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【お花見】花の盛りの寝子島で
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「これもデートみたいなものだよねぇ~」
春風を纏って青空を流れてきた桜の花びらを掌に受け止め、
オルカ・ヴィヴァルディ
が笑う。
空よりも深い青の色した、少しだけ高い位置にあるその瞳を横目に見遣り、
「お前の家で練習を──」
言おうとした
獅子目 悠月
の唇が止まった。咄嗟に引き結んだ唇に触れる、僅かに冷たいようなナニカ。透明だった空気を一面の碧に染めるナニカ。
突如として全身を包み込んだ碧い水の世界に、けれど悠月は小さく瞬いたのみ。
突然の青は、これまでにも何度か経験していた。優しく深いその青の世界に、危害を加えてくるものはほとんどないと知っていて、悠月は微かに甘く息さえも叶う水を胸に満たす。
(この、青)
澄み切っていながらも底知れぬほどに深い青の色は、つい先ほど傍らに見た男の瞳の色だ。だから、
(……包まれているようだ)
ここに来るたびに、そう思ってしまう。
今も傍らに立つその男は、卒然と迷い込んだはずの水底にあって、泰然としたまなざしを周囲に向けている。
──ああ、いつものことか
今にもヘラっと笑って言ってのけそうな雰囲気を見て取り、小さく安堵する。
(ああ、でも)
そう感じると同時、今回は別の風景も胸に浮かんだ。
それはたぶん、大抵ひとりのときに訪れる青の世界で、今日はこの男が隣に居るからだ。
(……あの、海)
いつかに放り込まれた、絵本の中の風景。暴風雨の海に遊ぶ最中に見つけた、蒼く昏い波間に沈んでゆく男──あのとき、己は『人魚姫』だった。そうして『王子』は、傍らに立つ男とよく似た男だった。
悪魔によってもたらされたその『悲恋の物語』を幸せに終わらせるため、『人魚姫』は『人魚姫』のまま、男の愛を得るために歌った。
──早く、おちてこい
あの時の熱情までも思い出し、悠月は青の世界に瞬く。
(今、隣にいるのはよく似た誰かじゃない)
あの物語で『己』だった『人魚姫』ではなく、
(俺の、……愛しい男だ)
落ちたのは、どちらだったのだろう。
青の水底に立ち尽くし、悠月は幾度も瞬きを繰り返す。
「ちょ~っと予定と違うけど、これもお花見ってことでいいよねぇ~」
透き通って青い水底の先にふわりと薄紅を広げる桜と、桜に覆われた白い石の町を指し示し、オルカは悠月を見つめる。悠月が戸惑っていなければ、このままデートをしてもいいと企みつつ、榛色の瞳から感情を読み取ろうとする。
(マイナスの感情は無さそうだ)
その代わり、遠い水面の光がゆらり、眩しく揺れた。その光に宿るはまるで『誰か』を想うような、
(アツい、色)
悠月の瞳の温度に、オルカは海色の瞳を細める。これは面白くない。だって今は、己が傍にいる。だから、
(悠月にはちゃ~んと俺の事を見てもらわなくちゃ)
唇に小さく笑みを刻み、オルカは悠月の正面に回り込んだ。真っ向からその瞳を覗き込むことで、強引に視界に入り込む。美しい榛の瞳を占領するほどに己の顔を映しこんでやる。
「ねぇ悠月、今何考えてた?」
「……別に、何でもない」
一瞬交錯した瞳は、けれどすぐに逸らされた。気恥ずかしいような感情なのか、白い頬に朱が差す。かたちの良い唇が気難しげに引き結ばれる。
「Non è vero」
頑なにも取れる悠月の態度を、けれどオルカは軽く笑い飛ばした。そんな表情には騙されないとばかり、つぐんだ口に唇を寄せる。軽く啄む。
冷たい唇に唇を触れさせた途端、止められなくなった。見惚れるほど長い赤銅の睫毛に縁取られた瞳に、滑らかな白い頬に、細く筋の通った鼻梁に、貝殻のかたちした耳に、キスの雨を降らせる。もちろん、薄紅に彩られた魅力的な唇にも。何度も何度も。
何度かしゃべろうとする唇を唇で塞いで遮ってしまったのは、
(ゴアイキョウ)
くすくす笑いながらの口づけに、悠月の頬が水底の世界に咲く桜よりもなお赤くなってゆく。それもたまらなく愛らしくて、オルカは熱を帯び始める唇を熱い頬にまた寄せた。
「っ、……」
話そうとする唇に幾度目かのキスを受けて、悠月は己の胸に添うオルカの胸を押しのけようとする。けれどその手もオルカの手に掴まれた。指を指で絡めとられ、頬にますます熱が上る。
考え込んでいた理由を話すまでの熱烈な『イヤガラセ』であろうとは思う。そうであっても、
(……嫌ではない、が)
幾度話そうとしても唇を唇で塞がれる。赤くなるばかりの頬にも耳にも、キスの雨。
(しかしやはりこれはイヤガラセだろう!)
