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【お花見】花の盛りの寝子島で
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城の人々に囲まれ、温かな言葉を掛けられては笑ったり泣き出しそうな顔をしたりと忙しい千代姫の傍を、露草はそっと離れる。城の住人たちが心置きなく花見を楽しめるようになったならば、呼び寄せられた寝子島の住人である自分たちも、
(楽しみましょう)
持ってきた料理は、郭へ上がってきたときに見かけた筵の上に置いている。そちらに視線を向ければ、酔った翁たちが嬉しそうに風呂敷包みを解こうとしているのが見えた。くすり、露草は笑う。あれはこのときのために作って来たもの。
(提供しましょう)
城の人々が差し出してくれる食べ物を口にし、桜を眺め、城の屋根で寛ぐ猫又さまを仰ぐ。人々とともに桜の宴をしばらく楽しんで後、露草は立ち上がる。
宴を終えて帰りの舟に乗り込んでしまうよりも先、千代姫に伝えておかなければならない事柄があった。
城の人々の輪が解けた頃合いを見て、露草は城の入口に佇む姫様のもとへと戻る。
「お千代さん」
名を呼びながら、異国の騎士がするように片膝をつく。
「昨年も、今年も。一緒に楽しめたことに感謝を」
丁寧に告げてから、黒い瞳を真摯にもたげる。消えたいと願い、消えてはならないと必死に己に言い聞かせている姫様に、柔らかく微笑みかける。
「もし、花見の時期より前に、この島に出現せざるを得ない事があれば、不思議な灰色猫や白猫に会い、事情等をお伝え下さい」
そうならないことを祈るばかりではあるが、万が一を考えることも肝要だ。この島に起こる不思議であれば、らっかみである彼らがきっと力になってくれるだろうと露草は信じている。そのときにはきっと、彼らがもれいびたちに事態を伝えてくれると。
「もし、また会える事があれば……」
その時もまた、と露草は願う。
「一緒に宴を」
「猫又さまはー、もっふもふー♪」
一礼する露草の後ろを、銀色の髪の幼女がご機嫌で通り過ぎて行く。スキップで向かうは、筵の上で酒杯を交わす老翁たちのもと。
「大人の人はこのビールを飲むといいと思うのですー」
どこからか取り出した缶ビールにワインにウィスキー、各種お酒を筵に並べ、物珍し気な大人たちにさあさあと進めて回る。
「南蛮渡来のお酒なのですー」
「可愛いお嬢ちゃんに勧められたとあっては断れぬのう」
「どうぞなのですー」
こどものゼロは、そのかわりにと肴に手を伸ばす。魚の干物に素揚げに、焼き芋にお漬物。
「おいしいのですー」
にこにこ顔でおつまみを口にする千代姫と同じ年頃の少女に、老翁たちはメロメロになる。あれも食えこれも食え、ゼロの前にはあっと言う間におつまみ類が山と成した。
貢物の山を前に、ゼロはすっくと立ちあがる。
「歌って踊るのですー」
歌は猫又さまに唄ったもの、踊りは子猫が転がるようなにゃんこ踊り。
「ふわふわもふもふまっしろでー」
「にゃんにゃんー」
合いの手を掛けるのは、ほどほどにお酒を飲んでほろ酔いご機嫌な理沙。
重箱に詰めてきた料理を誰でもどうぞと老翁たちに配ってから、歌って踊るゼロと一緒になってにゃんにゃんくるくる。
老翁たちの喝采を受けるゼロと理沙の隣、冬夜も飛び出す。三人で手を取り合って踊れば、爺さまたちもつられて踊りだした。
「こっちは冬夜君、私の可愛い息子よ~」
そうして、と向こうから歩いて来る少女ふたりを指し示す。
「あっちが夏朝ちゃんと夏夜ちゃん~、夏夜ちゃんはここに来るのは初めてなのよ~」
「あっ、また酔ってる……」
「……母さん」
くるくるくるりと回った挙句、目が回ってみんなで座り込んだ理沙の背中を、夏朝と夏夜が駆け寄ってきて支えた。
「みーんなだーいすき~」
夏朝と夏夜に冬夜、こどもたち皆を両腕いっぱいに抱きしめ、理沙は顔中で笑う。また来年もこうしてお花見が出来たら、と思ってから、
(……お城は現れるのかしら)
ふと、心配になった。来年の今頃は、
(夏朝ちゃん達やののこちゃんの卒業後よね……)
来年も再来年も、ずっとみんなでお花見をしたいけれど、いつまでみんなでお花見が出来るだろうか。
