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【お花見】花の盛りの寝子島で
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メール着信を告げる振動が疲弊した肌を刺激した。
鼓膜まで震わせる不快な音に、
朝鳥 さゆる
は蒼白い瞼をもたげる。
薄暗い部屋を眺めやる。
(ここは)
両親が死んでからクローゼット代わりになっている星ヶ丘の家ではない。
歪でありながらも痛みを帯びるほどに真摯に『愛した』、けれど姿を消した男の──片篠藍人の部屋でもない。
(……本当は、)
帰る場所は、あの男の部屋のはずだった。けれどあの部屋は今、別の女の巣になっている。
(Malice……)
ひとりの女の名を、忌々し気に肚のうちに呻く。
仏語で『悪意』を、『敵意』を、『害意』を意味する名を持つ女。
本来は
葉利沢 倫理子
のものであるはずの肉体を奪い取った人格。
自分に付き纏うようになった挙句、藍人の部屋にまで入り込んで来たあの女が心底嫌で、だからとある事件がきっかけで手を取ってくれた女性──姫木じゅんと同居するに至っていた。
昨日は、じゅんと花見をしていた。それなのに。
(あの、女)
握り締めた掌に爪が刺さる。
ベッドの上にあの女の姿はない。あるのは、泥のように眠るじゅんばかり。
起きる気配を見せぬじゅんの様子に吐息を零し、その身体を毛布で優しく包み込む。そっとベッドを抜け出し、携帯電話のメール画面を開く。
──私からさゆるを奪うじゅんを殺す殺す殺す絶対殺す!!
狂気にも似た悪意が、画面いっぱいに溢れていた。
薄暗い部屋に零れる画面の蒼白い光が、さゆるの栗色の瞳を染め上げる。
メールを眺めるさゆるの顔に、表情は無い。
微動だにしなかったさゆるを動かしたのは、数分後に届いた次のメールだった。記されていたのは、『大観覧車へ来て』。
文字を確かめた途端、さゆるは携帯電話を手にベッドサイドを離れた。手早く身支度し、部屋を出る。
潮の匂いは、死骸の匂いだ。
潮風とともに流れ寄せる海の匂いに、葉利沢倫理子は──正しくは、倫理子のもうひとつの人格であるMaliceは、白い頬に酷薄な笑みを浮かべた。
手にしていた携帯電話を春コートのポケットに落とす。
(もうすぐ、逢える)
黒い睫毛をもたげて仰いだ空に、風に迷う桜の花びらが舞っていた。春色の空を映す瞳は、けれど不快に歪む。
(……不快の根を絶ったと思ったのに、ね)
この身体の本来の人格である倫理子の身体を穢し尽くした連中を破滅に追い込むまで、半年を有した。最後のひとりが絶望の叫びをあげたのが、この金曜日。
根気よく丁寧に行った残酷な蛮行は、けれど倫理子のためではない。
(だって、不快だったもの)
躰を同じくするためか、時折、倫理子の記憶と己の記憶が混交することがあった。それがとても鬱陶しくて、だからその記憶の元凶である男たちの全員の身を懇切丁寧に滅ぼしてやった。
少しばかり留飲を下げ、Maliceにとって復讐劇とも言えぬ喜劇の舞台となった東京から寝子島に帰ってさゆるを探してみれば、
(あの泥棒猫)
さゆるは、別の女と仲睦まじく桜の下に居た。
あの瞬間から今まで、狂おしいまでの嫉妬の業火が胸に躍っている。轟々と燃える狂気と執着心をメールに曝け出してさゆるを呼び出し、そうして今、Maliceは大観覧車を背に立っている。
待つのは、苦痛ではなかった。
必ず来ると理解していたから。
(何時間でもいいのよ)
時間が掛かれば掛かるほど、さゆるを虐めることが出来る。あの泥棒猫を害する理由が増えて行く。
その瞬間を待ち望めば、頬が淡く甘く緩んだ。
たくさんの花見客が往来する春爛漫の大観覧車の前でひとり待ちぼうけて見える儚げな印象の少女に、
「ねえ、ひとり?」
男が誘いの声を掛けるも、返って来たのはその儚げな美貌からは考えもつかぬ汚く悪意に満ちた罵詈雑言。
気圧されて退散する男の背に刺し貫くが如き一瞥を叩きつけて後、Maliceは再び夢見るように甘やかなまなざしを投げる。ふうわりと咲く可憐な笑みに底なしの悪意を読み取れるのは、Maliceのまなざしを受けて足を速めるさゆるのみ。
大観覧車の前、ふたりの女が対峙する。
ひとりは底知れぬ海に人を引きずり込む人魚の如き笑み浮かべた女。