心の中に思うものの、抗おうとする力のすべては優しいキスに奪われてしまう。
桜咲く水底の世界で海の色した瞳に己のすべてを映し取られ、悠月は深く吐息を零した。震える睫毛を見て取り、オルカがようやくほんの少し離れてくれる。言い訳してごらんと再度瞳を覗き込まれ、悠月は観念して思っていたことを白状する。とはいえ、言葉にするのは最後だけ。
「お前と一緒が、」
「うん」
「隣に居るのがお前なことが、……嬉しかったんだ」
それだけ分かれば十分だろうと思った。
それだけ伝えればすべて伝わると知っていた。
「Evviva!」
オルカの瞳が真昼の海よりきらきら輝いて、だからやはり伝わったのだと悠月は悟る。途端に照れ臭くなった。咄嗟に伏せようとした瞳に、オルカの瞳が割り込んで来る。もう一度、太陽よりも熱いキス。
オルカの熱を持て余してよろけてしまえば、ひどく優しく手を握られた。エスコートするような優雅な動きに合わせて歩を進め、水底に佇む白い遺跡の町へと入る。
優しい雨のように降り注ぐ薄紅の花びらを仰げば、頭上を覆い尽くして桜の梢。梢に舞うは、鳥の代わりにさまざまの色した魚たち。
歩幅を合わせるまでもなく踏み出す一歩一歩のリズムが重なって、悠月は知らず唇をふわり緩める。
(悪くない)
青の世界を見つめ、傍らを歩く男の青の瞳を見つめる。唇から零れた泡が銀色に光りながらゆらゆらと水面に昇るよりも早く、気持ちが駆けあがってゆく。
オルカの色を通して見る桜は、
(何時もよりもっと綺麗だ)
そう実感した途端、胸に湧き上がる衝動をも自覚する。それを傍らの男に伝えようか伝えまいか思案しかけたとき、──歌が、聞こえた。
胸の中に湧いた見えないもののかたちを丁寧になぞるような、目前に広がる幻のような水中花の景色を写し取ったような、その上で、こちらを誘うような。
オルカを見遣る。
海色の瞳に舞い踊る桜を映し、悠月を映し、オルカは笑った。
(だって、悠月)
綺麗な光景をいっぱいに浴びて、そうして息が出来て、声が出せる。ならば、
(ふたりですることなんてひとつしかないでしょ)
だから歌いだした。見つめた悠月と目が合って、歌を重ねてくる悠月を瞳に捕らえて、オルカは笑みを深くする。悠月の声が嬉しそうな色を帯びていることが、今は何より胸を弾ませた。
予定していたステージの練習は出来そうにない。思い描いていた青空の下の桜のデートとも違う。けれど、
(それでも今日は、いい一日だ!)
青と薄紅の世界を、ふたりの声が伸びやかに軽やかに、手を取り合って舞い踊るように広がって行く。
(ああ……)
青の世界に踊る桜のように歌い上げつつ、悠月は花のように笑う。傍らに立つ男は、どうしてこんなにも己を喜ばせるのが上手いのだろう。
答えなどもとより知っている気がして、それがとても気恥ずかしくて、悠月はオルカの声に声を重ね合わせる。ずっと絡めたままの指に力を籠める。
ふたりで見上げる青の世界はひどく美しくて、だから思う。
(しばらく)
もうしばらくは、この景色と歌を楽しんでもいいだろう──
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
1000人
参加キャラクター数
65人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年01月23日
参加申し込みの期限
2021年01月30日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年01月30日 11時00分
参加キャラクター一覧
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