this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
【お花見】花の盛りの寝子島で
<< もどる
1
…
22
23
24
25
26
…
42
つぎへ >>
寝子島神社へ続く石段を登る。あちらこちらに咲いた桜の花びらがひとひらふたひら、ひらひらと石段の上で踊っている。
「今日も桜がきれいだねっ」
数段先の踊り場にまで駆け上がった妹の奏子が満面の笑みで振り返った。
「……そうね」
応じてから、やや素っ気ない返事だっただろうかと思う。
「お母さんもお花見楽しんでるかなあ」
「……そうね」
土曜日は一緒に寝子ヶ浜海浜公園のお花見イベントに出かけた母は、今日は職場の花見に参加するらしい。お母さんばっかりずるい、と拗ねる妹をなだめるための、寝子島神社の桜まつりだ。
出かけは不貞腐れていた妹は、今はすっかり上機嫌で石段を登っている。この前のひな祭りのときのように、また境内の屋台で綿飴だなんだと買わされるのだろうか。
無邪気にはしゃぐ妹の背中を追いかけながら、
森篠 琳子
は黒い瞳を伏せる。妹と同じ九つだった頃、自分はどんな子どもだっただろう。
(……思い出せない)
でも、今の妹と同じように、将来について思い煩うことなんてしていなかったように思う。
(大人になったってこと、なの?)
少なくとも、来月には社会人となる。
就職した途端に始まる新人研修だの何だののスケジュールを思い浮かべ、琳子は小さな息を吐く。こうしてのんびりできるのも、あと少しの間だけ。
──琳子ちゃん
不意に、耳の奥で声が聞こえた。昨日聞いた、あのひとの声。
(……なぜ)
思いがけず脳裏を過った男の顔は、けれどなかなか消えてくれなかった。
(秋沢、さん)
確かに昨日、家族で行った公園で彼と──秋沢覚と出会いはした。関西弁で喋る妙に人懐っこい彼と、カラオケ大会でデュエットまでした。でも、それだけだ。時々、偶然に顔を合わせるだけのひと。出会う度に色んな話をしては、どこまでも明るく笑うひと。
(マタ大を卒業して就職するって言ってたっけ)
となれば、寝子島から離れてどこかへ行ってしまうのだろう。
(昨日がきっと、)
彼と会う最後。
そう思った途端、胸がきゅっと詰まった。
(……?)
胸の奥、小さな針で刺されたような痛みがある。ちりちりと冷たい熱を帯びて広がる痛みに、思わず何度も瞬く。
(なんなの)
知らない感覚に戸惑う。そうするうちにも、胸の奥の痛みは寂寥感となってせり上がって来た。
(なぜ……?)
分からないまま、胸が詰まるまま、立ち止まる。
頭上に咲き乱れる桜も、ふわふわと流れる優しい春風も、心をなだめるに至らない。だって寂しい。何故だか分からないけれど、とても寂しい。何度か会ったことのあるだけの男のひとと会えなくなるかもしれないということが、どうしてこんなにも胸を締め付ける?
途方に暮れる琳子の耳に、
「琳子ちゃん?」
聞きたいと思っていたひとの声が届いた。どうしようもなくのんきで、どこまでも明るいその声音。
黒髪を春風に揺らして振り返る琳子の瞳に映ったのは、
「昨日ぶりや」
「秋沢さん……」
もう見ることはないと思っていた、覚の人懐っこい笑顔。
「まだ寝子島にいたんですか?」
「うわ、ヒドイ?!」
くるりと目を丸めてはケラケラと笑い、覚は軽い足取りで隣に立った。
「もう本土に帰ったものとばかり」
「つれへんなあ、昨日デュエットした仲やんか」
目を逸らそうとする視界に入り込んできては笑うそのひとは、やっぱりうっとうしくて、やっぱりひどく嬉しかった。
「お邪魔虫は退散するねー!」
踊り場で様子を窺っていた妹が華やいだ声で囃し立て、先に行っているねと石段を一層勢いよく駆けのぼって行った。どうやら気を利かせたつもりらしい。
「お邪魔虫て」
「……気にしないでください」
並んで歩き出しながら、琳子は自分の胸をそっと抑えた。ついさっきまで感じていた寂しさが、もうどこかに消えている。
今心を満たしているのは、未だ理由の分からぬ安らぎばかり。
「今の見た?!」
不意に腕を掴まれ興奮した口調で叫ばれ、
水上 桜
は切り揃えた前髪の下の黒い目をきょとんと瞠った。
「運命の再会って感じだったよね? ね?!」
素敵、と目を輝かせる友人、有沢茉奈の視線を追ってみれば、肩を並べて石段を登って行く男女の背中が見えた。
「そうなの?」
「そうなの!」
見てなかった、と素直に言えば、茉奈はヤレヤレと大袈裟に肩をすくめた。
「だってお花見だし」
「ちーがーうー!」
やる気がない、と叱られ、桜も肩をすくめてみせる。やる気は確かにない。さらさらない。とはいえ、友人は昨日に引き続き闘志に満ち満ちている。
