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【お花見】花の盛りの寝子島で
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全身がひんやりしている。ぎくりと動かした指先が、どれだけ慣れ親しんでも奥底では恐怖の対象でもある水の抵抗を受ける。
(……水……いや、)
ゆらゆらと沈んで行きながら見えたのは、遥か遠くで波の形して揺れる水面。
(海の中か?)
一瞬、息の詰まる感覚を覚えた。水の中にあって、ひりつくような喉の渇きさえ感じる。
眩暈に似て襲い掛かって来る恐怖と混乱を、瞼を固く閉ざすことでいなそうとする。息を止めたまま歯を固く食いしばって、こぽん、と妙に長閑な泡の弾ける音を耳にした。それと同時、
「先輩、」
聞いたことのある声も。
「息は出来る、問題ない」
蒼く沈む水底の方から聞こえた
邪衣 士
の声を瞬時に信じて、
志波 武道
は思い切り胸を膨らませた。肺に侵入してくるものは空気ではなく海水のようなものではあったけれど、それでも確かに、息は出来る。
(神魂だな、うん)
己を取り巻く環境を理解して、水を掻いて蹴って、体勢を整える。声が聞こえた水底に目を凝らすも、見えるのは白砂と黒い岩の景色ばかり。
「ありがとー、士くーん!」
それでも助けてくれた声の主に届くと信じて、武道は元気いっぱいの声で礼を言ってぶんぶん手を振った。
姿も見えず、どこに居るのかも分からない後輩に振っていた手が不意に力を失くして水中に漂う。
(あー、)
傍に誰も居なくなった途端に深く沈んで落ちてしまいそうになる心をどうにかしたくて、眼鏡の奥の瞳を周囲に彷徨わせる。
(止まったらヤッバーイ!)
殊更に明るい口調で胸に呟いて己を鼓舞する瞳に、白い町が見えた。水中にあって薄紅の花にも彩られたそこは、間違いなく神魂の影響によるもの。
(だれかいますよーに!)
力の限りに水を掻いて泳ぎ始めようとして、
「……ん?」
視界の端、白い砂の上で蒼く光る石を見つけた。
(これは……)
それが何なのかは分からないまま、心が惹かれるままに拾い上げる。宝物を隠すようにそっとポケットに納め、武道は今度こそ町を目指して泳ぎ始めた。
(止まらない、止まってはいけない)
胸に呟く。
(誰か、……誰か──)
呟き続ける。
砂漠にも見える砂と岩の景色の中を泳ぎ、無機質にも見える石の町の傍まで辿り着いて、
「あ、」
武道は安堵の息と共に笑った。町外れの桜の樹の下、不思議そうに周囲を見回しているのは、
「陽太くんじゃなーい!」
「あ! 武道君がいるっ」
──卒業式に顔を合わせたきりだった、親友。
「卒業式ぶりげーんき?」
「卒業式以来だねぃ、元気だった?」
水中を泳いで来た勢いのままに白砂を舞い上げる武道と手も取り合わんばかりに顔を見合わせ、
呉井 陽太
は細い瞳をますます細くする。元気だよぅ、と笑ってから、小さく頭を掻く。
「いやぁ、こっちは一人暮らし始めてバタバタしてて……」
「一人暮らし! いいねぇ!」
「いいでしょー」
「……って、実は俺もなんだよね!」
神魂の影響下な不思議の景色の真ん中で、ふたりは息ぴったりに軽やかな会話を交わす。
「下宿してたから、荷物自体は身の回りのもの位で少なめだからよかったけど、その分買いそろえなきゃいけないのが多くてなー……」
「ああー分かるぅ、生活ってなんだかんだ物入りだよねぃ」
一人暮らし初心者同士で頷き合っていて、
「あ、そうださっきこんなの見つけた!」
武道がふとポケットから取り出した蒼い宝石に、陽太は目を見開き言葉を詰まらせる。
「誰かの落とし物かなーって、」
「なんでソレが……」
「ん?」
首を捻る武道に、陽太はぶんぶんと首を横に振る。知っているというか、
(なんて説明したらいいんだろう)
言葉に迷いに迷ってしょんぼりしてしまう肩を、武道がぽんと軽く叩いてくれた。
「まぁ、立ち話もなんだし歩きながらはなそうか」
武道の提案と笑顔に頷き、陽太は武道と並んで歩き始める。
終わることを知らないかのように、桜が吹雪となって舞い散り続けている。
「えっと、その宝石」
武道が手にした蒼い石は、切り出したままの原石のかたちをしていながら、内包する色は鮮やかに澄んでいる。
「多分オレが海に投げ込んだ宝石だと思う」
そのかたちにも、色にも見覚えがあった。冬の海に投げ込んだときの、さっぱりしたようなそうでもないような気持ちさえ、未だに記憶してしまっている。
「んー……カワウソの宝石商さん?」
てのひらの中の宝石を見下ろしてなにごとか考えていた武道が、ふと呟いた。
「……うん」
「そっか、俺も会ったよ」
「可愛かったねぃ」
「可愛かったねー」
