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- 00月00日生 00歳
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【お花見】花の盛りの寝子島で
朝六時。カチ、と微かな音を立てて目覚まし時計の針が動いた。
ピ、と鳴り始めるか鳴り始めないかの一瞬、白い指が布団から伸びて目覚まし機能をオフにする。
(絢ちゃんが起きちゃう)
隣の部屋でまだ寝ているはずの従妹青山 絢を気遣いつつ、水谷 真優理は布団の温もりに別れを告げて起き上がった。
(昨日はめいっぱい絢ちゃんを摂取したものね)
大好きで大好きな絢と一緒にお花見をしたお陰で、ちょっと憂鬱な休日出勤だって元気いっぱいにこなせるというもの。
桜の下に佇む可愛らしくて綺麗な絢の写真を思いっきり撮りまくった。どんな花よりも美しい絢の姿を心のメモリーにも記憶しまくった。目にも耳にも、
(お姿とお声を焼き付けた……！)
まだ起きてこない絢のためにパンと目玉焼きとサラダの簡単な朝食を用意して、そのついでに自分もコーヒーとパンを口にする。
出勤のために身支度をしながら、星ヶ丘の高級ホテル『ステッラ・デッラ・コリーナ』のコンシェルジュに相応しい控え目ながらもきちんとした化粧を施しながら、
(それにしても)
思うのは昨日の絢の笑顔。
(可愛かった……)
思い出すだけで緩んでしまう頬をファンデーションと日焼け止めに隠し、鞄の中に忘れ物がないか確かめれば、出勤準備は完成。すぐに家を出発してもいいけれど、
(ちょっとだけ、ちょっとだけ)
そうっとそうっと、絢の部屋を覗き込む。ベッドに横になっている、眠り姫さながらに美しい絢の寝顔をこっそり堪能する。
本当は今日もふたりで過ごしたいのは山々だ。またお花見してもいい、どこかにお買い物に出かけて絢のための服や化粧品を買ってあげてもいい。
(ううう)
ぐいぐいと後ろ髪を引かれながらも、どうにかこうにか絢の傍を離れる。最後の最後まで名残惜し気に絢の寝顔を見つめてから、ふたりで暮らすシーサイドタウンのマンションを後にする。
通勤途中の道すがらには、今日も桜が咲き誇っている。
(あと何日、今年の桜が見れるかな)
日曜の早朝とあって人気の少ないバス停の傍にも、満開の桜。然程地面に花びらが落ちていないということは、今年の桜はまだまだ長く楽しめるかもしれない。
(来週も絢ちゃんとお花見しちゃおっかな)
ふたりで過ごす来週末を思えば、これから始まる仕事も頑張れるというもの。生きて行けるというもの。
星ヶ丘行きのバスに乗り込めば、日曜日の今日もお仕事が始まる。
ホテルの従業員用出入口から入り、制服に着替える。コンシェルジュデスクに就けば、真優理の顔は大雑把でズボラで絢ちゃん一筋なお姉さんから仕事への責任感に溢れたプロフェッショナルのそれに一変する。
「おはようございます」
同じシフトの仕事仲間と宿泊客のスケジュールを確認し、情報を共有する。これは仕事前の準備運動のようなもの。
「それでは、今日も一日、よろしくお願いします」
七時半からが、本格的な業務開始となる。
仕事は忙しい。
チェックアウトするお客様のお見送りに始まり、連泊のお客様からの様々なご要望の承り。桜に関する情報を多く求められるのは、やはりシーズンであるためか。
事前にチェックしてまとめていた寝子島のお花見スポットを客の好みに合わせて選び出し、パンフレットも添えて紹介したかと思えば、次は周辺のレストランへの予約業務が待っている。一通り済ませた後には、ホテル内他部署や旅行代理店、クリーニング業者との連携連絡や打ち合わせ。仕事内容は多岐に渡る。
昼休憩に入れたのは、午後二時前だった。
詰まりに詰まった仕事を片付けるため、ロッカーに常備している栄養補助食品で素早く休憩を済ませて戻ってみれば、案の定業務上トラブルが発生していた。
原因が連絡不備であることを素早く突き止め、必要各所に連絡とお詫びをしてトラブルを解消し、元凶となった仲間が平謝りするのを笑って流す。だって仕事はまだまだある。明日の飛行機の予約、宗教上の理由でルームサービスの食事が食べられないお客への対応、会社に配るための大量のお土産品の手配──
山積みの仕事を積み上がる傍から片付け、処理し、そうしているうちに業務終了時刻の夜七時となっている。情報共有や明日の準備を済ませれば、退勤は八時半だ。
外に出てみれば、冷たい風とともに月の光に照らされた夜桜が迎えてくれた。
思わずスマートフォンのカメラアプリを起動する。何枚か撮って、
(絢ちゃんに見せよう)
そう思った途端、絢の笑顔が思い浮かんで、真優理は思わずくすりと笑みを零す。
(絢ちゃん)
大好きな子の名前を胸に呟けば、一日の疲れも吹き飛ぶ気がした。
