猫鳴館、自治会長選任戦1371～ボロボロボをぶっ壊せ！｜リアクション

猫鳴館、自治会長選任戦1371～ボロボロボをぶっ壊せ！

●動き出す候補者たち：邪衣チーム

　邪衣士は、昔馴染みの面々とともに裏庭菜園に集っていた。
「俺たちは北から来る青い機体――通称ボロボロボ２号と対峙することになった。行けるか？」
　集った面々をぐるりと見回すと、士とは腐れ縁を自認する逆巻天野が真顔で頷く。
「寮が壊されるくらいなら、僕はロボを全力破壊する。邪衣のことも何かと信頼してるしね」
「ぼくも！　つかさくんのためにロボをぶっ壊すがんす！」
　雨崎荒太郎は、普段着の絣の作務衣姿で鼻息も荒い。『猫鳴館の座敷童子』を名乗って３年目、知らぬうちに肩書が『座敷皇子（ザシキワラシプリンス）Ⅰ世』にランクアップしているようだ。
　口火を切ったふたりに他の面々も続く。――ここでやらねば猫鳴館生の名が廃る、と。
「みんな。かたじけない。早速だが、逆巻、あれを」
　頷いた天野が物置から引っ張り出して来たのは、かつての選任戦『天使の羽選手権』で使用したカタパルトの残骸であった。一部破損はしているが、移動に必要な巨大な車輪と、車体前面のラッパを吹く二体の天使像は健在だ。
「いや～ほんとに猫鳴館って何でも残ってるね！」
　荒太郎は感心して口笛を吹く。
「で、これ、何に使うの？」
「投射機で巨大レンチを撃ち続けて破壊するんだ。自分でも振り回せるが投射する勢いも合わせれば破壊力も増すし目標も巨大な分当てやすいだろう」
　士は作戦を明かすと、荒太郎にお使いを頼んだ。
「雨崎、近石から巨大レンチを拝借してきてくれ。最大サイズと45センチぐらいのを数十本。足りない分は猫鳴館の工具箱を漁ってくれ」
「ガッテンでいっ！」
「逆巻はカタパルトの手直しを頼む」
「了解。って邪衣はどこへ？」
「俺たちのカタパルト作戦は準備に手間がかかる。だから他の攻撃プランも用意する。具体的には、ロケット花火を数十数本括り付けたモンキーレンチを大量に撃ち続けるんだ。これなら手軽に用意できるし手間もかからない。準備できるまでの繋ぎだ」
「分かった。こっちはあまり人手はいらないから、手勢、そっちに連れてって。あと、寮を守る簡易バリケードも出来れば欲しい。板を盾にしたり何でもいいんだ。見物する方々に頼めないかな」
「そうだな、近石に進言しておく」
　こうして邪衣陣営も動き出す。

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