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連なる鳥居の、その先は
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霊界の銀朱駅の近くに豪壮な屋敷が建てられていた。その片隅の蔵の扉が開き、中からガサゴソと音がする。
「見つかったかい?」
外で待機していた大柄な
鏨 紫
は、着崩した姿でのっそりと蔵の中を覗き込む。額から生えた角が上部の棚に引っ掛かり、置かれた薄緑色の壺がカタカタと鳴る。気付いた
鏨 縫
は着物姿で素早く動き、両手で棚の下を押えると揺れが収まった。
「危ないところでした。主様、ここは狭いので外でお待ちください」
「そのようだ。この間、物々交換で得た品々は奥に入れていないことを伝えたくてね」
紫は黄色い目を細め、赤い髪にそれとなく指を通す。
別の方向から声が飛んできた。
「紫殿、この香炉では」
鏨 椒
は右手で薄緑の香炉を掲げた。左手は青い着物に付いた埃を払う。
「それだ。さすがに鼻が利くね」
「目利きと自負しております」
耳にした縫は含みのある笑みを浮かべた。
「この蔵に忍び込んで盗みを働こうとしただけのことはあります」
「ただの盗人ではない。言うなれば義賊だ」
紫はやや目を開けて、ほう、と言って興味を示す。
「初耳だよ。それ、本当の話なのかい?」
「もちろんです。『私』という不遇な自分に腹いっぱい食べさせたいと思い、罪悪感に苛まれながらも人様の物を頂戴していました」
「それを義賊というのは少し無理があるよ」
紫は大らかに笑う。
「口だけは達者ですね。主様の口に閉じ込められたことを忘れてしまったのですか」
「あれには参ったね。私の『剛巖』で身体を硬化させても防げなかった。謝り倒して今では番頭にのし上がり、結果は上々だ。ということで紫殿。今後も何卒、お願い申し上げ奉ります」
ぼさぼさのポニーテールを振って歌舞伎のような見得を切る。
縫は呆れて丸眼鏡を正し、紫は白い歯を見せて笑った。
蔵から取り出した品々は大きな風呂敷に包み、紫が片手でひょいと持ち上げた。肩に引っ掛けるようにして先頭で歩き出す。縫は斜め後ろに付けた。
「よっ、日の本一の怪力無双!」
「椒さん、自分の足で歩かないのですか」
眼鏡の奥の目が上を向く。額から突き出た一本の角に椒が跨っていた。鞍まで用意して足をぶらぶらさせている。
「この位置は見晴らしがよく、敵襲があれば私が即座に皆に伝えられる。怠ける気持ちなど、微塵もないことをわかって貰いたいものだ」
「主様の角の方が高くて、遠くまで見渡すことができますよ」
「乗るかい?」
紫は気軽に言いながら担いでいた風呂敷を引き上げる。
「大物を背負った紫殿にこれ以上の負担は掛けられませぬ。その高さで振動によって転げ落ちますと、私とて身の危険を感じます。『剛巖』を使えば問題ないのですが、間に合わなかった場合を考えますと、私も相当の覚悟で臨まなければいけません」
「わかったよ。椒はしっかり者だな」
「私はちゃっかり者だと思います」
縫は控え目に言葉を添えた。当の本人は上機嫌で鞍の乗り心地を楽しんだ。
最寄りの銀朱駅に着いた。
紫は高い身長を活かし、周囲を見回す。
「両替屋のポンはどこかな」
「紫殿、発見しました。左斜めで何やら交渉していますぞ」
椒は立ち上がって一方を指差した。
「確かにいますね。今、終わったようです」
ポンは交渉相手を笑顔で見送る。三人に気付いていたのか。大きく迫り出した腹を揺すって走ってきた。
「鏨様が直々にいらっしゃるとは思いもしませんでした。相当な物をお持ちになられたことと思います。それで今日はどのように致しましょうか」
「たまには顔を出そうと思って。交渉は椒に任せるよ」
「お任せください。古銭と日本貨幣を半々に致しましょう。最近では寝子島との交流が盛んですからな。何を隠そう、私と縫が着ている物も向こうで買いました!」
角の上に立ち、踏ん反り返る。縫は困ったような笑みとなった。
「あの、それだけではなくて、このサンダルも向こうで買いました。歩き易くてとても助かっています」
