宮寺院を巡ってエメラルド仏といった珍しいものを見たし、民族衣装のシワーライを着たりもして素敵だった。今日は二日目。アユタヤの遺跡をのんびりと巡っていたら出会ったのがさゆるであった。彼女を放ってはおけない。何かあったら――このとき水樹はかなり最悪な事態を想像していた――後味が悪いではないか。
まだ滞在日程は残っているし、これといって予定を決めているわけでもない。
「仕方ないな……名前とホテルを教えて?」
ホテルまで連れて行ってあげよう。聞きとったホテルを調べるとバンコク市内にあったので、水樹は朦朧としている彼女と手を繋いでバスに乗った。宿泊している部屋のベットまで送り届け、踵を返しかける。
「じゃ、私はこれで……」
「い、かないで……」
「え?」
「……藍人……」
アイト。恋人だろうか。うなされるようにその名を何度も呟く。
失恋? もっとひどい事が彼女の身に起こったのではないか、とも思える。
溜息。出づらい。
水樹は帰るのをやめてしばらく様子を見ることにした。
(それにしても……)
ベッドサイドにスツールを引き寄せて座り、青ざめたさゆるの顔を覗き込んで思う。
(凄い美人)
モデルになったらきっと私より成功する。そう思うと嫉妬する。
長い睫毛を眺めていると、さゆるが目を覚ました。
「ここは……?」
「あなたのホテルの部屋」
「誰……どこかで会ったことが……?」
「アユタヤでね。記憶にないならそれでもいいけど」
それから水樹は半覚醒のさゆるにゆっくりと事情を説明した。
彼女は何も答えない。何を話したらいいかわからないのだろうか。
「藍人って人、あなたの好きな人なの?」
さゆるが藍人という人を「愛している」という言葉では説明できないほど愛していることは伺えた。
自分も今、最愛の人がいる。だから彼女の想いに胸が詰まりそうになる。
さゆるは何も答えなかった。
だた腕だけを水樹の方に伸ばしてきた。
その手が水樹の薄いキャミソールとブラをはぎ取る。
露わになった胸に顔を埋められても、水樹は拒絶はしなかった。ここは異国で、この部屋はいわば光の届かぬ深海だ。ここで彼女の手を振り払ったら、きっと彼女は泡のように海の底に消えてしまう。それに彼女は嫉妬するほどの美人であった。異国という状況と、美しい人と肌を合わせる滑らかでシンプルな快感が、水樹のタガを外した。
海月の白い腕と腕とが絡み合うかのように互いの体を絡めあう。
さゆるに抱かれている最中、水樹はほんの一瞬だけ最愛の彼のことを思った。
(これは……浮気じゃないよね?)
さゆるの口唇が鎖骨をなぞってゆく。
水樹は流されるままに行為に耽っていった。
◇
カーテンの隙間から白い光の筋が差し込んでくる。
都会的なバンコクの街並みが、茜色の朝日に照らされている。
また朝が来たのだ。
さゆるは消えてはいなかった。
水樹はさゆるの前髪をそっとかき分け、その美しい顔立ちを堪能した。
異国の幻影だ、これはきっと。
「ねえ、海に行かない?」
耳元に囁きかける。
彼女は同意した。
朝食を摂ったあと手配したチケットでプーケット島へ飛ぶと、そこには紺碧の海と白い砂浜があった。
夢みたいに美しい光景で、ふたりは考えるのをやめ、水着を買って泳いだ。
別れはあっさりしたもので、手を振り合ったりもしなかった。
ただお伽噺の世界から現実へ戻るような、不思議な感慨だけが水樹の胸には残っていた。
<< もどる
1
…
8
9
10
11
12
…
17
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
【修学旅行】アッツイ、タイに行きたいッ!
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
笈地 行
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
学校生活
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年07月24日
参加申し込みの期限
2021年07月31日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年07月31日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!