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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
希望＜ネガイ＞が現実＜ホント＞になるところ。それがらっかみ！
シーサイドタウン駅のコンコースの一部に噴水が設置されていた。見た目の印象がよく、待ち合わせ場所に指定されることも少なくない。
佐藤 英二は一人、噴水を背に立っている。白いシャツにグレーのパーカーの組み合わせが若々しい。
今日は少し落ち着きを欠いた。手にしたスマートフォンの時刻をやたらと気に掛ける。
「なんか、緊張する」
言いながら深呼吸に努める。
「お待たせー！」
元気な声と足音が同時に聞こえる。英二は瞬時に横手を向いた。
野々 ののこがパンツルック姿で駆けてきた。水色のシャツの裾は長く、スカートのようにも見える。胸元に届く長い髪は大人びて独特な魅力を醸し出す。
「私、遅刻してないよね？」
「もう、それはそうで。全然、大丈夫だよ。あの、野々さん、来てくれてありがとう」
「前からのデートの約束だからね」
ののこは乱れた髪を両手で撫で付けて、どこいく？ と英二の目を見て言った。
「えっと、春の陽気を楽しむ為に散歩はどうかな。かなり地味なんだけど」
「いいよねー、お散歩って。楽しい話をしながら気持ちの良い風に吹かれて、どこまでも歩いて行きたくなるよね」
「そうだね。今日の散歩の相手が野々さんだから、特に」
「私だってそうだよ。英二くんだからね」
ののこは顔を寄せてにこやかに笑う。英二は目を逸らして歩き出した。
「こっちなら海だよね」
「そうだよ。小腹が空くかもしれないから途中でコンビニに寄ってもいいよね」
「私は卵サンドにしようかな。飲み物は紅茶で」
横に並んだののこは弾むように歩いた。英二はちらちらと視線を送る。
「野々さんのショートを見慣れていたけど、ロングもとても似合っているね」
「よかったー。気付かれないように髪を結んだり、帽子を被ったりしていたんだよ。びっくりした？」
ののこは子供っぽい笑みを英二に向けた。
「ドキドキするくらいには……」
「じゃあ、大成功だね」
青信号を二人で渡る。右斜め前にコンビで踊る猫の看板を見つけた。
英二は指差して言った。
「そこのコンビニに寄ろうか」
「そうしよう！ 卵サンド、あったらいいなぁ」
二人は揃って店内に入った。
ののこはパンが並べられた棚に直行した。顔を近づけて横に歩く。その間に英二は買い物かごを取りに行った。
「見つけたけれど、これは」
「野々さん、どうかした？」
英二が棚を見ると二種類の卵サンドがあった。ののこは腕組み状態で『贅沢卵サンド』と『極上卵サンド』を見比べる。
「これってどっちが美味しいのかな。英二くんは、どう思う？」
「意外と難しいね。贅沢の方は新鮮な卵がウリみたいだし、極上は素材重視みたいだし。僕が極上を買うから野々さんは贅沢で。あとで分ければ両方が食べられるよ」
「それ、いいね！ 紅茶も見てくるね」
頭頂の毛を左右に振って別の棚に向かう。その姿は以前と同じで英二は安らいだ表情となった。
買い物を済ませた二人は寝子ヶ浜海岸を横目で見ながら歩いた。隣にある海浜公園に入って最も海に近いベンチに座った。
ののこは早速、ペットボトルを開けた。喉を鳴らして飲むと大きな息を吐いた。
「ほんのり甘くて冷たい紅茶が最高に美味しいー」
「今日は本当に暖かくて夏を近くに感じるよ」
「夏は水着で海を思いっきり楽しみたいな。ビキニに挑戦してもいいかも。私も三年生になったからね」
ののこは爽やかな笑みを見せた。英二は手にした缶コーヒーを見て、暑いね、と言いながら一気に呷る。
「お待ちかねの卵サンドを食べよう」
ののこは贅沢卵サンドの包みを開けた。ざく切りの卵が詰まった一つを半ばまで齧る。
「んんー」
堪らない笑顔で瞼を閉じた。味を堪能しているようだった。
それに倣って英二は極上卵サンドを摘まんで口にした。黙って口を動かし、素材を吟味する。
「普通のパン生地と違ってしっとりして卵とよく合う。いくらでも食べられそうだ」
「こっちはとろとろ～。美味しいの二つ上くらいの味だよ～」
「こちらも美味しいよ。野々さん、お一つどうぞ」
英二は容器ごと、ののこに差し出す。
「じゃあ、私も」
齧ったサンドイッチを英二に向けて、あーん、と甘ったるい声を出した。
「え、それって。でも、いや、野々さん、それはちょっと」
「なーんてね！」
ののこは残りを一口で食べる。膨らんだ頬でもぐもぐと口を動かした。
「……今日の陽気のせいかな」
ベンチに深く座ると英二は爽快な空を眺めた。
――髪が伸びて大人びた野々さん。僕のトキメキ度がアップしたという気持ちに嘘はなかったみたいだ。
英二は熱い気持ちを緩やかに口から吐き出した。
