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【お花見】花の盛りの寝子島で
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傍らにあったはずの温もりがない。
それどころか、ふわふわと降っていた暖かな日差しもない。
身体を包み込むのは冷たいような温いような碧い水で、眼前に広がるのは木の根が蔓延る白い石の町。
(これも神魂の仕業か……)
切れ長の緋色の瞳を鋭く細め、
望月 神無
は静かに状況把握に努める。
息は出来る。
周囲に危害を加えて来そうなものの姿はない。
(日月先生はどこだ?)
共に桜を見ていたはずの
日月 透
の姿がないことが、唯一胸を騒がせた。
人気の無い石の町を見回した視界に、ひらひらと過るは薄紅の花弁。
まるで春風に踊るかの如く舞い散るそれを掌に受け止め、頭上を仰ぐ。
遥か遠くに波のかたちして揺れる水面を覆い尽くす勢いで、町の天を薄紅の桜が覆い尽くしていた。尽きることを知らぬ勢いで、花吹雪が舞う。
「ん、……おう」
その花吹雪の中から、熊が現れた。ひらりと気楽に手を振る熊に目を凝らす。熊の毛皮を纏った男子高校生の姿を確かめ、神無はちらりと瞬いた。どうやら同じく神魂現象に巻き込まれた人物らしい。
どこかで見かけたことがあるようなないような。
お互いに似たような感想を抱いているとも知らず、
「ん、……よう」
似たような挨拶を交わして後、神無は町に迷い込んだ
邪衣 士
に連れを見なかったか尋ねてみる。
「ああ、そういえば」
向こうの広場っぽいところで見たな、と士が口にした途端、神無は足早に歩きだした。ありがとう、と短く手を振ることだけは忘れず、けれど振り返ることはなく透のもとを目指す。
路を這う桜の根を跨ぎ越し、ひらひらと泳ぐ小魚を追い越す。花吹雪の細い路地を抜けたその先で、
「神無さん」
花咲く町に見向きもせず、真っすぐにこちらへと向かってくる透の声を聞いた。
「日月先生」
見知らぬ場所で無事に出会えたことに安堵し、透のもとへと歩み寄った途端、手を取られた。思わず透の顔を見つめる。
「……いや、あの、」
神無の視線を真っ向から受け止めてから、透はうっかり繋いでしまった神無の細い手を見下ろして狼狽えた。思わずそっぽを向くかたちで視線を逸らす。
「水の中は足場が安定しないですし、はぐれないようにというか安全の為に、……」
手を繋いでしまった。
人目がありそうなところで、三十を超えた大の男が、よりにもよって女子高生の手を握ってしまった。
(どうなのか)
ふと冷静になって再度狼狽え、もごもご言いつついかにも言い訳じみた理由だと自分でも思う。
(いやどうなのかも何も、)
自分の咄嗟の行動に狼狽えて困惑してどうしたものかと途方に暮れ始めたとき、それでも繋いだままだった神無の手が優しく握り返してきて、透はまた少し動揺した。それでも、
「そうですね、足元少し不安定だから手を握っていてください」
耳朶に触れる神無の少し笑みを帯びた声に落ち着きを取り戻す。
(気を、遣わせてしまっただろうか)
神無の優しさに救われた気がして、そっと深呼吸をひとつ。
「ええと、折角なのでここでお花見しませんか?」
もとより、卒然として放り込まれた水中の環境にはあまり驚いてはいない。
(この島ですから)
多少の不思議には慣れている。
危険がないのであれば、のんびりと楽しむのも良いだろう。
「そうですね」
頷いてくれる神無に静かに笑み返し、透は目前を過った桜の花びらに手を伸ばした。ひょいと掴み取り、その掌をそっと開く。掌の中で消えもせずに揺れる花びらは、
「本物の桜、のようですね」
すぐ隣で同じようにまじまじと花びらを見つめてくる神無の横顔の近さに平気な振りを装いつつ、小さく呟く。
「本物の桜も咲いてるなんて驚きですね」
水中で息ができるってのも十分不思議だが、と神無は頭上に向けて大きな息を吐いて見せた。こぽん、と浮かび上がって遠い水面へと昇って行く銀色の泡に、ふたりは揃って首を捻る。仕組みはまったく不明だが、神魂現象というものは概ねが謎で不可思議で理解不能だ。
