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【お花見】花の盛りの寝子島で
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目の前を白く染め上げていた眩しい光が収まって、
青山 絢
はぎゅっと閉ざしていた瞼を恐る恐るもたげた。
長い睫毛に縁取られた黒い瞳を瞬かせ、自室であるはずの周囲を見回して、
「え、……」
言葉を失う。
目前に広がっていたのは、去年誘われ彷徨いこんだ八夜城の廓。眠り猫城とも称される白壁の城を前にした広場では、今年も花見の宴が催される段取りであったらしく、そこここで篝火が輝いていたり、筵が敷かれたり食べ物の用意がされていたり、酒樽が並べられたりしている。けれど、宴に興じているはずのひとびとは皆、わあわあと大わらわで駆けずり回っている。
「ええ……」
掌にのせた金色の桜の花びらを見下ろす。
去年、城でもらい受けたその花びらは、自室の机の引き出しに大事に仕舞っていたもの。今年も桜の咲く時期になって、そういえば去年はありえない出来事に出会ってしまったわよねと懐かしく思い出して、何気なく取り出して掌に乗せて、──途端、花びらが眩しく輝いた。そうして気づけばここに立っていた。
(……ありえない)
二度はないと思っていた場所に再び迷い込み、絢は戸惑って立ち尽くす。一体どうなっているのか、誰かに尋ねたい気持ちは山々ではあるものの、時代劇に出てくるような恰好をした周りの人々はみんな、ひどく取り乱した様子で郭内をおろおろうろうろしていて、声を掛けられる雰囲気ではない。
「姫さま、姫さま!」
「あの物の怪はどうすればええんじゃあ」
「際限なく湧いて来る……!」
刀を差した男に、蒼い顔をしたお爺さんたち、郭に植えられた樹の影で固まって震えている女たち。その誰もの視線が向いている方向、もとは八夜城と八夜城とほぼ一体化した桜の巨木のあった方向へ、絢は顔をやる。
「……えええ……」
そこに城はなかった。何故か巨大な、お城の大きさほどのふくふくした白猫がまあるくなって眠っていた。
城の人々が言う『物の怪』は間違いなくあの白猫ではあるのだろうけれど、
(なんだか)
笑うように細めた目も、春風にひよひよそよぐ透明な髭も、春風の音に似た寝息と共に小さく上下するもふもふふわふわのまあるい背中も、なんだかとっても気持ちよさそう。
(……いけない)
つられて眠たくなってしまう頭をぶんぶんと横に振る。
どうしたものかともう一度頭を巡らせて、
「……?」
さっきは誰もいなかった場所に、いつのまにかひとりの少女が立っているのを見止めた。
浮世離れした純白のワンピースに、華奢な身体を包み込むほどにふんわりと波打って長い銀色の髪、髪と同じ色した瞳──
「でっかい猫さんなのですー」
絢と目があって、
ゼロ・シーアールシー
は無邪気に笑った。
「そう、……そうね、大きな猫……」
十に満たない子供でも、それでもひとと話すことが出来て僅かに安堵する絢に、ゼロは両掌の中に握り締めていた金色の花びらを掲げて見せる。
「お姫様からもらった花びらがピカーッって光って、いつの間にかここにいたのです」
「私もよ」
視線の高さを合わせてしゃがみこんで頷く絢に、ゼロはまた笑いかけた。
「お揃いなのです」
「そうね、……困ったわね」
考え込む絢を前に、ゼロは花びらをワンピースのポケットに仕舞って迷う仕草ひとつ見せず駆けだす。
「えっ」
「お城の人が困っているようなのでここはなんとかするのですー」
どうやって、と背中に慌てた声で問いかけられ、ゼロはワンピースの裾をふんわり翻して振り返る。
「ここは大物狙いなのです」
また笑う。
「ゼロはあのでっかい猫さんをもふもふなでなでなのですー」
「ええ……」
ワンピースの裾をひらり、ゼロは子猫のように元気いっぱい駆けて行ってしまった。子供ならではな迷いのなさと足の速さに取り残され、絢は再び途方に暮れる。
今度こそお城の誰かを捕まえて話を聞きださなくては、と眦を決したとき、
「え、猫をモフれる上に宴まで出来るの? やったぁ!」
なんだか呑気でご機嫌な声が耳に届いた。
「ありがとー」
絢が話しかけるのを躊躇うほどに狼狽えていた城の住人のひとりにのんびりお辞儀しているのは、中学生くらいに見える幼い顔つきをした栗色の髪の少年だった。その隣には、傍目にもおっとりしているのが分かるほどにふうわりした雰囲気の黒髪の少年。
「あのっ」
思い切って声を掛けてみれば、少年たちは──
万条 幸次
と
真辺 伸幸
は揃ってちょっぴり眠たそうな瞳をきょとんとさせて立ち止まった。どうしたのとマイペースに問われ、絢はこの城を襲った異変について、お城のはずの場所で丸くなって眠る猫について訊く。
「そうそう、去年三夜湖にお城が出たって聞いて来てみたんだよねぇ」
「俺はお店にあった本で読んだ事はあったけれども」
幻の八夜城、と幸次がおっとり笑い、伸幸が小さく首を捻る。
「すごい、本当に建ってた、って思ったんだけどねぇ……」
「白く美しいお城が大きな白い猫さんだとは知らなかったのよー」
よくよく見れば、お城ではなくお城のようにどーんと大きな猫。舟で湖を渡してくれた船頭によれば、
「猫又さま、って言うらしいねぇ。化け猫って言ってるひともいるけど」
「千年も時が過ぎるとお城も猫さんになるんだねぇ、って思ったけれど」
幸次の言葉に頷き、信幸は困ったようにへにょりと笑う。
「お城に化け猫が取り憑くなんてねぇ、あれやあ、びっくりだねぇ」
それにしても、と伸幸は『猫又さま』を仰ぎ見る。
「大きな猫さんだねぇ」