佐藤 英二は一人、噴水を背に立っている。白いシャツにグレーのパーカーの組み合わせが若々しい。
今日は少し落ち着きを欠いた。手にしたスマートフォンの時刻をやたらと気に掛ける。
「なんか、緊張する」
言いながら深呼吸に努める。
「お待たせー！」
元気な声と足音が同時に聞こえる。英二は瞬時に横手を向いた。
野々 ののこがパンツルック姿で駆けてきた。水色のシャツの裾は長く、スカートのようにも見える。胸元に届く長い髪は大人びて独特な魅力を醸し出す。
「私、遅刻してないよね？」
「もう、それはそうで。全然、大丈夫だよ。あの、野々さん、来てくれてありがとう」
「前からのデートの約束だからね」
ののこは乱れた髪を両手で撫で付けて、どこいく？ と英二の目を見て言った。
「えっと、春の陽気を楽しむ為に散歩はどうかな。かなり地味なんだけど」
「いいよねー、お散歩って。楽しい話をしながら気持ちの良い風に吹かれて、どこまでも歩いて行きたくなるよね」
「そうだね。今日の散歩の相手が野々さんだから、特に」
「私だってそうだよ。英二くんだからね」
ののこは顔を寄せてにこやかに笑う。英二は目を逸らして歩き出した。
「こっちなら海だよね」
「そうだよ。小腹が空くかもしれないから途中でコンビニに寄ってもいいよね」
「私は卵サンドにしようかな。飲み物は紅茶で」
横に並んだののこは弾むように歩いた。英二はちらちらと視線を送る。
「野々さんのショートを見慣れていたけど、ロングもとても似合っているね」
「よかったー。気付かれないように髪を結んだり、帽子を被ったりしていたんだよ。びっくりした？」
ののこは子供っぽい笑みを英二に向けた。
「ドキドキするくらいには……」
「じゃあ、大成功だね」
青信号を二人で渡る。右斜め前にコンビで踊る猫の看板を見つけた。
英二は指差して言った。
「そこのコンビニに寄ろうか」
「そうしよう！ 卵サンド、あったらいいなぁ」
二人は揃って店内に入った。
ののこはパンが並べられた棚に直行した。顔を近づけて横に歩く。その間に英二は買い物かごを取りに行った。
「見つけたけれど、これは」
「野々さん、どうかした？」
英二が棚を見ると二種類の卵サンドがあった。ののこは腕組み状態で『贅沢卵サンド』と『極上卵サンド』を見比べる。
「これってどっちが美味しいのかな。英二くんは、どう思う？」
「意外と難しいね。贅沢の方は新鮮な卵がウリみたいだし、極上は素材重視みたいだし。僕が極上を買うから野々さんは贅沢で。あとで分ければ両方が食べられるよ」
「それ、いいね！ 紅茶も見てくるね」
頭頂の毛を左右に振って別の棚に向かう。その姿は以前と同じで英二は安らいだ表情となった。
買い物を済ませた二人は寝子ヶ浜海岸を横目で見ながら歩いた。隣にある海浜公園に入って最も海に近いベンチに座った。
ののこは早速、ペットボトルを開けた。喉を鳴らして飲むと大きな息を吐いた。
「ほんのり甘くて冷たい紅茶が最高に美味しいー」
「今日は本当に暖かくて夏を近くに感じるよ」
「夏は水着で海を思いっきり楽しみたいな。ビキニに挑戦してもいいかも。私も三年生になったからね」
ののこは爽やかな笑みを見せた。英二は手にした缶コーヒーを見て、暑いね、と言いながら一気に呷る。
「お待ちかねの卵サンドを食べよう」
ののこは贅沢卵サンドの包みを開けた。ざく切りの卵が詰まった一つを半ばまで齧る。
「んんー」
堪らない笑顔で瞼を閉じた。味を堪能しているようだった。
それに倣って英二は極上卵サンドを摘まんで口にした。黙って口を動かし、素材を吟味する。
「普通のパン生地と違ってしっとりして卵とよく合う。いくらでも食べられそうだ」
「こっちはとろとろ～。美味しいの二つ上くらいの味だよ～」
「こちらも美味しいよ。野々さん、お一つどうぞ」
英二は容器ごと、ののこに差し出す。
「じゃあ、私も」
齧ったサンドイッチを英二に向けて、あーん、と甘ったるい声を出した。
「え、それって。でも、いや、野々さん、それはちょっと」
「なーんてね！」
ののこは残りを一口で食べる。膨らんだ頬でもぐもぐと口を動かした。
「……今日の陽気のせいかな」
ベンチに深く座ると英二は爽快な空を眺めた。
――髪が伸びて大人びた野々さん。僕のトキメキ度がアップしたという気持ちに嘘はなかったみたいだ。
英二は熱い気持ちを緩やかに口から吐き出した。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2021年01月31日
- 参加申し込みの期限
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- 2021年02月07日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2021年02月07日 11時00分
