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【お花見】花の盛りの寝子島で
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別室の兄が自分の理性の脆弱さと箱入り娘の純潔さに打ちひしがれるよりもうしばらく前、
「こっちっす、澄佳センパイ」
六月一日宮 檸檬
に手を引かれ、
澪乃 澄佳
はお花見電車に乗り込もうとしていた。
「わ! すごいっすね!」
夕暮れの風が吹くホームよりも温かな車内で紺色のダッフルコートの留め金を片手で外しながら、檸檬が歓声をあげる。
「うん、すごいねえ」
好きなひとの手と繋いだ自分の手を色素の薄いグレイの瞳に見下ろしながら、澄佳は随分と久しぶりになってしまった檸檬とのお出かけを実感する。
受験に新生活の準備に、
(わやくちゃしてたら春になっちゃったなあ)
車窓にあるのは爛漫の春。夕暮れの優しい薄紫色を纏って、薄紅の桜がふうわりふわりとあちこちに咲き誇っている。
「檸檬くん」
「はいっす」
「お待たせしちゃって申し訳ないねえ」
車内を行き交うお花見客を上手に避けながら先導してくれていた檸檬が不思議そうに振り返った。暁の黄金色した瞳がぱちぱちと瞬いて、おひさまよりも明るく笑う。
「澄佳センパイ」
「はい」
「今日も可愛いっすよ」
唐突に手放しに誉められ、ひあ、と澄佳は掠れた声とともに顔を赤くして口をぱくぱくさせる。繋いだ手まで熱くなってきて、とっさに離そうとするも、檸檬の手はますますぎゅうっと強く握ってきて離せそうにない。
「電車の中も綺麗っすけど、……」
熱を帯びる澄佳の手を引き、人気の少ない個室車両の通路へ誘い歩きながら、檸檬は小さく小さく囁く。
「一番綺麗なのは、俺の彼女……さんですけど」
それを真っ向から告げるのはさすがにちょっと恥ずかしかった。でも、口にしたかった。
声にした途端にもっと恥ずかしくなってきて、タートルネックのセーターの首元を引っ張って風を送る。そうしてから、くるりと振り返る。照れ隠しじみて澄佳の顔を覗き込む。
「センパイ照れてますー?」
「んなっ、」
「顔赤いっすねー」
「う、うう……」
赤い顔をますます赤くして俯く澄佳の手を引き、予約していた個室へと通す。
「桜、見ましょっか!」
ふたりで、たくさん思い出を作りたかった。それから、伝えるつもりだった。
(澄佳センパイに伝えたい事、ぜんぶ)
繋いだ手がぎゅっと握られて、檸檬は隣に立ち尽くす澄佳を見遣る。
さっきまで真っ赤だった顔は、今はもう個室から見えるライトアップされた桜の絢爛さに満面の笑顔となっていた。
「綺麗な景色だわあ」
「満開っすね」
桜を彫り込んだ木製テーブルを挟む座席に向かい合わせに座り、発車を待つ。
(逢えない時間もあったけど、でも、こやってちゃあんと来れたし)
正面に座ってなんだか少し覚悟を決めたような生真面目な表情で桜とその向こうの海を見つめてている彼氏の横顔を盗み見る。寝子島駅から星ヶ丘駅までの短い時間ではあるものの、ふたりきりの電車の旅なんて嬉しくてしょうがない。
発車のベルがホームに響き、景色がゆっくりと流れ始める。
(まるで遠くに来たみたいで、)
見慣れているはずの寝子島の風景は、車窓から見ると遠いどこかを旅しているよう。
ふと、鮮やかなレモンの香りがした。
咲き乱れる桜から正面の席の檸檬に視線を向ければ、彼はコートを脱ぎ、手首のリストバンドに軽く口づけしたところだった。
「俺、澄佳センパイに伝えたいこと沢山あって」
一つずつ言ってもいいっすか、と真摯な瞳に見つめられ、澄佳はこくりと素直に頷いた。ありがとっす、と悪戯っぽく笑ってから、檸檬は居住まいを正す。
「高校卒業、おめでとうございます」
晴れやかな顔で祝えば、桜のトンネルに差し掛かった車窓の外で花吹雪が舞い上がった。
「俺、在学中に言えなかったのが心残りで……」
本当は、一番に笑顔で送り出したかった。
困ったような悲しいような顔をする檸檬に、澄佳は大らかな笑顔を向ける。
「卒業祝いありがとう、だよう……むしろ」
檸檬の誠実さに応じたくて、澄佳はせいいっぱいに背筋を伸ばす。
「あたしが待たしちゃってごめんね?」
「そんなこと、」
