【球技大会】思い出に残る初夏の大会へ｜リアクション

【球技大会】思い出に残る初夏の大会へ

　青い空に太陽が昇り、登校する生徒達の声が大きくなる。
　体育委員会の面々は私語を控え、粛々と長机やパイプ椅子を第一グラウンドへ運び出す。委員長の恵御納夏夜はテントの設営を終えた。他の委員は駆け寄って指示を求めた。
「スポーツドリンクを手分けして運んできて欲しい」
「わかりました」
　グラウンドの方から男子の委員が言った。
「委員長、サッカーのラインを手伝って貰えますか」
「わかった。すぐに行く」
　目に付いたライン引きを手に提げて小走りで向かう。
「委員長はここから先をお願いします。僕はこちらのラインを引き受けます」
「わかった。中央のラインも引いておくよ」
　笑みを交わすと夏夜はラインを引き始めた。曲がらないように注意した。荒れたところは足で踏み固めてから引いた。
「委員長、こちらは終わりました！　あとは何をすればいいですか！」
　途中で止まって声の方を見やる。多くの委員達が手持ち無沙汰を訴えるように立ち並ぶ。
「球技大会が始まったら忙しくなると思う。だから今は休んでいいよ」
「委員長も休んでくださいね」
「そうだね。これが終わったら、そうさせて貰うよ」
　嬉しそうな顔を隠すようにして作業を再開した。