故あって鍵を預かっているシーサイドタウンの童話と雑貨のお店『Once upon a time』の本棚に見つけた八夜城について書かれた本には、『猫又さま』のことなんて一行も書かれていなかった。
店主の好きなものだけ詰め込まれた宝箱のようなお店に、どうしてあの本があったのかは分からないけれど、本の記述を縁に、まさか本当の八夜城に出会えるなんて思ってもいなかった。その上、お城が白猫になっているなんて。
「よっこいしょーの遠出のお散歩のついでだねぇ」
くすりと呟き、伸幸は『猫又さん』目指して歩き始める。
「あっちに行ってみるのよー」
「うん、行ってらっしゃーい」
伸幸を見送った幸次が『猫又さま』を指し示した。絢は目を凝らす。月明かりと篝火に照らし出された『猫又さま』の周りには、桜の花びらのようなものがひらひらふわりと舞っている。
「あの小さいのを減らすんだって」
「ねこ……?」
花びらにも見えた小さな白いものは、よくよく見つめてみれば掌ほどに小さな白い子猫らしかった。あるものは眠ったままふわりゆらりと空中を漂い、あるものはころんころんと転がり、あるものは元気いっぱいに宙を走り回っている。
「猫だわ……」
「きっとモフればいいんじゃないかなぁ」
城の住人のひとりがびくびく恐る恐る子猫に触れたところ、子猫は満足したように消えたのだと、そう聞いたのだと笑ってみせる。
そうすれば、と幸次は楽しそうに目を輝かせた。城の人々を怖がらせる子猫たちがぜんぶ消えてしまえば、
「最終的にはみんなで宴が出来るよ」
「そうね、……」
納得したように頷く絢に、幸次はがんばろうねぇと言い置いて『猫又さま』のもとへと歩を向けた。子猫たちは『猫又さま』のもふもふの毛から生まれてきているように見える。近い方がきっと、子猫たちをたくさん捕まえられる。
(本音を言うと)
小さい方より大きい方を撫でてみたい。
(もふったり埋もれたりしたいところだけど……)
今はがまん。
「お邪魔します」
石垣の前の船着き場に立ち、修は見仰ぐほどに巨大な眠り猫に向けて挨拶をした。
「寝てるよ?」
「まあ、寝てるけどね」
くすりと笑うあおいに小さく笑い返し、郭に続く石段を登り始める。篝火があちらこちらに焚かれた石段は、月の光もあって危なげなく明るい。
「こういうのは、気持ちだよ気持ち」
そっか、と頷いて、あおいはぺこりとお辞儀した。
「今晩は、猫さん」
「近くで見るとますます大きいねぇー!」
石段を元気いっぱいに駆け上がって行きながら、瑠樹が歓声をあげる。そうしてから、ちょっと困ったように瞬きをする。大きい猫さんがいるところには、確か大きな桜があった。去年は舞っていた花吹雪も、だから今年はひとひらもない。
「でもこのままだとお城の人達がお花見できないんだねぇ……」
ぎゅっと拳を握り、瑠樹は船着き場を振り返る。舟の番をする船頭さんに手を振る。
「何とかできるよう頑張るよぉ!」
お頼み申します、と手を振り返す船頭さんの隣、もう一隻の舟が辿り着いた。女船頭に案内されて八夜城入口に立ったのは、恵御納一家四人。
「大きな白猫さんに、……ふわふわの子猫さん達……」
見上げる視界の中、城の代わりに現れた白猫を見つめ、更に目ざとく白猫の周りにふわふわ舞う子猫たちをも見つけ、夏朝が目を輝かせる。
大きな白猫も小さな白猫も、どちらも去年は見なかったように記憶しているけれど、
(でも、懐かしいような……?)
胸をふわりと過る懐かしさの正体が掴めず、ちらりと内心に首を捻るも、それはそれとして、
「可愛い……!」
「確かに猫は可愛いが……」
双子の妹につられて目を輝かせてしまいそうになるのを、夏夜はぐっと抑えた。
「明らかに何か起きてる!」
見た目はほんわりしているけれど、早急に解決すべき案件のようにも感じる。
(悲しい結末に、してはいけない)
うっかり和んでしまいそうな心を引き締める夏夜の後ろ、
「旦那様、猫ちゃん猫ちゃん!」
「うむ、猫だな……」
可愛いわ~、といつも通りにふんわりした母の声と応じる父の声が聞こえた。警戒しようとしているのは自分だけだろうかと思いかける夏夜の背に、父の掌が触れる。
「城の住民達が心配だ」
「そうね、お城の人達はどうしてるかしら……?」
視界に入って来た両親の瞳に灯る真摯な光を確かめ、夏夜は小さく微笑んだ。
「僕は、『姫様』が気になる」
舟上で、天守閣に籠ってしまったという『姫様』のことを聞いている。ひとりきりで閉じ籠もる女の子の手助けをしてやりたかった。
「天守閣に行ってみる」
「私も城の探索に行ってくる。すまないが、持ってきた物を頼む」
飲食物と日本酒を妻に預け、夏夜と久隆は一足先に城内を目指すことにする。
「気を付けて……!」
「旦那様、夏夜ちゃん、気を付けてね~!」
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シルバーシナリオ(150)
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3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
1000人
参加キャラクター数
65人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年01月23日
参加申し込みの期限
2021年01月30日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年01月30日 11時00分
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