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【お花見】花の盛りの寝子島で
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頭上の桜が春の夜風に吹かれる度、伸ばした黒髪が小さく揺れる。
冷たいはずの夜風が何故だか心地よくて、
古苗木 美姫
は小さな笑みを零した。笑みをそっと隠す指先は冷たいのに、頬も唇もふわりと熱が宿っている。
身なりを確かめる。気合を入れてお洒落をしてきたつもりだけれど、初めてのデートに見合う格好になっているだろうか。
(湊弥さん、気付くかな……)
いつもは自然に流しているだけの髪も、少しだけ変えてみた。大人っぽくアレンジしてみたつもりではあるものの、三つ年上の彼の隣に並べるくらいになれているだろうか。
髪を撫で、服の皺を撫で、桜に彩られた寝子島駅を見回してみる。
ホームにはまだ普通列車が停車している。初デートの緊張のあまり、早く来過ぎてしまったかもしれない。
ことことと高鳴る胸に掌を当てて深呼吸をしてみれば、自然と口元が綻んだ。いつもより早い心臓の音さえ心地よい。
(お花見電車……)
初めてのデートに誘われたときもドキドキとしたけれど、
(そういったものがあるのですか)
初めて耳にした特別列車にもわくわくと胸が弾んだ。
──お酒さ興味あるみたいだし、勿論景色も楽しめるこれが一番だと思ってさ
こちらの好奇心を満たしてくれようとする彼の気持ちも、
──個室なら気兼ねしなくていいしな!
柔らかく笑いながらの気遣いも、とても嬉しかった。
周りから温室育ちと言われるほどに箱入り娘だった美姫にとって、彼氏となった
澪乃 湊弥
が教えてくれる世界のほとんどが目新しい。
春風にひらりふわりと気まぐれに舞う桜の花びらを掌に受け止めたとき、
「美姫さん」
行き交う人々の向こうから足早に近づいてくる湊弥の姿を見た。
(湊弥さん)
名を呼ぼうとして、なんだか声が詰まった。桜並木の下を歩いてくる彼が普段より格好よく見えて、胸の高鳴りが思考の邪魔をする。
「待たせたかな、ごめん」
桜の花びらをてのひらに淡く微笑むばかりの美姫の前に立ちながら、
(驚いた……)
湊弥はライトグレイの瞳を何度も瞬かせる。
初めてのデートだからと身綺麗にしてきたつもりだったのに、美姫の可憐さには正に心臓を射貫かれてしまった。
(嬉しいというか、……うん)
咄嗟に言葉を失ってしまいそうになって、湊弥は小さく胸を上下させる。なんといっても今日は付き合って初めてのデート、ちゃんと喜んでもらいたい。楽しんでもらいたい。そのためにはこちらがきちんと気を使わなくては。
つい緊張して嗄れてしまいそうな喉を軽い咳払いで誤魔化す。心配そうに見上げてくるまなざしに見惚れてしまいそうになりながら、
「……美姫さん、髪型変えたかい?」
彼女を目にした瞬間に気づいたことを口にしてみる。
女きょうだいに挟まれているせいというべきかおかげというべきか、女性の小さな変化にもつい目が行くようになっていて、それはいいことなのか悪いことなのか湊弥にはまだよく分からなかったけれど、美姫がくすぐったそうに照れたように頷いてくれたのだから、きっといいことには違いあるまい。だって彼女の輝くような笑顔が見られた。
「桜が綺麗ですね」
「花も綺麗だけど、その姿も十分すぎるくらい綺麗だよ」
照れ隠しに桜を仰いで言ったのに、何のてらいもない顔でさらりと返され、美姫はふわりと頬を赤らめる。
「なんだかその、照れますね」
伏せようとした視線が、途中で湊弥の瞳とぶつかった。それだけでドキリとしてしまう。普段通りに喋ろうとしても自然と声が弾んでしまっていることを、湊弥に勘付かれていないだろうか。
(普段も格好良くて大人ですが……)
今日の彼は一段と凛とした雰囲気を纏って見える。いつもだってきちんと気を回してくれるのに、今日はもっとずっと素敵な気遣いをしてくれている。
(もしかして、私の為に)
ふわふわと思った途端、また目があった。
(やだ、)
どきどきと高鳴る胸に押されて頬が赤くなる。物静かなライトグレイの瞳に見つめられてしまうと、
(心を読まれちゃいそう)
彼にどんどん惹かれてしまう胸の内を隠したくて、美姫はわざと悪戯っぽく笑って見せた。
「いつもとどっちが似合います?」
口にしてしまってから、子どもっぽかったかしらと思うも、
「うーん、どっちも甲乙つけがたいなあ」
どっちも綺麗だと湊弥は笑ってくれるのだ。
そんな大人の湊弥の表情が曇ったのは、駅のホームからお花見列車に乗り込み、予約した個室へと向かっている最中のこと。
「──んんん?」
車窓からの花見を楽しもうとたくさんの人々で賑わう車内に、妹の澄佳の姿を見つけ──たはいいものの、その隣で親し気に笑っていたのは、兄の知らない男。
(そんな相手がいるなんて言ってたか? あれ?)