「下駄ではなかったのか。音もしないみたいだし、機会があれば僕も試してみよう」
「主殿に相応しいサンダルがきっと見つかります」
縫は顔を綻ばせた。ポンはもじもじしながら、あのー、と三人に声を掛けた。
「そろそろ交渉に入りたいのですが」
「待たせたな」
紫は持っていた風呂敷をその場に置いた。結び目を解いて開いて見せると、ポンは一目で前のめりとなった。
すかさず椒が説明を始める。
「ポンも気付いたか。あの香炉に」
「香炉ですか」
「あの薄緑の香炉だ。釉薬の色が美しく欠けたところはどこにもない」
椒は得意気に語る。流暢な言葉に釣られ、ポンは手に取って見た。
「確かに傷一つありません」
「それだけではないぞ。その香炉の持ち主は大妖怪として名を馳せた玉藻前という話だ」
「あの名高い九尾ですか!」
「そうだとも。鼻を近づけてみろ。白檀の高貴な香りがするだろう」
「わかります! 確かにこれは白檀です!」
「そこで相談だが」
にんまりと笑った椒が本腰を入れて話を進める。ポンは主導権を握られ、返答に苦しみながらも交渉は成立した。
椒は鞍に座って満足そうな笑みを浮かべた。
「実に有意義な時間であった。ポン、またよろしく頼むぞ」
「もちろんです。こちらも良い買い物ができました。今後とも御贔屓に」
ポンは大きな鞄を出現させた。がま口のような部分を開けると次々に品を入れていく。
紫は上から覗き込むような格好となった。
「その鞄によく入るものだ」
「これも私の大事な商売道具でして」
全てを収めると鞄を小脇に抱え、ポンは一礼して次の客へと向かった。
「商売熱心だな」
「主様、このあとの予定を聞いてもよろしいでしょうか」
縫の言葉に紫は、そうだな、と天を仰いだ。
「適当に歩いてみるか。少し腹が減ったな」
「紫殿、最近の噂によりますと、この近くに『彷徨える定食屋』なる物が現れるそうです」
「面白そうだ。運に任せて探してみよう」
適当に選んだ道を三人がゆく。
銀朱駅は見えなくなり、長い鳥居の連なりが道を覆う。
縫は目を上に向けて言った。
「椒さん、香炉の話は本当なのですか?」
「香炉か。あれは良い物だ。玉藻前が持っていてもおかしくはない」
「要するに嘘ですか?」
「そうとは限らん。可能性はあるぞ」
紫が思い出したように口にした。
「ポンは白檀の匂いがすると言っていたな。本当に高貴な人物の持ち物だったのかもしれないね」
「ああ、それはですな。匂い袋を香炉に入れて振ったからです」
「椒さんはポンを騙したのですね」
「滅相もない。私は香炉に付加価値を付けただけだ。匂い袋もたまたま見つけた物で悪意はないぞ」
言い切った椒はやたらと頷く。
「小鬼が狸を化かしたんだね」
「酷い小鬼がいたものです」
「二人の褒め言葉として受け取っておきましょう」
椒は上手く話を纏めた。
「あれがそうかな」
紫が前方を見て言った。
木造の建物で看板は酷く薄汚れている。
縫はじっと見つめる。
「最後の定食の部分は読めるのですが」
「気にしても仕方がない。それよりも私は空腹で目が回りそうだ」
椒は鞍に跨った状態で腹を摩る。
「そこまで働いたようには思えないのですが」
「交渉で口が疲れた。この疲労は腹いっぱい食べて脳に栄養を与えないと治らない」
「椒のおかげで懐が暖かくなった。好きなだけ食べていいよ」
「よっ、日の本一の太っ腹!」
掛け声のあと、椒は鞍を踏み台にして勢いよく跳んだ。宙で能力を使って巨大化して見事に着地を果たす。
真っ先に定食屋の引き戸を開けた。その状態で後方の二人を大きく手で招く。
「二人共、遠慮なさらずに!」
「どうして大きくなるんだ? 小さい方がたくさん食べられると思うのだが」
「紫殿、私は色々な物を腹いっぱいに食べたいのです! この姿が一番で、これ以上の最上の手はありませぬ!」
「そうなのか?」
「左様でございます!」
「椒さん、必死なのはわかりますが、口調がおかしくなっていますよ」
「もう、そんなことはいいから! 縫も早く来い!」
切羽詰まった顔で椒は店内に踏み入った。
縫は紫に目を向ける。
「主殿、どうしますか」
