this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
庵流、伊織源一
<< もどる
1
2
3
4
5
つぎへ >>
下駄を鳴らして歩く。
歩く。
伊織 紘之助
は悠然と歩く。
今頃、稽古場にいる頃合いか。
汗を流す孫の姿を想像した。太刀筋までありありと。
朝食の準備は整えてきた。書き置きも残している。
夕刻に備えて臨時休業にしても良かったが、構えたり気負ったりというのはどうにも性に合わない。だから本日も紘之助は、鍼灸接骨院の仕事を行うことにした。
といっても医院のほうは閉じている。今日は週一度の回診日、午前中一杯をかけての出張診療だ。すべて対象は年寄り、通院すら難儀になってきた常連たちの宅を、鞄ひとつの軽装でゆったりと訪ねては施術するのだった。行くたびに歓迎される。合掌せんばかりにして感謝する患者もある。決して効率的な方法ではないし、経営という意味の実入りも多くはないものの、世に必要な仕事であることは間違いあるまい。
それにしてもなあ。
下駄を鳴らしながら思う。
あいつがなァ。
孫から立ち合いの申し出があったのは、今から一月と少し前、彼が試験を受けに出発する前日のことだった。
孫はそのとき、畳に正座して何やら神妙な面持ちをしていた。冗談のひとつすら叩きにくい様子に、声を掛けるかわりに紘之助は目をすがめた。
驚いたのはそこからだった。
受験前で緊張しているとか言うのかと思えば「伊織紘之助さん」と来た。
思い出すだけで苦笑がこぼれそうになる。そんな改まった呼び方、場違いすぎて逆に新鮮だった。
で「立ち合ってほしい」と来たもんだ。
つまりは、祖父と孫ではなく、武術家と武術家として勝負したいということである。
孫は理由を語らなかった。しかし一人の武術家として、紘之助に理由は容易に推測できた。
すでに師匠から弟子への、免許皆伝は終えている。改めて試合う必要はないはずだ。しかしそれでも、いや、それだからこそ、気持ちに区切りを付けるため試合が必要ということなのだろう。
あいつがなァ。
育ったもんだよなあ。
紘之助は目を閉じさえすればいつでも、あらゆる時期の孫の姿を思い返すことができる。
はいはいしてた時分はセルロイド玩具みてえな腕だったが、なかなかどうして、進み出したら何があっても止まらないきかん坊だったもんだ。
乳臭くなくなったかと思いきや当たり前みてえに、武術家を目指すようになってやがった。一度簡単な稽古をつけてやったらあいつ、ぶっ倒れるまでずっと繰り返してたな。
小学校に上がる頃にはもう、貌(ツラ)は今とほとんどおんなじだった。せいぜい髭があるかないかくらいか。
ひたすらにまっすぐで、口下手で、気持ちを表にするのが苦手な孫。
ゆえに愛おしい孫。
そいつが師範の俺を乗り越えようってか――嬉しくてならなかった。
なら、全力で立ちふさがってやるまでさ。
源一の出発を二日後に控え、いよいよ今日がその立ち合いの日だ。
診療先を回り終え、紘之助はばりばりと頭をかいた。
できるのなら逃げたいところだがそうもいかない。
立ち合いの前にもうひとつ、紘之助には用件があるのだ。種類こそ違えど強敵ではある。
やれ厄介な。
「もう入れるかい?」
紘之助がくぐったのれんは、行きつけの焼き鳥屋『ハナ』のものだ。どうぞと言われてお気に入りのカウンター席に向かう。
開店して間もないためか客の姿は他にない。
店主とはツーカーだ。座っただけで熱い茶と、これまた熱いおしぼりが目の前に並んだ。
あとはいちいち声をかけずとも、皿の上に串が置かれていく。
いの一番は砂ズリ、続いてささみ、それからねぎまだ。ハツが来るのと手羽先は同時、モモやカワは味が濃いのでまだ先となる。箸休め的につくねも出てくる。
大将は紘之助の好みを熟知している。いずれも味付けは塩、タレを使うのはキモかハツくらいだ。ふた串ではなくひと串ずつ出てきた。さほど量がいらないのも知っているから。
ときには話し相手になる大将だが、今日は黙って焼くのに専念していた。紘之助の様子からそれとなく察したらしい。
戸が開いた。
「元気そうね」
挨拶以上の意味をもたぬ口調で告げると、紘之助の隣に腰を下ろした者がある。
「おう」
紘之助は元妻に返事した。
彼女のほうを見もしない。視線はずっと皿の上だ。
「本当に来るとは思わなかった」
「自分で呼びつけておいて何言ってるの」
「気が乗らねえときは無視するくせによ」
「じゃあ、今日は気が乗ったとでも思って頂戴」
ああ言えばこう言う、この女とはどうにも気が合わない。一時とはいえ夫婦(めおと)だったのが嘘のようだ。
そうだ。ハナから人間としての種(しゅ)が違ってたんだろう。
ガキと旦那をさし置いて、単身海を渡ってあまつさえ成功しやがったような女だからな。
めぐり会わせというよりは、因業がなした縁だったのかもしれねえ。
「……で、何しにきやがった」
日本に、という意味で問う。
紘之助のもとに文が届いたのは数日前のことだった。『しばらく寝子島に滞在します』としたためられただけの絵はがき、しゃらくさくもシャガールだったのは郷愁という意味なのか、それとも『強襲』という洒落か。
丁度良いと紘之助は彼女に連絡を取ったのだった。意外にも元妻の電話番号は変わっていなかった。
「別に何も。気が向いただけ」
「結構なご身分だな」
「同じ様なものでしょう? お互い」
元妻は鼻で笑った。紘之助の皿に残る串を見て、
「相変わらず健啖なようね」
「まだ当分、墓に入る気はねえからな」
「珍しく考えが合ったわね」
彼女は大将に片手を上げた。
「生中ひとつ。あとはこの人と同じものを」
「おい、俺は茶だぞ」
「そうみたいね」
元妻は平然としている。
こいつ……皺こそ増えたが中身はまったく同じだな。
少し腹が立ち、少し楽しかった。
裸の串がいくらか増え、元妻のジョッキが半分ほど空いた頃、
「まァ非常に不本意なんだが」
と前置きして紘之助は告げた。
「俺がくたばったあとの話をしておきてえ」
「うかがいましょう」
軽口めかして言ったものの、彼女は半笑いすら浮かべていなかった。
「源一のことだがな……」
後見人についての話を切り出した。深刻ぶった口調は使わない。明日の天気の話でもしているように話す。
彼女は一切口を挟まず、紘之助が話し終えるまで黙って聞いていた。
<< もどる
1
2
3
4
5
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
庵流、伊織源一
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオS(400)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
定員
2人
参加キャラクター数
2人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年12月27日
参加申し込みの期限
2021年01月03日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年01月03日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!