可愛い妹に悪い虫の影を見て混乱しかける頭は、隣を歩く可憐な彼女を見て落ち着かせる。
「どうかしましたか?」
「ああいや、妹を見かけたんだ」
視線で示すと、美姫は柔らかく瞳を和ませた。
「あら、少し似ているし、可愛らしい……デート、でしょうか」
「春に大学生になるんだけど、……」
六つ年下の妹の立派な姿に、お兄さんは思わず涙が出そうになる。
(いやまあ大学生になるしな……大学生になるんだよなあ……大きく、なったなあ)
ショックを受けた上に少し妬いてもいるらしいお兄さんの背中を、美姫はなるべく優しくぽんぽんと叩いた。
「あたたかく見守りましょうよ」
見つけた個室にふたりで入り、バーのカウンターと止まり木じみて窓向きに設けられた座席に並んで座る。
カウンターの上にはサービス品らしい缶ビールや軽めのカクテルが籠に入れられていた。動き出す窓の外を眺めながら、ふたりはそれぞれにお酒を手にする。
「まあこちらは大人として悠々と、飲みましょう」
「うん、乾杯しよう乾杯」
気を取り直してビールを手にしつつ、湊弥はてっきり甘くて飲みやすいカクテルを口にするのかと思い込んでいた美姫が自分と同じくビールを手にしていることにちょっぴり驚いた。同時に思い切りの良さに感心もする。
「妹さん達にも、乾杯」
「俺達の初めてのデートにも、乾杯」
かつ、と缶ビールを軽く合わせて笑いあってから、美姫は今日のために用意したお重のお弁当を取り出した。
気が利く上に豪勢なお重とくれば、湊弥は満面の笑みになるしかない。
「まさに花見って感じでいいね」
「家族で出かけた頃、母はこんなお弁当を作ってくれたんです」
「いくらでも味わえそうだ」
美姫が取り分けてくれた出汁巻き卵やアスパラの肉巻きにいただきますと手を合わせ、湊弥は美姫の母を思う。
(素晴らしい人なんだろうな)
心づくしのお弁当の他には、一口サイズのマドレーヌまで用意されている。
「いっぱい焼いてきましたからね」
「……お、これもふかふかで美味しい」
早速口に運んで彼女手作りのお菓子を味わいながら、湊弥はふと目を伏せる。妹も、お菓子を作るのが好きだ。
(今頃、あの男に手作りお菓子を振舞ったり……)
伏せられる湊弥の瞳に、美姫はちょっと首を傾げる。いい具合にアルコールが入って緊張のほぐれた頭で考えるのは、目の前の彼氏と今の状況。
(推理小説で説明すれば)
窓の外の景色さえなければ、これは完全なる密室。
そこに居るは若い男女、男は妹のデートを目撃したために傷心状態。
(女はこう言ったのです……)
大胆になってしまう気持ちをお酒のせいにして、美姫は傍らの湊弥に少し近づく。
「甘えてください、私に」
ふふ、と甘く笑う彼女の声に、湊弥はぎくりとする。
「って美姫さん……?」
酔いが回って上気した顔や艶やかさの増した仕草に動揺するも、なんとか自分を落ち着かせる。冷静になれと言い聞かせるも、
「してあげますよ、目を閉じてくださいね?」
美姫の更なる追撃に敢え無く屈してしまいそうになる。
(いやいやいかんだろこのシチュでその言葉は待て俺付き合い始めだ理性ッ!)
心の中で自分の頬を盛大に殴りながら、ついうっかりやっぱり目を閉じて美姫のあれそれを期待してしまう湊弥の唇にちゅっと触れたのは、
「ほら、あーん」
お箸で運ばれたプチトマトだった。
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担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
1000人
参加キャラクター数
65人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年01月23日
参加申し込みの期限
2021年01月30日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年01月30日 11時00分
参加キャラクター一覧
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