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寝子島高校
庵流、伊織源一
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いくらか汗を流した後、源一は支度を終えて九夜山に向かった。
刻限までまだ余裕がある。
自分の育った町を見ながらゆっくり行くことにしよう。
観光ガイドブックにはあまり取り上げられないが、寝子島の旧市街は美しい。歴史ある町並みが現代に矛盾なく溶け込んでいる姿は、金沢や長崎にも劣らぬものだろう。
今までこれが当然とみなしていたから、改めて眺めることはなかった。
引っ越し先にもこんな風景があるだろうか。
いつの日か懐かしく思い返すのだろうか。
並木道の途中、小さな神社の前で足を止める。
本当にごく小さな神社で、本殿はロッカーをふたつ並べた程度、鳥居にしたってひとつきりだ。朱塗りされていなければそれと気づかぬ者もあるかもしれない。
その賽銭箱のところで源一は出くわしたのだ。
詠 寛美
に。
「よう」
散歩か? と寛美は言った。
日に焼けた肌に太い眉、ゴムで縛っただけのポニーテール、そのゴムにしたって、三つまとめて百均で売っている飾り気のないものだ。春休み中だからか制服ではなく、洗濯を繰り返しすりきれた風の稽古着姿だった。
「いや」
源一は首を振った。
「今から祖父と喧嘩だ」
「ああ」
驚くかと思いきや、寛美は平然とうなずいただけだ。
「お師匠さんな」
いつか源一は道すがら、祖父が武術の師であると語ったことがあった。
「ってことはもうすぐか。島離れるの」
寛美はたちまち理解したらしかった。寝子島を出る前に祖父に、すべてをぶつけておきたいと源一が考えていることを。
「そうなる」
島を出るのは二日後だと源一は答えた。
寛美の表情が変わった。ああそうか、と手を打つ。
「つまり受かったってことだな、大学」
合格したから島を離れるのであり順序としては逆になるが、そういう理解の仕方が寛美らしいではある。
「おめでとう。遅ればせながらだけどよ」
寛美は屈託なく笑っていた。彼女のこんな表情を、源一はこれまで見たことがない。
源一の知る彼女は、もっと思い詰めたような顔をしているのが常だった。あるいはにこりともせず真剣な表情か。多少ゆるんだ程度なら記憶にあるが、これだけ嬉しそうにしているのを前にするのは初めてだ。
ありがとうと言うべきだったのかもしれない。
でもとっさにその言葉が出ず、源一が口にしたのはこれだけだった。
「すまん」
「なんで謝る?」
きょとんとしている寛美を見るのも、ひょっとしたら初めてかもしれない。
「いや、謝罪しているわけではなく……つまり、感謝だ」
「そっか。なら、どういたしましてだ」
前もって知ってたらなあ、と寛美は言った。
「お前には世話になったからよ、祝いっつーかセンベツっつーか、なんか用意しといたんだが。あ、いや大したもんは出せねーぞ。どうせスーパーとかで買うから」
ここまで言って、そうだ、と寛美はポケットに手を突っ込んだ。しばらくごそごそやってから、
「いいものがあった。これやるよ」
と差し出したのはくしゃくしゃになったチケットだった。ドイツ国旗みたいなカラリング、ひろげてみるとやけに大きいゴシック体のフォントで『ドリンク無料引換券』とある。
「ファーストフードの券。前にショッピングモールでもらったんだ。期限入ってないからいつでも使えるぜ。これ入学祝いのかわりってことで。向こうで使ってくれよ」
源一の手に押しつけるようにして握らせると、大丈夫だって、と寛美は言った。
「たぶん全国チェーンだから。おめーの大学がある街にもきっとあるはずだ。俺の地元にもあったし」
源一はふっと息をついた。もっと感情表現が大袈裟な人間であれば、ここは吹き出していただろう。
「礼を言いたい」
「いいってことよ」
それで、と言葉を切って寛美は告げた。
「じゃあたぶん……会うのはこれが最後になるか」
「かもしれん」
源一とてたまには帰省もするだろう。しかし来年、寛美が卒業しても寝子島にとどまるという保証はない。
「元気でな。マジちょっと、寂しいかもだ」
両手をポケットの内に戻して寛美は言った。胴着のポケットなど、便宜上ついているだけで手を入れるのには不相応だというのに。やはり笑顔だったが、さっきまでとは異なる種類の笑みだと源一は理解していた。
また会いたいと言うとか連絡先を伝えるとか、そういう機転を源一は思いつかない。
しかし、あの時背中を押してくれたことへのお返しに――と、こう告げることはできた。
「詠も頑張れ」
おうと短く返事すると、詠は身をひるがえして走って行った。ランニングの途中だったのを思い出したとでもいうように。
源一は無料券に目を落とす。
なんとなくだが、これは使うことがないような気がした。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオS(400)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
定員
2人
参加キャラクター数
2人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年12月27日
参加申し込みの期限
2021年01月03日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年01月03日 11時00分
参加キャラクター一覧
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