【球技大会】思い出に残る初夏の大会へ｜リアクション

【球技大会】思い出に残る初夏の大会へ

　球技大会の開会式を終えると生徒達は各球技に散っていった。
　体育館ではバスケットボールの試合が行われた。観客による声援や拍手が選手を奮い立たせて数々の好プレイを引き出した。
「いよいよだね」
　水上桜は隅の方でウォーミングアップをしながら試合を眺める。クラスメイトの女子達も入念に身体を解した。
　試合が終わった。観客の惜しみない拍手が送られる中、整列した選手達は深々と一礼した。その後、お互いの健闘を称えて握手や笑顔を交わし、コートの外に出た。
　待機していた体育委員長の恵御納夏夜がモップを手にコートへ入る。
「今の内に清掃を済ませる」
「わかりました」
　他の委員が答え、夏夜と共にモップ掛けを始めた。僅かな汗も見逃さず、素早く拭き取った。
　コートは最高の状態に戻った。
　審判がコートの中央に立ち、次の試合を告げる。
　桜は軽く両頬を叩いた。目に闘志を燃やし、元気に飛び出していった。
　試合が始まった。ジャンプボールは、ほぼ互角。センターライン近くのボールを桜が突っ込んで奪い、即座にドリブルへ繋げた。鍛えた脚力で敵陣に食い込む。
　スリーポイントラインの手前、大柄な選手が立ちはだかる。立ち止まった桜はピボットで時間を稼ぎ、後ろから走り込んできた仲間に鋭いパスを送った。
「任せて！」
　大柄な選手が伸ばした手をドリブルで逃れ、一つのラインを超えた。そのままゴール下まで持ち込み、レイアップシュートを放つ。緩やかに弧を描いたボールはバスケットの中央に収まった。
「ナイスシュート！」
　桜は大きな声を出した。仲間達も笑顔で迎え入れる。
「やるじゃん」
「先取点だよ！」
　チームの結束力が高まる。
　それからは交互に点を入れる展開が続いた。その中、桜がスリーポイントシュートを決めた。点差を広げる切っ掛けとなり、チームは初戦を勝利で飾った。
「この調子で頑張ろう！」
　試合を終えた直後、桜の弾けるような声に全員が、おおー、と腹の底からの声で応えた。

　最初の勢いが功を奏して次の試合にも勝利した。三戦目は体育科と当たった。疲労の蓄積もあって初めての敗戦となる。士気が下がり、次の試合は惜敗に終わった。
　今日予定されていた試合を終えた。そこにクラスメイトが飛び込んできた。女子サッカーの試合で怪我人が続出したという。桜に選手として出場して欲しいと頼み込んだ。
「いいよ」
　桜は快く引き受けた。