掌の桜を水中に放つ。他の花びらたちと舞い踊る桜を眺め、頭上に幾千幾万と咲き誇る薄紅の桜を眺め、ふたりは何処へ向かうともなし歩き始めた。
手は、繋いだまま。
「神無さんもあと一年で高校卒業ですね」
「そうですね、俺も来年で卒業です」
透はふと思い出して口にする。そういえば、将来についての話はしたことがなかった。
「進路について、良ければ聞かせて貰って良いですか?」
問い質すわけでもなく、そっと訊いてみれば、神無は少し迷うようなまなざしで桜を仰いだ。父親からは大学に行くように言われている。行くべき大学まで指定されている。
そこまで小さく口にして、首を横に振る。
「……自分自身はまだ迷ってます」
でも、と神無は真っすぐな瞳をもたげた。
「今年の秋までには決めたいなと考えてはいます」
本当は、視野に入れている未来がある。
(動物看護士)
旧市街で動物病院の若院長を務める透の手伝いも出来るようにとの考えではあるけれど、
(……動機が不純だし)
半端な覚悟は透にも迷惑を掛けてしまう。だから、まだ結論は出さない。もっときちんと考えて、将来を見据えてからだ。
そんなことを考えながら、隣を歩く透を見遣る。
「……理系科目と英語位ならお手伝いできると思うんですが」
真剣な表情で思案してくれている、普段はとても忙しい動物病院の若先生の手をぎゅっと握る。目の下に隈を作ってしまうくらいに慢性的な睡眠不足のくせに、こちらに手を伸べようとしてくれることが何より嬉しかった。
優しい碧の世界に、薄紅の花が降る。
ひらひらと際限なく降ってはふとした水の流れに乗って再び宙に舞う桜を、ふたりは無言のままに見つめる。
「神無さん」
不意に名を呼ばれ、神無は瞬いた。
「何ですか?」
「……ただ、呼んでみただけです」
振り返って得た、はにかんだような答えに神無は瞬きをする。すぐ隣にある翠の瞳が笑うような泣き出してしまいそうな切ない色を帯びて、不意に繋いだ手を引き寄せられた。痩せているのにしっかりとした肩に顎が触れて、抱き寄せられたのだと思い至って、途端に頬に熱が昇った。
(ただ、呼びたくなった、……だけなのに)
神無の身体をきつく抱きしめ、透は息を零す。
こみあげてきた愛おしさに耐えられなくなった。名前を呼ぶだけでは物足りなくなってしまった。
「……透さん」
そっと、背中に伸びてきた腕が、抱きしめ返してくれる力が、ひどく胸を締め付けた。名前を呼んでくれる彼女の声が、腕の中に閉じ込めた温もりがひどく心地よくて、このまま水の中で溶けて混ざり合っていくような錯覚さえ覚えた。
(いけない)
そう思う。そう思うのに、
(もう少しだけ、)
もう少しだけ。そうやって貪欲に求めてしまう。彼女が応じてくれると思ってしまうがゆえに、求め続けてしまう。
(私は、本当に浅ましい)
年上の男の羞恥に構わず、神無は男の背に回す腕に力を籠めた。
共に過ごせば過ごすほど、強く想う。
(やっぱり、俺はこの人の傍に居たい)
昔は一人でだって生きていけると思っていた。それなのにこのひとと出逢ってしまってから、想いは募る一方だ。
「狡いな……」
自分ばかりが求めてしまっているような気がして、思わず男に聞こえないように呟く。そうして、密やかに願う。
この穏やかな時間が、少しでも長く続くように──
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
1000人
参加キャラクター数
65人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年01月23日
参加申し込みの期限
2021年01月30日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年01月30日 11時00分
参加キャラクター一覧
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