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【お花見】花の盛りの寝子島で
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「起こさないよう、そっとね」
唇に人差し指をたて、修はあおいと笑いあう。
城の住人が用意してくれた梯子を使い、猫又さんの膝のあたりまで登ったあとは、もふもふの毛皮を頼りにその巨大な身体を登攀する。真っ白でふわふわの毛皮は案外取りつきやすく、春の丘を歩くように案外登り易かった。
「大丈夫か?」
「うん、ふわふわ!」
修が伸ばした手を掴み、あおいが笑顔を返す。
「眠り猫なでもふ作戦だ」
「楽しそう」
和やかに話しながら真っ白な眠り猫の身体を登って行く修とあおいに続くのは、綾花と珪のふたり。
「大きな白猫もなでなでしたら桜に変わるんでしょうか?」
「撫でるならどこがいいかな?」
雪柳の野原を歩くように、春紫苑の花畑を歩くように、ふたりもなだらかな丘めいた眠り猫の背を登る。
「鼻、……でしょうか」
ちょっと考え、綾花は視線をもたげた。真っ白な丘にも見える広い広い猫の背中のまだ向こう、船の帆みたいな三角耳を越えた先にある桜色の鼻。
「くすぐったいかな?」
「綾辻さんの思うようにやってみようか」
珪先生の言葉に、綾花は大きく頷いた。先生が隣にいてくれるのなら、それ以上に心強いことなんてない。
お城の屋根とも言えそうな鼻先を目指すふたりから少し離れたもっふもふのお腹のあたりで、ゼロは銀色の髪の毛をふわりとなびかせ、真っ白な毛の中に全身でダイブする。
飛び込む勢いで倒れ込んでも、身体はふわっふわの毛に受け止められてぽふんと弾む。小さな身体でぽふぽふ弾むまま、ゼロは全身を使って自分よりもずっともっと大きな大きな猫又さまをふわふわもふもふなでなでする。
「猫又さまが気持ちよくなるまでもふもふするのですー」
大きな猫又さまに聞こえるかどうかはわからないけれど、それでもゼロはふんわり柔らかな声と笑顔で話しかける。もふん、と笑い返すように身体が弾んで、ゼロはきゃあと声を上げて笑った。
もふん、と白い毛の間から、小さくて白いもこもこが現れる。くるりと丸まったもこもこは、猫又さんの身体をよじ登って来た夏朝がとっさに伸ばした腕の中でにゃあと鳴いた。
飛び込んで来た子猫をもふもふ撫でつつ、夏朝はなだらかな丘にも似た猫又さんの背中を登って行く。優しい手に満足したのか、子猫は小さく鳴いて桜の花びらに代わった。ひらり、夏朝の掌を撫で、頬を撫で、風に乗ってどこかへ飛んで行く。
ゆらりと足元が揺らいだ。大きな大きな猫が何かを請うように身じろぎしたように思えて、猫好きな夏朝は瞳を細める。
「……君も、なでなでしてほしいの?」
ねこじゃらしの丘にも見えるそこは、大きな白猫の背中の真ん中辺りらしかった。
「ここで、いい……?」
そっと話しかけ、夏朝はふかふかであったかい背中に腰を下ろす。眠る猫の呼吸に合わせてふわりふわりとゆっくり上下する背中を、丁寧に念入りに、優しい手つきで撫で始める。
満足するまでずっと撫でてあげようと心に決めながら、夏朝は城の住人たちに『猫又さま』とも『化け猫』とも呼ばれていた白い猫のことを考える。
(白いにゃんこ)
眠り猫城とも称される、八夜城。ずっと昔に寝子島にあって、今も普段は別の世界で存在し続けているお城。
(去年も、お母さん達と……)
去年は、普通のお城のかたちをしていた八夜城。お城のかたちで、みんなの花の宴を見守っていた眠り猫城。
──長く存在し続けた物には、大切にされてきた物には魂が宿ると、夏朝は信じる。だからもしかして、この白い猫は。
「……ねぇ、白猫さん」
優しく夏朝は語りかける。
「僕たちにどうしてほしい……?」
もしかして、去年みたいにお花見がしたかったりするのだろうか。今年は見守るだけではなく、皆の輪の中に混ざってみたいと思っていたりしないだろうか。もしもそう願っているのならば、
(僕も、皆も。一緒に楽しむよ?)
