【球技大会】思い出に残る初夏の大会へ｜リアクション

【球技大会】思い出に残る初夏の大会へ

　クラスで球技の選択が始まった。バスケットボールとサッカー。青山絢は双方を胸中の天秤に掛けた。どちらも得意ではなかったが、多少はルールを知っているサッカーにやや傾いた。
「……私はサッカーで」
　弱々しい声で一方を選んだ。合わせてサポート役の募集が始まった。
「私がするわ」
　先程よりも元気な声で言った。
　その日から絢は精力的に動いた。昼休みの僅かな時間にサッカーの練習をすると聞き、誰よりも早くに場所を確保した。
　体育館にも顔を出す。バスケットボールの人数が足りなければ代役を買って出た。得意ではないことが裏目に出て顔面でボールを受け止めることもあったが、演劇部で鍛えたコミカルな表現力で笑いに変えた。
　そのような日々は充実していた。絢は誰もいないところで手応えを感じて満足の笑みを浮かべるのだった。