ひとりは銃が手元にあれば躊躇なく射殺する決意を瞳に宿した女。
先に口を開いたのはMaliceだった。
「一緒に、イきましょう」
花をも萎れさせるほどに艶やかに微笑み、さゆるを大観覧車に誘う。無言のままに睨んで来るさゆるの手を取り、動く密室にふたりで入り込む。
事情を知らぬ係員の無闇に明るい声と共、ゴンドラの扉が閉ざされた。
低い駆動音ばかりが響く。時折吹き寄せる春風が観覧車を揺らす。
「どういうつもり?」
正面に座すMaliceに銃口を突きつけるが如く、さゆるが低く呻いた。
さゆるの鋭いまなざしを受けて尚、Maliceは甘やかに微笑んで見せる。
「あなたとこうして大観覧車に乗るの、初めてよね」
「ここは密室よ」
その気になれば、と言いかけたさゆるの目前、Maliceが身を乗り出す。ぬめりを帯びた闇の色した瞳がさゆるを写し取る。
「私を殺せるんでしょ」
「なんなら、そうしようか?」
掴みかかるかの如きMaliceの言葉にもさゆるは動じなかった。真っすぐに漆黒の瞳を睨み返す。
Maliceは嗤う。
「殺してもいいけど……でも、」
冷たい椅子に掛け直し、蔑むような瞳で自分の身体を見下ろす。
「あの子も死ぬわよ?」
Maliceのまなざしに誘導され、さゆるは正面に座す女を見る。己が身に降りかかった男たちの悪意に押し潰された挙句、己の心の奥に生まれた『悪意』にその身を奪われたひとつ年上の女──倫理子。
挑むようなMaliceの瞳を真っ向から受け止め、さゆるは咄嗟に言葉の銃口を向けた。
「知ったことじゃない!」
「そう……」
Maliceは、嗤う。
「じゃあ、あの子に変わろうか?」
底なしの闇を白い瞼が覆い隠す。その一瞬で、Maliceの人格は倫理子の身の内に沈んだ。変わって浮かび上がるのは、本来の人格である倫理子。
静謐な面差しの内に今にも壊れそうな色をその黒い瞳に読み取り、さゆるは唇を噛んだ。Maliceと倫理子は、性格も表情もすべてが正反対だ。
「……朝鳥さん?」
傷ついた瞳を瞬かせ、倫理子は状況をすぐに理解したらしかった。
「またMaliceが……?」
「そうよ」
Maliceの首を絞めそこなった忸怩たる思いを隠し、さゆるは素っ気ない口調で付け足す。
「それと、あなたを傷つけた連中は破滅させたって言ってたわ」
倫理子の返事はなかった。ただ顔を両手で覆い、俯く。
ふたりの乗ったゴンドラが大観覧車の環の天辺に至ろうとしている。
さゆるは倫理子を見据えた。
「……あたしはこのままでは、Maliceごとあなたを殺さざるを得ないわ」
倫理子の肩が小さく震える。顔を隠した細い指に、ぎゅっと力が込められた。白い頬に痕がつくのも構わず、倫理子は己の顔に爪を立てる。
「もしそうなったら」
色を失くした唇から零れた声は、けれど強い決意を帯びていた。
「私もろとも、彼女も殺してください」
お願い、と倫理子は囁く。震える唇にすべてを赦すような微笑みを浮かべ、冷たい指先をさゆるに伸ばす。春風に舞い上げられる桜の花びらのようにひどく優しく、さゆるを抱きしめる。
「……もうこれ以上は」
肩を抱く倫理子の腕が震えている。
さゆるは小さく息を吐いた。胸の央、冷たい焔が確かに燃え上がっている。これは、
(Maliceへの、殺意だわ)
そう自覚して、さゆるが倫理子の腕に触れようとしたとき、
「ねえ」
耳元でMaliceの声がした。反射的に突き飛ばす。
椅子の背に身を叩きつけられながら、Maliceは恋人にするように甘く微笑んだ。紛うことなき害意を宿した瞳に見つめられ、さゆるは言葉を閉ざす。
──美しい女の姿をした悪が、哄笑する。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
1000人
参加キャラクター数
65人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年01月23日
参加申し込みの期限
2021年01月30日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年01月30日 11時00分
参加キャラクター一覧
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