ふたりでちらりと笑いあって、ほんの少し空気がふわりと緩む。その空気に助けられながら、陽太は続けた。
「あの日、オレの中からも宝石が生み出されてさ」
でも、と俯く。
「目に見える形で気持ちを残しておくのは落ち着かなくて、つい」
思い出した途端にあの日のいたたまれないような気持ちも一緒に蘇って、陽太は思わず顔を片手で覆い隠す。
どんな気持ちが蒼い宝石になったのかは、やっぱり言える気がしなかった。
(だって、ねぇ)
どれだけ淋しかったのかを、宝石の色を通して親友に見られてしまう気がして、
(ダメだ、ますます言えるわけがないわー……)
武道が宝物のようにてのひらに納めてくれている己が生み出してしまった宝石をちらりと見る。それだけで気恥ずかしくて目を逸らす。二度と目にするまいと捨てたものが、図らずも手元に戻って来てしまった。
(うーん、……どーしよう)
碧い水中にひらりひらりと舞う薄紅を仰いで、考えて考えて、
「どこかに埋めて何年後かに掘り返そうかな」
行き着いたのはそんな案だった。
今は無理でも、何年後か、今より大人になったときなら、あの日に抱えきれなくて手放した淋しさも笑って己がてのひらに包み込めるかもしれない。
「うん、そうしよう」
「んー……」
いい案だと思ったのに、陽太が差し出したてのひらから武道は宝石を遠ざけた。大切そうに両手に包み込み、埋めるくらいなら、と真っすぐに視線を合わせてくる。
「俺が預かっとこうか?」
幻のような場所で拾い上げた石ではあるけれど、この宝石は幻ではなく、陽太の心から生み出されたもの。手元に保存しておくことも出来るはずだと武道は思う。
「え、」
「……実は俺も、宝石生み出したんだよね」
言ってから、武道は照れ臭そうに鼻の頭を引っ掻いた。
「それはカワウソさんに預けてるから、同じような感じだね」
てへ! とおどけて笑って見せてから、武道は両手に包んだ蒼い宝石をぎゅっと強く握りこむ。
「こうして、俺の手にあるならそういう縁だってことだよ」
こういう縁にはきっと意味がある。武道はそう信じる。
「そーだね、」
真摯な瞳で宝石を見つめる武道に、陽太は救われた気がした。武道の手に拾われてまた巡り合えたのも、きっと何かの縁。そう思えば、ふわりと胸が軽くなった。
「預かるの、よろしくお願いしますっ」
「ハーイ、お任せっ」
努めて明るく言って見せれば、武道はいつものように軽い口調で笑い返してくれた。その癖、手つきだけはひどく丁寧に、宝石を春コートのポケットにしまい込む。
「今は言えないけど、いつか理由を話すね」
「うん、その時は聞くよ」
大きく真摯に頷いたかと思うと、武道は長身の身体に見合ったダイナミックな動きで水中に跳ね上がった。大型の魚にも似た武道の動きに、陽太は思わず拍手する。武道のように、魚のように自在に泳げたら、さぞかし楽しいことだろう。
「さて、せっかく来たならタノシモーゼぃ!」
「何して楽しもうかなぁ」
おっとり笑う陽太の様子に安心して、武道は桜咲き乱れる水底の町を眺めやる。
海に咲く桜なんて素敵な現象、滅多とお目にはかかれない。
ここは思う存分、桜も海も楽しむに限る。
(寒いし今日は水着しこんでないんだよなぁー……)
いつもであればいつもの黒ビキニでヒャッハーするところではあるけれど、桜咲く遺跡の町にはちょっと合わないかもしれない。どちらかと言えば、
(ヒラヒラとした服の方が楽しそうだよな)
魚みたいで、と想像した途端、
「武道君武道君! 急にヒラヒラした格好になってる!?」
「おー!」
陽太の驚いた声に見下ろせば、確かに身を包んでいるのは金魚の優雅な鰭にも似て水になびく薄手の衣。
「なるほど、願えばなんとかなるのな」
笑って水中に宙がえりして見せる武道を仰ぎ、陽太も思い切って水中に跳ね上がる。武道と同じ高さに浮かんだときには、陽太も武道と同じ羽衣姿となっていた。
高校を卒業したばかりの青年たちは、水中に桜と遊ぶ魚たちと一緒になって戯れ泳ぎながら、心から楽しい笑い声をあげる。
「素敵だよな!」
「キレイだねぃ」
武道は泳ぐ。海の中の町を、桜吹雪の中を、親友とともに泳ぐ。そうして、
(しっかり目に焼き付けよう)
心に刻み込む。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
1000人
参加キャラクター数
65人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年01月23日
参加申し込みの期限
2021年01月30日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年01月30日 11時00分
参加キャラクター一覧
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