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【お花見】花の盛りの寝子島で
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片方にさざなみの音を、片方に屋台の呼び込みや花見を楽しむ人々の笑い声を聞きながら歩いていたはずだった。
潮風に吹かれて気まぐれにひらり舞う桜の花びらを思わず目で追って、──瞬きひとつ、したかどうか。
視界が碧く染まった。指先に触れていた春風のぬくもりが、柔らかな水のそれに変わった。
(落ち着いて、……)
混乱に陥ってしまいそうな心を鎮めようと知らず息を吸い込んで、
「……?」
呼吸が叶うことに気が付いた。
水中にあって息のできる不可思議さに瞬きを繰り返しながら、稀跡は視線を巡らせる。
ふわふわ、ゆらゆら、雪花石膏の色した髪や衣服の裾が揺れている。この身体は確かに、水の中にあるらしい。
青い景色の先には、白い石で出来た町があった。人気なく静まり返った町に遊ぶは色とりどりの宝石じみた魚たちと、それから、薄紅の桜。
白石の壁に黒々とした根を張り巡らせ、平坦な屋根の上に幾重にも梢を広げ、幾千もの桜樹が水中に花を咲かせている。
(石の、遺跡の町……)
緑柱石の瞳が輝く。石であれば宝石も鉱石も、路傍の石でさえも好む稀跡にとって、水底に眠る石の町はひどく魅力的だった。
足を踏み出す。底の砂が雪のように舞うも、風にも似た水の抵抗を微かに感じはするも、地上を歩くように進むことが出来る。ゆっくりと歩み、遺跡の町に入る。
(住民はいないのね……)
水底に現れ、ひとを呼び込む石と桜の町は、神魂の影響によるものなのだろうか。
冷たい石の壁に触れてみる。さまざまのかたちした石をうまく組み上げた素朴な家の中に入るのはさすがに躊躇われたため、小さな窓からそっと室内を覗き込む。やはり、ひとの姿はない。
石に囲まれた路地を辿る。視界を過るのは水の青よりも蒼い鱗の魚たちに、頭上の桜からはらはらと舞い落ちては石畳に積もる薄紅の桜たち。
歩みに合わせてふわりひらりと舞い上がり、周囲に妖精のように遊ぶ桜の花びらたちを連れ、稀跡が最後に行き付いたのは、ぐるりと周囲を桜に包まれた石の舞台だった。
碧と白と薄紅に彩られた舞台の央にひとり、立ってみる。
(……)
静謐でありながらも豪奢な舞台に似合いそうな衣装を思い浮かべながら、芝居じみてお辞儀をしてみせる。下げた頭をそっともたげてみれば、纏う衣服はいつの間にか水珠や桜の色した石をあしらった衣装に変化していた。首元には陽に輝く色した貴石のネックレス、手首と足首には月光纏う桜の色したブレスレットとアンクレット。水の揺らぎに合わせて軽やかに舞う布地にも、煌めく石が縫いつけられている。
石たちの奏でるシャラシャラとした音を伴奏に、舞台に遊ぶ魚たちと一緒に、稀跡はそっとステップを踏んでみる。指先をひらりはらりとひらめかせてみる。
水底に舞う。淑やかなまなざしを微かに幽かに、笑みの色が彩った。
雪花石膏の色の髪した少女が、水中に踊る桜に誘わるように石の舞台に立つ。瞬きのうちに洋装から薄衣と貴石を重ねた衣装へと装いを変えたかと思えば、蒼い鱗の魚たちとひらりひらりと舞い始める。
(きっとこれも、奇跡の一つ、なんですわね?)
星空を内側に秘めた和傘をくるりと回し、
天満 七星
は檜皮色の瞳をゆったりと細めた。矢絣の着物の袂が水に揺らぐ。
寝子島に住んで、今までいろんな不思議を目にしてきている。
(これもそんな不思議の一つなのでしょう?)
不思議の景色に僅かに浮かび上がる不安を宥めんがためそう考えるのと同時、どこか楽しくなってきている自分も自覚して、七星はまたくるり、和傘を回す。
(……望むなら、)
桜の舞台に上がった彼女のように、扇もこの手に現れたりするのだろうか。更に望むことが許されるならば、和の音楽さえ何処かで奏でられたりするのだろうか。
考えれば考えるほどに楽しくなってきて、見慣れぬ碧の世界に感じていた僅かな不安は気づけばどこかに消えていた。
そっと踏み出す。雪のように花のように、足元の白砂が優しく揺れた。
少女とともに舞台に遊んでいた魚たちが一斉に散らばって、舞の終わりを告げる。
「お見事でしたわ」
「あ、……」
舞台に近づきながら拍手を送れば、薄墨の髪した少女は控え目な態度でお辞儀を返してくれた。
「こんにちは、……というのは少し変、かしら……」
「いいえ。礼儀正しくて素敵ですわ」
咄嗟に挨拶をしてから惑う少女に、七星は舞台の下から手を差し伸べる。手を取って舞台から降りる少女──稀跡に代わり、七星はふわりと舞台に登った。軽く跳べば水中のようにふうわりと舞い上がることの叶う水底の世界の不思議さに、思わずくすりと笑う。
「私、あまり舞は知らないのですが……」
白い石の舞台に立った途端、和傘を持つのとは反対の手に桜を描いた扇が現れた。桜に彩られた白い遺跡の町を背景に、笛が、鼓が、三味線が、──幻じみた和の楽隊さえも現れる。
面を布で隠した和の楽隊に優雅に一礼して、七星は正面を向く。和傘を舞台にそっと置き、扇をはらりと開く。水中に舞い踊る桜の花びらと共、和の音楽と共、ゆっくりと、ゆったりと、舞い始める。
碧い世界へと巡らせた瞳に、不意に、海に似合わぬ熊の姿を見た。
(あら)
己と同じに何処からか迷い込んできてしまったらしい
邪衣 士
に小さく微笑みかけてみる。ひらりと軽く手を振って、熊の毛皮を被った迷子は石の町の何処かへと彷徨い出て行った。
(お気をつけて)
優しい水の流れを指先に感じながら、想うはこれからの世界のこと。
世界は、どのように染まるだろうか。
(水のように揺蕩う世界になるのか、火のように激しい世界になるのか)
それとも、
(はたまた陽だまりのようにあたたかいか、月明かりのように優しいか)
さまざまの世界を想うごと、七星の舞は七色に変化してゆく。水のように、火のように。陽だまりのように、月明かりのように。時に優しく時に激しく、扇を翻し着物の裾を捌きながら、七星は思う。世界がどんな風に変化していっても、
(きっとみんなは輝いていて、)
きっと世界はきらきらと光ってゆくのだろう。
(世界は巡り、また生まれ、未来へと──)
繋がり、広がり、変化してゆく全てのものを、七星は祝福したいと願う。だってたとえどんな未来が待っていても、
(きっと私たちは進んでいける)
そう信じる。一歩一歩、前に進んでゆこうという想いをきっと誰もが持っていると、七星は信じている。
(だから私は、)
己自身を旧い人間であると知っている七星は、自分の世界を護りつつも新しい世界も取り込んでいこうと考える。
もちろん、旧い人間は旧い人間なりに良いには違いない。
(今この瞬間を生きているのに、旧いも新しいもありませんものね)
だからこそ、
(私はここに生きよう)
だって、
(ここに今、生きているのですから)
己の矜持を信じて、七星は思いがけず立った碧と薄紅の舞台の上で軽やかに舞ってみせる。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
1000人
参加キャラクター数
65人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年01月23日
参加申し込みの期限
2021年01月30日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年01月30日 11時00分
参加キャラクター一覧
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