謝らないでくださいっす、と檸檬は慌てる。首を振るばかりの檸檬に、澄佳はふわふわと笑いかけた。
「出会って、付き合って、もう卒業。あっという間だったねえ」
「今みたいにすぐ会えなくなるの寂しいっすけど」
「大丈夫、同じシーサイドタウンだよう」
だから、と言いかけてから、澄佳は気づいた。そういえば、大学のことをまだ伝えられていなかった。
「あ、ええとね、あたし木天蓼大学にちゃんと受かったのさ。医学部で健康科学とか学ぼうかなって。それで、管理栄養士さんになるの。元気な人も病気の人も、栄養が大事だからねっ」
自分のうっかりさに焦るあまり、ちょっぴり早口になりながら必死に伝える。興味津々に身を乗り出して聞いてくれる檸檬の態度がありがたかった。
「もちろんスポーツする人も、だよう?」
そう付け加えた途端、照れたような笑顔を見せてくれる彼氏がすごく素敵だった。
「俺も進路決めなきゃ」
ちらりと悩むような顔を見せるも、それは一瞬。すぐに明るい笑顔になる。木天蓼大学に通うのならば、確かに住まいは今まで通りのシーサイドタウンだ。寝子島キャンパスだって、
「寝子高と近いっすね!」
「だから、いつでも会いに来てほしいな」
「俺、絶対会いにいきますから。何度だって」
テーブルに身を乗り出した勢いで、檸檬は澄佳の手を取る。約束っすよ、と小指と小指を絡める。
ととん、ととん、と車輪の音がしている。窓の外を桜の花びらを纏って過ぎて行く夜風の音がしている。絡めた指先から互いの熱が伝わる気がして、ふたりはほとんど同時にどこかぎこちなく指を離した。
桜のトンネルを過ぎて、窓の外には星ヶ丘の閑静な街並みが見え始めた。
「そうだ、澄佳センパイ」
不意に檸檬は横に置いていたコートから小さな箱を取り出した。
「誕生日プレゼント! へへ、サプライズっすよ!」
「ふへ、プレゼント……」
檸檬に言われてようやく思い出した。そういえば、三月のはじめに誕生日を迎えていた。
(すっかり忘れてたよう。流石ステキな彼氏さん)
ちゃんと用意していてくれたことに感激する。
ふわふわと頬を赤くしつつ、プレゼントを素直に受け取る。
「ありがとう。中身、なんだべなあ」
箱を開けて出てきたのは、真っ白なレモンの花をあしらった髪につけるピン。
「俺がつけていいっすか?」
「お願いできるかなあ」
隣に立って、さらりとした澄佳の黒髪をレモンの花で彩り、檸檬は大きくひとつ頷いた。
「滅茶苦茶似合ってます」
星ヶ丘で降りたあとは、シーサイドタウンまで夜桜を潜り抜けて行く。
片方に海鳴りを聞きながら、もう片方に街道沿いで開かれている屋台の賑わいを聞きながら。てのひらに、互いの体温を感じながら。
街道沿いのライトアップがふと途切れて、屋台の並びも同じように途切れた。賑わいから外れた桜の樹の下、檸檬は足を止める。澄佳センパイ、といつものように呼びかけようとして留まる。
「……澄佳、さん」
月明かりに白く淡く咲く桜に照らし出された彼女は、とても綺麗だった。
伝えたいことが、まだあった。
「卒業後もずっと、ずーっと一緒っすよ!」
胸に抱え込んでいた気持ちのぜんぶを言葉にする。
「大好きです」
繋いだ手を引き寄せ、自分よりも小柄で自分よりもずっとふわふわした身体をできるだけ優しく抱きしめる。想いを籠めためいっぱいの笑顔を向ける。
このひとをなによりも華やかに彩り輝かせたかった。そうするのは、他の誰でもなく、
(俺でありたい)
強く強く、そう願った。
ふわふわした優しいひとを桜の下に抱きしめながら、檸檬はちょっとだけ後悔する。勢い余って勝手な呼び方をしてしまった。
(調子のっちゃったかな……)
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
1000人
参加キャラクター数
65人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年01月23日
参加申し込みの期限
2021年01月30日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年01月30日 11時00分
参加キャラクター一覧
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