漂流　～宇宙にて～｜リアクション

漂流　～宇宙にて～

【通信端末……？】

　ラッセルもまた、通常部分の探査を終えて、違う部分の未知領域を探していた。
「ゲームなら調べればクリアできるけど帰還するのが目的だろ？　呼んだ理由は気になるけどな」
　そう言いつつ、先ほど言ってきた台詞を思い出す。
「よし、俺は定期的に一周して様子みてくるから何かあったら知らせてくれ」
　現状のところ、何かあったら知らされるという手段はないに等しい。
　当然のごとく、携帯電話やスマートフォンは電波が通じているわけでもない。
「そういえば、八神が通信端末を探すって言っていたけど」
　そんなに都合良く端末がおいてあるのか？　と考えつつ、広く長い廊下を歩く。
　そして、赤く照らされたドアを開く。
「……あったよ」
　そこは、機械置き場のような場所だった。
　卵のような形状をした携帯電話のような端末や、自販機の缶のような形状の精密機械、地上世界にあるような薄型のタブレット端末のようなものが大量に廃棄されているように見える。
　ガタッ！
　機械の一部が、ラッセルが入った事によって崩れた。
「……なんだ、脅かすなよ」
　そう言いつつ、ラッセルは近くにある卵形の携帯端末を手に取ってみる。
（狭いとこ怪しいもんなら飛んで潜り込めるが……こりゃ小さすぎるな）
　そう言って、その部屋を出ようとした瞬間であった。
　
　＊warning！＊
　廃棄処分物を持ち出そうとしています！
　確認のためパスワードを入力してください！

　その後、空中にディスプレイが現れる。ラッセルが触れると、画面が分離し、上の部分にパスワードの画面が、下の部分にキーボードが現れる。どうやら、タッチをすると、上の画面にその文字が反映され入力できるようだ。
「すっげぇじゃん！　……けど、どうするんだ、これ」
　結局、この部屋は後回しにして報告に戻る事にした。
　場所は、しっかりとメモに書きつつ、ラッセルはその部屋を後にした。

このページにイラストを設定する