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【お花見】花の盛りの寝子島で
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「話を、聞かせてもらえないだろうか」
郭の一角、小さな池の前にある祠に手を合わせて祈るばかりの老人の傍らに膝をつく。
「城内に入ることは可能だろうか」
狼狽えて念仏を唱える老人に根気よく話しかける父──久隆の傍らに立ち、夏夜は冷静なまなざしを周囲へと向けた。卒然と現れた化け猫に取り憑かれたという『眠り猫城』内部に入るには、どうすれば良いのだろう。
(どこからどう見ても立派な白猫だ……)
もとより『眠り猫城』と称されてきたお城。その城のように眠る白猫を見、夏夜はちょっと首を捻る。
(いや、城猫?)
この猫は、何なのだろう。
久隆に繰り返し丁寧に話しかけられ宥められ、老人はふと我に返ったように皺深い顔を歪めた。ふらりと立ち上がり、元は城の壁があったのだろう場所に立つ。巨大な猫のもふもふの毛皮をもふもふ触っていたかと思えば、此処じゃ、と指し示す。
「ありがとう」
老人に会釈し、夏夜が真っ先に示された場所へと歩を進めた。もふもふに阻まれるはずの小柄な身体が何の抵抗もなく毛皮の向こうへ消えたことに久隆は瞬く。
追おうとした久隆の背に、物静かな青年の声が掛けられた。
「城内に……天守閣を目指すのであれば、私も」
長い黒髪を揺らして丁寧な会釈を見せ、露草は夏夜に続く。
躊躇うことなく城へと踏み込んだふたりを追おうとして、久隆はふと老人を振り返った。
「君達であれば、猫がいても花見を楽しめるはずだが……」
この城の住人は普段は『寝子島ではない何処か』──異界とも言えるべき場所に暮らしている。そこがどのような場所であるのか、久隆には想像もつかなかったが、そのような場所で暮らす人々であれば今回のような事態にも慣れているものとばかり思っていた。害がないと判ずれば、『猫又さん』とも仲良く花見をするものとばかり。
「害があるのか」
久隆に眼光鋭く問われ、老人は震える息を吐いた。害ではない、と呟く。害ではない、しかし。
「姫様は、この城を護る千代桜そのもの。この城は、姫様の願いそのもの。永く変わらなかったこの城が化け猫による変化を認めたということは、おそらく──」
ああ、と老人は嘆く。姫様、と呻き、あとはもう祈りの言葉を繰り返すばかり。
丸くなる老人の背を大きな掌で軽く叩き、久隆は白い毛の壁に進む。反射的に伸ばした手には何も触れず、瞬いた視界の先には、もふもふの毛に包まれた奇妙な通路があった。光源は分からぬものの、何故かふうわりと明るい。
「父さん」
「……ああ」
真っ白なもふもふの床の上に転がっていた子猫を撫でていた夏夜の呼びかけに、久隆は頷き返す。夏夜に撫でられたふわふわの子猫は、にゃあんと小さく鳴いたかと思うとひとひらの桜の花びらになった。
ふわりと空中を漂ってきてはまとわりつくふわふわの子猫たちをそれぞれに撫でながら、三人はもふもふに包み込まれた空間を進む。
「城の中に何かあるかもしれない、と思ったんだけど」
「む、……」
夏夜の言葉に久隆はポケットからスマホを取り出す。電源が入ることを確かめ、カメラ機能を立ち上げる。映しこんだ画面を拡大し、遠方を確認しようとするも、映りこむのはひたすらにもふもふの通路ばかり。通路にも湧きだすふわふわの子猫ばかり。
「お待ちください」
子猫たちにしがみつかれていた露草がふたりの歩みを止める。取り出したメモに桜を模した紋章を描き、
「この城の姫様、お千代様のいる所へ通じる扉よ……光れ!」
念じてろっこんを発動させれば、ふかふかの壁の一部に桜の紋章が浮かび上がった。
「此方のようです」
先んじて歩き始める露草の背中にくっつく子猫たちを撫でては桜の花びらにしつつ、紋章に導かれるかたちで三人が辿り着いたのは、ふわふわの通路の果て。今まではどこまで行ってもふわふわした壁ばかりであったのに、そこだけは閉ざされた襖がきちんとかたちを成している。
桜の絵が描かれた襖の前には、一組の男女が──城主とその妻が、哀し気な面持ちで座していた。
「大丈夫ですか……?」