夏朝の優しい想いが届いたかの如く、白い猫がごろごろと喉を鳴らす。
「猫又さま、気持ちいいのですー?」
全身でもふもふなでなでするうちに、いつのまにか白くて大きな三角耳の傍まで辿り着いていたゼロがふわふわ笑った。
猫又さまに聞こえていると信じて、ゼロはごろごろ転がりながらあどけない声で歌い始める。
「猫又さまはー、でっかくてー♪」
心に思うままをでたらめな旋律に乗せ、
「ふわふわもふもふまっしろでー♪」
歌いながら耳の後ろを両掌でごしごし撫でる。
「ふわもこぽかぽかもっふもふー♪」
猫又さまの鼻先を撫でていた綾花と珪も、肩のあたりを擦っていた修とあおいも、背中の夏朝も、小さな女の子の屈託のない歌に思わず笑顔になる。
ごろごろ鳴る猫又さまの喉の音に満足して、ゼロは今度は口元にまでよいしょと移動する。ポケットの中から野良猫さんにあげる用おやつを両手いっぱいに取り出し、全身を伸ばして掲げる。
「たくさん食べるといいのですー」
ごろごろごろ、なにもかもを和ませて眠らせてしまいそうな不思議な声を耳にしながら、伸幸は大きな白い猫の香箱を組んだ大きな前脚の前に立つ。
「はじめましてー」
桜の大樹かお城の屋根くらいずっと頭上にある、三日月のかたちに細められた瞳に向けて、ひらひらと両手を振ってみる。
「撫でていいですかー」
へにゃり、力の抜けた声で聞いてみても、白猫からの返事はなかった。その代わり、もふん、と目の前に前脚が一本差し出されてくる。お城の大きさをしているその癖、猫の手は重量を感じさせなかった。
ふわり、春風の優しさで額の黒髪を撫で上げられて、伸幸は黒い瞳を細めた。目の前に下ろされた、指先だけで自分の身体ほどもありそうな前脚の傍に座り、ふかふかの指先にそっと背中を預ける。桃色の肉球がちょっぴり覗くまあるい指を毛並みに沿ってふわふわもふもふ撫でているうち、指の間から掌ほどに小さな丸いふわふわがまろびでてきた。
伸ばした膝にすり寄って来るふわふわは、子猫のかたちをしている。
くるりとした翠の瞳に見上げられ、伸幸は大きな白猫を撫でているのとは別の手を差し伸べた。胸元に抱き上げ、優しく撫でる。
しばらく撫でるとふわふわ子猫は鳴き声ひとつ、子猫から桜の花びらへとかたちを変えた。
吹き寄せた夜風に舞い上がり、篝火に照らし出される桜の花びらを仰いだ伸幸の瞳に映るのは、大きな白猫の大きな顎のあたり。
(大きな猫さんも桜なのかなぁ)
のほほんと考えながらも、白い前脚を撫でる手は休めない。
ぽふん、と身体ぜんぶを白い前脚に預け、白猫の顎を見上げる。鼻先のあたりにも身体のあちこちにも、寝子島のみんながいる。優しい手で撫で続けている。
「お城の人たちが、お花見したいって言ってるのよー」
穏やかな声で、伸幸は話しかけた。
「大きな猫さん? お城さん? 桜さん?」
猫又さん、とも呼ばれていた。化け猫、とも呼ばれていた。
「みんなでいっしょにお花見しましょうーなのよー」
湖を渡してくれた舟の船頭は、お姫様がいると言っていた。なにか訳があって天守閣に籠ってしまったお姫様もきっと、みんなでお花見がしたいとはずだと伸幸は思う。だって、
「みんなで楽しくお花見出来たら、きっと素敵だよねぇ」
もふもふ大きな白猫も、ふわふわ小さな白猫も、みんなふわふわもふもふ、飽きず優しく撫でるまま、伸幸はどこまでも優しく語りかける。
「大きな猫さんも、ふわふわさんも、」
みんなも、と見遣るのは、遠巻きに恐る恐る大きな白猫と寝子島の人々を眺めている城の住人たち。
「もしやって欲しい事があったら言ってねぇ」
へにゃりと笑う少年の笑顔に惹かれた妙齢の女性が恐々近寄って来た。撫でていいのかい、と問われ、伸幸は笑みを返す。
「ふわふわなのよー」
少年のおっとりした声音につられるように、城の人々が白い前脚に近づいてくる。みんなに寄ってたかって前脚を撫でられたからか、白猫の透明髭がびびびと震えた。くすぐったそうに、猫又さんは笑った。
城の人々が笑う。寝子島の人々が笑う。
「ひらひら、さくら。きれいだねぇ」
伸幸も、笑う。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
1000人
参加キャラクター数
65人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年01月23日
参加申し込みの期限
2021年01月30日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年01月30日 11時00分
参加キャラクター一覧
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