「椒の今日の活躍は認めるところだ。好きなようにさせるよ」
「わかりました。私は程々にします」
二人は揃って店内に入っていった。
「ここですよ、ここ」
椒は窓際のテーブル席から声を掛けた。すでに注文を終えているのか。人数分のコップが置かれ、ウェイトレスのろくろ首が厨房にメニューを伝える。
「僕の注文は」
「心得ております。お酒ですね。もちろん頼んでおきました。揚げ物や刺身に煮物も少々。ご飯物もありましたので、好きな物を好きなだけお召し上がりください」
「店の人みたいですね」
縫は丸眼鏡の奥の目を細めた。
頼んだ品は次々と運ばれてきた。取り皿と合わせてテーブル全体に敷き詰められた。
「ここまで頼んで本当に食べられる、みたいだな」
「そのようですね」
椒は取り皿に盛り付けた料理を割り箸で掻っ込むようにして食べていた。喉が詰まると急いでコップの水を呷った。
紫は二合徳利を摘まんで大ぶりの猪口に注ぐ。グイッと一呑みにして幸せそうな笑みを浮かべた。
「それにしても椒はよく食べる。元の大きさに戻った時が怖いな。胃袋は大丈夫なのかい?」
「それは、心配ないで、すよ……そんな時こそ、『剛巖』の能力で金剛石の硬さになればいいのです。あの、この海老もいいですかね」
「気が済むまで食べていいよ」
「能力の無駄遣いというのでしょうか。まあ、椒さんらしいと言えるのですが」
縫は冷ややっこに醤油を掛けた。割り箸で一口大に切り分け、一つを挟んで口に運ぶ。身体が冷えてくる頃合いで酒を注いだ猪口を傾けた。
時間が進むに連れて三人の会話も弾んだ。
「主様、山椒の入った盃をどうぞ。小鬼と同じでピリッとした辛さが癖になりますよ」
「紫殿は腕力もそうだが、噛む力も凄まじいものがあったな。本当に喰われるかと思いました」
「そこまで酷く噛んだかな」
やや頬を赤らめた紫が盃の端に口を付ける。喉を鳴らして飲むと、一瞬、渋い表情となった。
「本当に辛いな」
「そうですぞ。私も同じなので今後は噛むことのないように」
「試してみないとわからないなぁ」
紫の腕が椒の首に巻かれた。引き寄せると同時に大口を開ける。
「ゆゆ、紫殿が、ご、ご乱心だ! 私は美味しくありませんぞ!」
「なんてな。僕の家族にそんな酷いことはしないよ」
笑顔で離れると紫は残りの酒を呷った。
「……私は、そんな家族とか。勿体ないといいますか……嬉しくない訳ではありませんが」
「照れた顔が可愛いですよ」
「なんだよ、縫まで。私は……もう少し食べる!」
取り皿に唐揚げや天婦羅を入れてガツガツと食べ始めた。
三人は今日という日を心から満喫した。
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あとがき
担当マスター:
黒羽カラス
ファンレターはマスターページから!
今回は霊界の銀朱駅に纏わるシナリオでした。
原案の方々のアイディアを利用していただき、ありがとうございました。
PCさんの決めた行き先も素敵で、執筆をしながら壮大な情景が頭に浮かんできました。
内容も起伏に富んでいました。とてもPCさんらしく、冒険譚を垣間見た気分に浸れました。
少し風邪気味ではありましたが、最後は熱を吹き飛ばす勢いで一気に書き上げました。
参加していただいた皆様に喜ばれることを期待して、あとがきを終わります。
改めてご参加、ありがとうございました。
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SF・ファンタジー
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10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年10月11日
参加申し込みの期限
2021年10月18日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年10月18日 11時00分
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