「寝子島神社の恋愛の神様におすがりして、彼氏ゲットよっ!」
「うん、そうね、そうよね」
息巻く友人をどうどうとなだめつつ、桜は昨日付き合わされた桜川沿いでのあれこれを思い出す。彼氏が欲しいあまりにお花見にかこつけた逆ナンパに精を出し、結局は見事に空振りに終わった昨日。落ち込む友人を慰めるのに大変だった昨日。
思い起こせば、夏休みも大晦日も、お正月も同じ調子だったような気がする。
(もう、これって昨日と同じじゃない)
昨日と同じ結果が見えた気がして、桜は友人に見つからないよう息を吐いた。その癖、性懲りもなく付き合わされる羽目になっている。付き合いがいいと言うべきか、断れないと言うべきか。
(なんというか、もうここまでくると意地になってるんじゃないの)
周囲を鵜の目鷹の目で見つめる友人に、けれどそのことはおくびにも出さず、今日も今日でお花見にかこつけた逆ナンパの付き添い兼暴走気味な友人のブレーキ役を務める。
「桜、桜っ」
「はいはい」
「あっちの男子どう思う?」
「……彼女と待ち合わせじゃないかな」
ムムムと眉を寄せる茉奈を、桜はなるべく優しい口調で諭そうとする。
「そんなにガツガツしてたら逃げちゃうよ……」
「逃げたら追う! 恋愛の基本のキ!」
「やめよう、一旦落ち着こう」
「ワタシは至って平静デス」
狩人の顔をしている友人を抑えるべくとりあえず手を繋ぎ、境内の屋台で買ったペットボトルのあったかいミルクティーを与える。ついでに桜ミルク味のポップコーンも買ってきて、カレシカレシと呻く口に放り込む。
「……茉奈はかわいいんだし、フツウにしてればそれで十分なんだから」
懇々と説得するも、聞き入れてくれるかどうかは甚だ怪しい。
それにしても、と桜は友人を見遣る。ここまで恋なんかに夢中になれるのは、ある意味で羨ましい。
「桜は欲しくないの」
「え?」
「彼氏」
羨ましい、と思った内心を友人に読まれた気がして、桜は瞬く。
「うーん……」
「お、コイバナ? 話してみよう話してみよう」
言葉に詰まる桜をどう見たか、茉奈はぐいと手を引いた。手近なベンチに並んで座り、さあ話せとペットボトルをマイク代わりに渡されるに至る。
(まあ……)
逆ナンパに延々付き合わされるよりは、と桜は頭上の薄紅を仰いだ。
「正直に言うと、恋とかよく分からないというか、……夢中になれないというか」
「え、そうなの?」
「中二の夏休みに終わった初恋も、そのせい」
いえね、と桜は言い訳じみて目を伏せる。元カレは決して悪い奴ではなかった。クラスメイトで、以前から気になってて、両想いだと判ったときは嬉しかった。それは間違いない。
(でもね、でもね、……)
初デートを思い出すと未だに重たい溜息が零れてしまう。ついゲンナリと肩を落としてしまう。
だって初めてのデートだ。寝子島には水族館だって大観覧車だってショッピングモールだってある。ロマンチックな場所だってたくさんある。なのに、よりによって人生初めてのデートは寄生虫館だった。目を輝かせた元彼に延々マニアックな話を聞かされた。寄生虫の。
今は寝子高芸術科に通っている元彼をほんのちょっぴり慮って、寄生虫好きのあたりは口ごもって誤魔化しておく。寄生虫アートを創ると張り切っていた彼のことだから、そのあたりの配慮は無駄かもしれないけれど。
口を重くする桜をどう思ったのか、友人は輝く笑顔を見せてくれた。
「大丈夫、桜もカワイイんだからきっともっと素敵な彼氏が見つかるよ!」
「……いや、だから」
「さあ、張り切ってゴー! その前にお参りして行こうね!」
拳を握り締めた友人に引きずられるようにして歩き出しつつ、桜は心の中で叫ぶ。
(もう、やっぱり昨日と同じじゃない……!)
<< もどる
1
…
22
23
24
25
26
…
42
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
【お花見】花の盛りの寝子島で
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
1000人
参加キャラクター数
65人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年01月23日
参加申し込みの期限
2021年01月30日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年01月30日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!