ピ、と鳴り始めるか鳴り始めないかの一瞬、白い指が布団から伸びて目覚まし機能をオフにする。
(絢ちゃんが起きちゃう)
隣の部屋でまだ寝ているはずの従妹青山 絢を気遣いつつ、水谷 真優理は布団の温もりに別れを告げて起き上がった。
(昨日はめいっぱい絢ちゃんを摂取したものね)
大好きで大好きな絢と一緒にお花見をしたお陰で、ちょっと憂鬱な休日出勤だって元気いっぱいにこなせるというもの。
桜の下に佇む可愛らしくて綺麗な絢の写真を思いっきり撮りまくった。どんな花よりも美しい絢の姿を心のメモリーにも記憶しまくった。目にも耳にも、
(お姿とお声を焼き付けた……！)
まだ起きてこない絢のためにパンと目玉焼きとサラダの簡単な朝食を用意して、そのついでに自分もコーヒーとパンを口にする。
出勤のために身支度をしながら、星ヶ丘の高級ホテル『ステッラ・デッラ・コリーナ』のコンシェルジュに相応しい控え目ながらもきちんとした化粧を施しながら、
(それにしても)
思うのは昨日の絢の笑顔。
(可愛かった……)
思い出すだけで緩んでしまう頬をファンデーションと日焼け止めに隠し、鞄の中に忘れ物がないか確かめれば、出勤準備は完成。すぐに家を出発してもいいけれど、
(ちょっとだけ、ちょっとだけ)
そうっとそうっと、絢の部屋を覗き込む。ベッドに横になっている、眠り姫さながらに美しい絢の寝顔をこっそり堪能する。
本当は今日もふたりで過ごしたいのは山々だ。またお花見してもいい、どこかにお買い物に出かけて絢のための服や化粧品を買ってあげてもいい。
(ううう)
ぐいぐいと後ろ髪を引かれながらも、どうにかこうにか絢の傍を離れる。最後の最後まで名残惜し気に絢の寝顔を見つめてから、ふたりで暮らすシーサイドタウンのマンションを後にする。
通勤途中の道すがらには、今日も桜が咲き誇っている。
(あと何日、今年の桜が見れるかな)
日曜の早朝とあって人気の少ないバス停の傍にも、満開の桜。然程地面に花びらが落ちていないということは、今年の桜はまだまだ長く楽しめるかもしれない。
(来週も絢ちゃんとお花見しちゃおっかな)
ふたりで過ごす来週末を思えば、これから始まる仕事も頑張れるというもの。生きて行けるというもの。
星ヶ丘行きのバスに乗り込めば、日曜日の今日もお仕事が始まる。
ホテルの従業員用出入口から入り、制服に着替える。コンシェルジュデスクに就けば、真優理の顔は大雑把でズボラで絢ちゃん一筋なお姉さんから仕事への責任感に溢れたプロフェッショナルのそれに一変する。
「おはようございます」
同じシフトの仕事仲間と宿泊客のスケジュールを確認し、情報を共有する。これは仕事前の準備運動のようなもの。
「それでは、今日も一日、よろしくお願いします」
七時半からが、本格的な業務開始となる。
仕事は忙しい。
チェックアウトするお客様のお見送りに始まり、連泊のお客様からの様々なご要望の承り。桜に関する情報を多く求められるのは、やはりシーズンであるためか。
事前にチェックしてまとめていた寝子島のお花見スポットを客の好みに合わせて選び出し、パンフレットも添えて紹介したかと思えば、次は周辺のレストランへの予約業務が待っている。一通り済ませた後には、ホテル内他部署や旅行代理店、クリーニング業者との連携連絡や打ち合わせ。仕事内容は多岐に渡る。
昼休憩に入れたのは、午後二時前だった。
詰まりに詰まった仕事を片付けるため、ロッカーに常備している栄養補助食品で素早く休憩を済ませて戻ってみれば、案の定業務上トラブルが発生していた。
原因が連絡不備であることを素早く突き止め、必要各所に連絡とお詫びをしてトラブルを解消し、元凶となった仲間が平謝りするのを笑って流す。だって仕事はまだまだある。明日の飛行機の予約、宗教上の理由でルームサービスの食事が食べられないお客への対応、会社に配るための大量のお土産品の手配──
山積みの仕事を積み上がる傍から片付け、処理し、そうしているうちに業務終了時刻の夜七時となっている。情報共有や明日の準備を済ませれば、退勤は八時半だ。
外に出てみれば、冷たい風とともに月の光に照らされた夜桜が迎えてくれた。
思わずスマートフォンのカメラアプリを起動する。何枚か撮って、
そう思った途端、絢の笑顔が思い浮かんで、真優理は思わずくすりと笑みを零す。
(絢ちゃん)
大好きな子の名前を胸に呟けば、一日の疲れも吹き飛ぶ気がした。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2021年01月23日
- 参加申し込みの期限
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- 2021年01月30日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2021年01月30日 11時00分
