【卒業式】青い空に想いを解き放ち、私達は今――｜リアクション

【卒業式】青い空に想いを解き放ち、私達は今――

　宇佐見望月は両手にビニール袋を提げて戻ってきた。約束の場所で志波武道と高梨煉、二人と落ち合って早々に屋上へ移動した。
「えー、まことに僭越ながら俺様が司会をさせていただきマッスル！」
　望月は両腕を高々と上げた。ニヤリと笑って曲げる。
　チョコレートを摘まんだ煉が首を傾げた。
「制服を着たままでポーズを決められてもな」
　耳にした武道はペットボトルのジュースを飲みながら目を輝かせた。
「いや、脱がなくていい」
　先読みの言葉に武道はガツガツと焼き菓子を食べ始める。
「めでたく司会になったところで今後の皆の進路を聞きたいと思いマッスルはもういいか。最初に武道ちゃん。ソッコーで大学が決まったのは知ってるが、将来はどうするんだっけ？」「ぽりぽり、ブーメラン、ムシャ、パンツ、ごっくん、刑事と呼んで、パクパク、くれ……ぷはぁ」
「ちょっと落ち着けって」
　苦笑いで煉が指摘した。
「なるほど。ブーメランパンツ刑事か。昔のドラマの再放送でそんなニックネームの刑事物を見て胸を熱くしたことがあったな。悪くない選択だな。次は煉ちゃんだな。渡航して何するんだっけ？」
「料理の勉強だよ。その先のビジョンもあるが、場の流れを見て考えるつもりだ」
「合理主義ってヤツだな！　じゃあ、最後に俺様のことも少し語っておくか。その前に喉を潤す」
　炭酸飲料の蓋を開けた瞬間、泡立って慌てて口で蓋をした。
「あぶねえ。俺様は大学進学なんだが、少し問題があってちょっと揉めているんだ。大学生は自立の一歩だと思うんだ。そこで下宿を考えている。ただ、その金を出せないと言われて困っているんだけど、なんか良い案はあるかな。はい、煉ちゃん！」
「いや、俺は手を挙げていないが。ようは下宿代をどうにかすればいいんだろ。そうだな。うさぎ屋でバイトすればいいんじゃないか」
「住み込みでもいいよね☆」
　武道が言葉を足した。今度はスナック菓子を頬張る。
「なるほど、バイトで下宿代を稼ぐと。しかも住み込みって、それは今と変わらないんじゃ、え、下宿する必要もないような！？　うっそぉーん！」
　うろたえる望月に二人の笑い声が重なった。