「母さん?」
「お母さん?」
上機嫌かと思えばふと寂しそうに黙り込む母を、娘ふたりと息子は心配げに覗き込む。
「理沙?」
そこに旦那様の久隆も加わったところで、理沙は我に返った。目の前に家族全員の顔があるのが嬉しくて、周りでゼロや老翁たちが躍っているのが楽しくて、くすくす笑う。
ほろ酔いの母が父に保護され、夏朝と夏夜はホッと顔を見合わせた。そうしてから、その場にぺたんと座ったままの小さな弟を見つめる。
「皆で一緒にお花見できる……!」
ふんわり微笑む夏朝に頷き、夏夜は冬夜と瞳を合わせる。
弟と顔を合わせるのは、この身体を得てから初めてのこと。照れてもじもじする弟を、夏夜はそっと抱きしめる。
「久しぶり、冬夜」
胸の中でくすくす笑う弟の存在が愛おしくて、夏夜は小さな息を零した。
「あっ、姫様! 姫様ー!」
「こちらに! こちらに!」
老翁たちに誘われ、千代姫がやってくる。あれも食えこれも食えと勧められるまま、隣に座ったゼロと一緒になって飲み食いする姫様を見つめ、夏夜はもう一度小さく小さく息を吐いた。
城の住人たちと笑いあう姫様の顔に、天守閣で泣いていた千代姫の姿は今は重ならない。思いの丈を吐き出して多少胸が晴れたからか、ゼロと夢の中で遊びまわって気分転換が出来たからか。それとも、
(『猫又さま』……)
夏夜は城の屋根に座って動かない白猫を仰ぐ。気まぐれな『猫又さま』が起こした騒動のおかげか。
天守閣で姫様の口にした内容を胸の内に刻み込みながらも、夏夜はひとまず花の宴に混ざる。だって家族がいる。城の人たちも、寝子島の人たちもいる。気がかりなこともあるにはあるけれど、今は花見を楽しもう。
スマホやデジカメを使って花見の席やお城や『猫又さん』を撮影しながら、夏夜はこっそり唇を噛む。
(一眼レフをまだ買ってなかった事が悔やまれる……!)
この不思議な空間を記録に残しておけるかどうかはわからないけれど、それでも出来るだけ綺麗に撮っておきたかった。目に映るほどに美しく、思い出を残しておきたかった。
「綺麗だね」
城の住人や千代姫から聞いた『猫又さま』のことをメモに走り書きしながら、夏朝が瞳を細める。
「うん、……綺麗だ」
頷く夏夜を、母と父のもとへ駆け寄る冬夜を、満開の桜と城を、そのもとで笑いあう人々を、目に映るすべてを、夏朝は胸に刻む。今日のできごとは全部ぜんぶ、
(大切な……残しておきたい、思い出だから)
周囲を見回す夏朝のまなざしの優しさに、久隆は強面を緩めた。理沙に預けていた飲食物や酒類の封を切り、周囲の人々に振舞う。『猫又さま』が城に取り憑いていた間、ずっと笑顔の無かった城の人々の間に笑い声の戻っていることが、何より嬉しかった。
筵に座す久隆の膝に、冬夜がちょこんと座る。見仰いできて笑顔を見せる小さな息子を、久隆は優しく抱きしめた。
「……久しぶりだな」
この城を出ればほどなく消えてしまうだろう息子に、楽しいひとときを過ごして欲しかった。
「一緒に楽しもう」
笑顔を交わす父子を囲み、老翁たちが朗らかに笑う。
「姫様もお小さい頃はこのように膝に乗ってくれたもんじゃ」
「あの頃から、姫様は千年桜がお好きじゃった」
「今もこうして花見が出来ること、爺共は幸せで御座いまするぞ、姫様!」
彼らの話に耳を傾けながら、久隆は瞳を細める。
(彼等の存在は、確かに在るのだ)
この世とは別の世界に移らざるを得なくなっても、それでも寝子島に戻って来て花の宴を開きたいと願う彼らを、大切に思う。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
1000人
参加キャラクター数
65人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年01月23日
参加申し込みの期限
2021年01月30日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年01月30日 11時00分
参加キャラクター一覧
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