そっと話しかける夏夜に、城主は小さく微笑む。黙して指し示す襖の向こうから、子猫たちの鳴き声が聞こえた。
「中に、入っても宜しいのでしょうか」
露草の問いに、城主と妻は道を開くように脇に退いた。
露草は襖の前に端座し、天守閣に閉じこもってしまったという姫君に優しく話しかける。お千代様、と。
「……いえ、お千代さんと呼んだ方が良いでしょうか?」
応じるのは、子猫たちの鳴き声ばかり。露草は動じぬ声音で続ける。
「貴女の気持ち、一部なりとも表に出す事をお勧めします」
丁寧な口調で言ってから、ふと言葉を緩める。強情を張る小さな子どもに言い聞かせるように、続ける。
「泣きたいなら泣いても良いし、怒りたいなら怒っても良いのです」
にゃうにゃうと聞こえていた声がふと静まった。内部の姫様が耳を傾けていると信じ、露草は真摯に話しかける。
「願いも、わがままも……たまには言っても良いのですよ」
襖の向こう、小さな嗚咽が聞こえた。露草の目配せを受け、久隆が襖に手を掛ける。力強く開けられた襖の向こうから、わっと飛び出して来たのは、大量のふわふわ子猫たち。
「わ、……」
その子猫たちを両手いっぱいに抱きとめながら、夏夜は天守閣に踏み入った。
室内いっぱいに詰まっていた猫たちがあらかた外に出たあとに残ったのは、ふわふわの毛皮に四方を包まれた隅っこにうずくまる着物姿の少女。
「君も、撫でていい?」
囁くように問えば、少女は泣き腫らした顔で小さく小さく頷いた。黒髪の頭をそっと撫で、夏夜は初めましてと挨拶をする。
「僕は恵御納夏夜」
「……千代」
「昨年の花見では、双子の妹や両親が楽しませてもらったと聞くよ」
諸事象あって、と夏夜は困った顔で笑う。
「僕はその時来れなかったんだ」
だから、と夏夜は続ける。
「……一緒に花見とか、どうだろう」
もちろん、無理強いをするつもりはなかった。
彼女がここに閉じこもった事情を訊きたかった。泣いていた理由を聞きたかった。
「何かしてほしい事はある……?」
あるのなら、可能な範囲で叶えてやりたかった。
「わ、妾は、……」
千代姫はしゃくりあげる。
「わがままを、言います」
「いいよ」
「……もう、消えたい」
けれど、と首を横に振る。己が消えるということは、永の年月を共に過ごして来た人々を、己の願いによって歪めてしまった彼らの生を、己のわがままで再び歪めて潰えさせてしまうということ。
「妾は、立ち続けなければ。在り続けなければならぬのです」
それが彼らに対する贖罪なのだと、千代姫は夏夜にしがみついた。
「猫又さまは、……もとより異界を渡る力持つあの方は、通りすがりに妾をひととき慰めてくださっているのです。たまには違うものを見よと。猫と遊んで笑えと。けれど、皆を驚かせてしまいました」
抱きしめるしかできない夏夜の視界で、ふわり、銀糸の髪が一筋が揺れる。
「お姫様お久しぶりなのですー」
波打つ髪と同じにふうわりとした声と共、どこからか現れた幼い少女が微笑んでいた。
「ゼロなのですー」
言いながら、神出鬼没な少女は千代姫の頭をなでなでぽふぽふ、子猫にするように優しく撫でる。ついでにその背中にぎゅーと抱き着く。
「ゼロの夢の中にご招待するのですー」
なでなでぽふぽふ、何もかもを慰め安らがせる優しい手に、泣き疲れた少女の瞼が次第に重くなる。
「このままゼロのろっこんを使って、夢の中に入って二人で遊んできますのです」
夏夜に向け、ゼロは微笑んだ。ここで待っているよと頷く夏夜に、ゼロはまた笑う。
「ゼロは面白い夢を作るのですー」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
1000人
参加キャラクター数
65人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年01月23日
参加申し込みの期限
2021年01月30日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年01月30日 11時00分
参加キャラクター一覧
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