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寝子島高校
【お花見】花の盛りの寝子島で
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満室で確保できなかった個室の並ぶ車両をせめても通り掛けに見学しつつ、水樹は楽し気に瞳を瞠る。乗車してすぐ動き始めはしたけれど、いつもより速度の遅い車内の揺れは少なく歩きやすい。
列車が動き出すなり早々に個室で酒盛りを始めたらしい大人たちの乾杯の声や、造りのいい卓を挟んだボックスでちょっと贅沢しているらしい女子二人組に、車両の一角を囲って桜の花びらをモチーフにした玩具を置いたキッズスペースで遊ぶ子どもたち。お花見列車に乗り込んでいる人たちはみんながみんな朗らかで楽し気で、水樹もますます楽しい気分になってくる。
「色々あるねー」
「確かに特別列車って感じよね」
腕を絡めてきた友美に頷き、次の車両への扉を開ける。
桜の造花で飾り立てられた次の車両は、全ての座席が背もたれを通路に向けて窓向きに設置されていた。ちらほらと見える自由席の一角の四人分をなんとか確保する。
並んで座れば、窓の外を流れる桜景色が視界いっぱいを埋めた。
「綺麗……」
思わず呟き、傍らのヒューの肩に肩を寄せる。腕に腕を絡める。ごく自然に受け止めて手を繋いでくれる存在が、とてもとても嬉しかった。
「お熱いことで」
水樹の脇に座っていた友美がふたりの様子にまた突っ込み、水樹とヒューはまた顔を見合わせて笑う。笑って、次の瞬間にはふたり同時に顔を赤らめる。
「ほんとにもー」
「ほんとにもー」
唇を尖らせて拗ねたような顔をする友美の口ぶりを真似つつ、水樹は友美の腕にも腕を絡めた。両手に花ね、とはしゃいでみせてから、終点の星ヶ丘で降りてから散策する場所を提案してみる。
「星ヶ丘の豪華なお家拝見とかね」
「街道沿いには屋台も出てるみたいよー」
「歩き疲れたらカフェで一休みしよう」
「何か面白いものがあれば記念撮影しよー」
このあとの予定を次々に埋めてはくすくすと笑みかわす水樹と友美を眺めていれば、ヒューの口元は自然と笑んだ。
何気なく視線を伸ばせば、友美の隣の大地も優しい笑顔をしている。似たような気持ちなのかもしれないと思いつつ、窓の外へと視線を移す。
「夕方には帰っちゃうのね」
「また泊まりに来てよ」
「うん、また泊めてね」
「もちろん」
女子ふたりの会話がふと途切れた。沈黙を苦にしない様子で、水樹がことんと頭を寄せてくる。繋いだ手に力を籠めれば、すぐ傍らの長い睫毛が小さく震えた。
(今日が終われば)
恋人の手の温かさと力の強さを愛しく感じながら、水樹は楽しかった二日間の終わりが近づいていることを憂う。
(またしばらくヒューと会えない)
それが悲しい。
誰かが窓を開いたらしい。
不意に大きくなって車内に響く車輪の音と共、ふわり、温かな春風が流れ込んでくる。
風と一緒に紛れ込んで来た花びらが、ふわふわと車内を踊る。
窓に向いた座席に掛けて思わず目で追う鼻先に、ふとレモンとゼラニウムの香が届いた。踏み出す一歩をつい怖じてしまう背中を押してくれるような爽やかで前向きな香りに、
稲積 柚春
は藍色の瞳を僅かに細める。右の手首につけたアロマアクセサリーに左の指でそっと触れる。
(
ウォルター・B
先生が好きな、かおり)
寝子高校の『チョークの先生』。
ひょんなきっかけで運命の出逢いについて聞いたときに、
──え、あるんじゃないの?
あって当然とばかりあっけらかんと言い放った先生。
その先生が好きな香を選んでアロマアクセサリーに詰めてきたのは、
(先生もどこかでお花見しているかな)
こんな晴れた日曜日には、あの先生はきっと寝子島のどこかでお花見をしているだろうと思ったからだ。
(会えるかな)
運命なんて幻想的な言葉、本当は否定されると思っていた。その言葉を肯定してくれた『先生』には、何の約束もしていなくても会えるかもしれないと──何故だか、そう思った。だからこその、レモンの香り。
(それから)
鞄の端をほんの少し捲り、中に隠れているカプセルギアのворに車窓からの桜を見せてみる。
(一緒にお花見をしよう、вор)
窓辺に備え付けの小さな卓に、駅で買った春限定柄のペットボトルの紅茶を置き、隣にворを座らせる。
(ぬい活? って言うんだっけ)
小さく思いながら、上着のポケットから取り出したスマートフォンで写真を撮ってみる。お花見電車を降りたら、星ヶ丘駅からシーサイドタウンの家まで歩いて帰るついでに屋台巡りをしてみよう。道々にворと桜の写真を撮ろう。
(ворはぬいぐるみじゃないけどね)
精悍な盗賊の風貌したカプセルギアを指先にちょっとつついてみる。
(……ふしぎ)
この島に引っ越してきて、半年が過ぎた。
転勤族も転勤族な親の都合に振り回され過ぎて、ここ数年は半年も過ぎれば次はどこへ行くのかなと楽しみ半分に思うようになっていた。
もう半分は、仲良くなった子たちとお別れしなければならない寂しさだ。また忘れられちゃうのかなという悲しさだ。
特に、年度の切り替わりでの引っ越しは多かった。『丁度良いから』と春一番の早さで慣れ始めた町を離れることもあった柚春にとって、
(クラスメイトとお花見とか)
昨日の土曜日、この島でできた『友達』としたお花見は初めての経験だった。
(ともだち……)
友達が出来たことを、いちばんに伝えたいひとがいる。
「あれ、稲積だねぇ」
その伝えたいひとの白皙が、すぐ傍らにひょこんと覗いた。
「こんにちは」
「えっ」
「お花見?」
全座席が窓を向いているために、近づいてきていた先生に気づけておらず、だからこそ突然の邂逅に柚春は言葉を失う。
「隣、いいかなぁ? 空いてる?」
「あっ、はい、どうぞ」
いつもと同じ軽やかな笑顔を向けてくれる先生に、柚春は何度も頷き返すしかできない。
友達が出来たんだよって報告したかった。
新年度の話もしたかった。
(それから、……)
「それ、いい匂いがするねぇ」
ふわりとした口調で言われ、柚春はドキリとする。ドキリとした胸を不思議に思いながら、手首のアロマアクセサリーを先生に示して笑って見せる。
「先生」
「んー?」
「先生は春から何年生の担当?」
「うーん、……内緒」
車窓の桜を眺めて小さく笑うばかりの先生に、柚春は今度こそ話したいと思っていたことを口にする。話しながら、担任でもない先生にこんなにたくさん気軽に話せることが不思議な気持ちになってくる。
──君のことを見ていても、不思議な気分になるんだけどねぇ
いつかにもらった先生からの言葉が不意に胸を過って、柚春はますます不思議な気持ちになる。
(不思議って言葉はずるい)
求める気持ちの全部を包んでいるようで、含まれていない気持ちがきっとあるはずなのだ。
それなのに、
手を繋いで導いてくれるかもしれないと信じたくなる。このひとなら、と思ってしまいたくなる。
このひとなら、ずっと忘れずにいてくれるのかもしれない──
(そのまま素直に信じたらダメだって、思うのに……)
先生の言葉は、なぜだか特別に聞こえてしまう。
胸に渦巻く不思議な気持ちを隠して、隣の先生の端正な横顔を盗み見る。
(先生も)
私と同じ気持ちなのかな──そう、考えてみたりする。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
1000人
参加キャラクター数
65人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年01月23日
参加申し込みの期限
2021年01月30日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年01月30日 11時00分
参加キャラクター一覧
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